車の購入を考えているけれど、現金一括・ローン、最近では「残価設定」など様々な支払い方法があります。
特に車は高額で、大きな買い物ですから不安になりますよね。
車の支払いはどんな方法があり、メリット/デメリットを含め、どの方法が自分にお得なのか解ります。
初めて車を購入する方でも解り易く解説、車屋さんだからわかる「裏情報」も満載です。
案内するのは、新車中古車販売・国土交通省/陸運局認証車検工場を営むオートディラーの「長嶋」です。50年の経験をもと実際に起こったトラブルや解決方法を解説しています。
どれがお得?車屋さんが教える「車の支払い方法5つ」
車を買いたいんだけど、現金とローンどっちがいいの?
残価設定ってなんだ?
車の支払い方法は大きく分けて5つあります。
1.車支払い方法「現金一括」の場合
「現金一括払い」のメリット
お金があれば、一括で払っちゃいたいわ~
現金一括払いのメリットは、なんといっても金利が1円もかからないところです。
例えば300万円の車を、全国最安値の横浜銀行マイカーローンの金利0.9%で借りるとしたら、5年で135,000円の金利がかかります。
その点、現金一括で支払えばそれ以上の支払いはありません。
将来、「住宅ローン」などの大きなローンを組む予定がある人は、高額のオートローンがあると審査に響くことがあります。
現金一括で支払ったほうがメリットが大きいと言えるでしょう。
「現金一括払い」のデメリット
金利を払わなくてお得なのに、デメリットなんてあるの?
現金一括払いのデメリット1
「現金一括」のデメリットは、車の「値引き」が少ないことです。
どういう事?・・・
と驚いた方もいらっしゃると思いますが、現金一括払いにすると「値引き」が少なくなるのは事実です。
これは、ディーラーも、中古車販売店でも同じです。
同じ車を買っても、「現金一括のお客様」より「ローンのお客様」のほうが「大きな値引き」や「オプションサービス」をしてもらう事が多いのです。
では、なぜ現金一括払いは値引き額が少ないのでしょうか?
私達、販売店はローンの仲介業者なので、お客様をローン会社に紹介するとキックバック(手数料)をもらえます。
その分「売り上げに幅や余裕」が出来て、お客様に「車の値引」ができると言う訳なんですね。
一方、「現金一括」で購入されるお客様からは「キックバック」が入ってきませんから、値引きやオプションサービスをしたくても出来ないんです。
では「ローン」を組んだ場合、どのくらいの値引きやサービスをするのでしょう?
わ~ こんなにサービスしてくれるの??
いえいえ、すべてのお客様に値引きやオプションサービスをしているわけではありません。 特に、ディーラーは厳しいです。
ローンの金額や年数が少ないと、まったく「キックバック」が入らない事もあります。ですから、個々のお客様に合わせた値引き、またはオプションサービスを行っています。
ここだけの話しですが・・・
「値引き」は黙っていても、してくれませんよ。
販売店は売り上げが欲しいので、お客様が「値引きしてくれ~」と言わない限り、値引きをしません。
つまり、高額ローン・年数が多いローンを組む人は「値引き交渉」を進んでしなければ損と言う事になります。
でも、「値引きしてちょうだい~」なんて自分から言い出すのは苦手・・・という人は沢山いるはず、値引き交渉が苦手な方は、
など、工夫をしてみると良いですね。
現金払いのデメリット2.
「一括払い」は、自分の価値観やライフプランに合わずデメリットに感じる人もいます。
こんな考え方をする人は、現金払いに向いていません。
「現金一括払い」にむいている人
以上の事から、「現金一括払い」にはこんな人が向いていると言えます。3つ以上自分に当てはまったら、「現金一括」にGOです。
車支払い方法「ローン」の場合
「ローン支払い」のメリット
最近は、車の購入にローンを利用する事があたりまえの時代になり、当社のお客様でも80%以上のお客様がローンを利用されています。
ローンを使うメリットは、
などです。
さらに、ローンの支払い方法を「フルローン」と「一部ローン」の2つに分けると、次のメリットも考えられます。
◆フルローンのメリット
手元のお金に手を付けず、少しの金額を分割払いをする事で突然の出費にも対応することが出来る
◆1部ローンのメリット
頭金をいれたりボーナスを入れる事で、月々の支払いを低くしたり支払い月数を短くでき、生活への負担が少ない
では、ローンのデメリットは何なのでしょうか。
「ローン払い」のデメリット
ローンの1番のデメリットは金利です。
金利は「ローン会社」によって大きく異なります。
ローン会社は大きく分けて、
の3つに区分されます。
車代金をローンで支払う場合、扱うローン会社のメリット・デメリットも理解して、自分に合ったローン会社を選ばなければなりません。
ローン会社 | 金利 | 取扱い店 |
銀行系 | 2.5%前後 | 取引している銀行・またはネット銀行 販売店に、購入したい車の「見積り」を書いてもらい自分で手続き |
ディーラー系 | 4.5%前後 | 各ディーラー店舗で自社ローンを取り扱っている。 |
信販系 | 9%前後 | 大手中古車販売店 車検整備工場 鈑金修理工場 |
特に、大手中古車販売店は、10%もの高金利でお客様に自動車ローンを勧める所もあります。金利を考えず、勧められるままローンを組んでしまうと大変なことになります。
しかし銀行系に比べて審査が甘く、スピーティにローンが通りやすいと言うメリットもあります。
では、どこでローンを組むとお得なのでしょうか?
車の支払い 銀行系ローン
銀行系ローンは、金利が低いというメリットがありますが、借り入れ条件はとても厳しく審査に時間がかかります。特にJAバンクは「頭金」がないと貸し出しをしてくれない場合が多いです。
大手6社の借入限度額や、借入の条件(年収・年齢・職歴等)を知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
銀行系ローンにむいている人
・完済時に満70歳以下の方
・安定した収入がある事 前年度税込年収が200万円以上
・他に多額のローンがない事
・頭金があること(特にJAバンク)
車の支払い ディーラーローン
ディーラーでローンを組むメリットは、なによりブランド力や信頼性がある事です。また、車両の「値引き額」が大きいというメリットがあります。
ディーラーローンは銀行系より審査が甘いので、銀行系ローンが通らない人にもお勧めです。
ただし、キャンペーン時以外は銀行系より高い金利になりますので、セールストークに惑わされないようにしましょう。
ディーラーでは、車購入時に「車検パック」や「スタットレスパック」を購入させれらるデメリットがあります。
ディーラーの代金は地域の車検修理工場より3~4割高いことが知られています。知らずにパックを購入してしまい、ピットインする度に、必要ない高額なサービスまで売りつけられるという声を多く聞きます。
これがお客様の負担になり、デメリットだと感じる方が多いのも事実です。
また、ディーラーローンを組んだ場合、車の所有権はディーラーのものになります。その為、車検証の所有者欄にはディーラーの名前が記載されます。
これは、万が一ローンの支払いが滞った場合、「容赦なくディラーがあなたから車を引き上げて市場に販売しお金を回収します」という意味でもあります。
ローンの支払いが終わるまで所有権の解除できませんし、他に車を売る事も出来ませんので注意が必要です。
勧められるまま金利の高いディーラーローンを組むのではなく、まず銀行ローンの審査を受けられることをお勧めします。
ディーラーローンにむいている人
・ブランド性を重視・信頼し、少し高くてもメンテナンス代等を支払える人
・銀行系ローンが通らない人
車の支払い 信販系ローン
信販系のローンは、中古車販売店や、新車・中古車を販売する車検修理工場で扱っています。
信販系のローンは、いちばん審査が甘く、申し込んだその場で完結することが多くとても便利です。銀行ローンや、ディーラーローンが通らない方や、急いでローンを組みたい方にはお勧めです。
職業、勤務年数、年収、住居形態、居住年数などの記入と運転免許証コピーだけで申し込むことが出来ます。当社に来店したお客様では、最短30分で審査が通り購入のご契約をしていただいたことがあります。
信販系の一番のデメリットは金利が高額な事です。
しかし、新車・中古車を販売する車検修理工場などでは、8%~9%の比較的良心的な金利を使っている事が多いです。また、交渉次第であっさり金利を下げてくれる場合が多いのでぜひ、チャレンジしてみてください。
大手中古車販売店の場合、言われるままローンを組んだら9%もの金利だったという話をよく聞きます。
後で、金利の高いことに気づきローンを解約できたとしても、契約時に「ローン解約違約金」のサインをしている場合は、販売店に違約金を払わなければなりませんので注意が必要です。
特に大手の中古車販売店は「金利」が高いうえに「ローン解約時の違約金」は当たり前に請求されますから注意が必要です。
え~。違約金をとられるんですか?
お客様がローンを一括で返済した場合、販売店は会社に入ってきたキックバックをローン会社に返金しなければなりません。
キックバック分を値引きして販売しているのに、「一括返金」されてしまったら売り上げがマイナスになってしまいます。
ですから解約時に違約金を請求するのは当たり前なのです。
信販系ローンにむいている人
・急いでローン審査を通したい人
・金利交渉が得意な人
・ローン解約をする予定がない人
車の支払い「クレジットカード」で支払う場合
クレジットカード払いのメリットはポイントがたまる事です。
しかし、カードの限度額や使える車種の制限があるので、事前に問いあわせて「限度額を上げてもらう」などしてから使用しましょう。
車両代金全額が支払えるカード
◆JCBカード
高級輸入車に限り、車両代金の全額が支払えると明記されています。BMW・アウディ・フォルクスワーゲン・ミニ・ランドローバー・ジャガー・ボルボ・プジョー・フォード・シトロエン・ルノーなどです。車両購入の際はカード会社に連絡して、一時使用額を増額してもらう事が必要です。
◆BMWダイナーズクラブカード
BMW正規ディーラーにて作成・使用ができます。利用限度がないので1000万円を超える超高級車も購入可能となります。
◆ラグジュアリーブラックカード
年会費が10万円と、ちょっとハードルが高いブラックカード。マスターカードです。最大500万円までの輸入車が購入できます。
車両の一部が支払えるカード
各ディーラーの車両金額の一部を支払えるカードです。
各カードは、作ったディーラーで使用すると高ポイント還元が得られるメリットがあります。
トヨタTSクラブカード | 上限30万円まで |
ホンダCカード | 上限30万円まで |
マツダMSカード | 上限30万円まで |
日産カード | 上限30万円まで |
国産車は、普通のクレジットカードでは全額払えないの?
今持っているクレジットカードで、国産車の購入代金を全額払う事は可能です。しかし、車両代金の全額支払いをOKしてくれる販売店はぼ見つからないでしょう。
なぜならクレジットカード決済をした販売店は、利用額の5%を手数料としてクレジットカード会社に支払わなければなりません。
200万円の買い物なら10万円もの手数料をクレジットカード会社に支払う事になります。
その為、輸入車のような利幅の大きいものだけカード払いOKにしている販売店がほとんどです。どうしてもカード払いをしたい場合は、その10万円をお客様が負担するしかありません。
しかし、手数料をお客様が負担するのはカード規約で禁じられいています。その為、全額カード払いをOKする店はなく、ディーラーでも30万円が限度と言う事になります。
10万円払ってでもカード払いにしたい場合は、最初から「全額カード払いにしたい」と伝えて、車両金額を10万円UPにしておいてもらうしかなさそうですね。そんな融通の利く販売店があればの話ですが。。。
クレジットカード払いにむいている人
・車を購入できるカードを持っている人
・限度額の金額が大きい人
・ディーラー限度額30万円をカード払いにしたい人
・国産車カード払いOKの車屋さんを見つけられる人
車の支払い方法「残価設定」の場合
毎月10,000円で車に乗れる♪
などと、すごくお得感のCMで目を引くのが「残価設定」です。
「残価設定」とはいっても、実はこれも「ローン」なのです。
毎月10,000円はお得だけど、なぜこんなに安いの?
簡単に説明すると、
Aさんは、100万円の車を購入したいと思っています。でも貯金がありません。
普通ですと100万円のオートローンを組みます。でも、毎月の支払いが高額だったので購入できないと諦めました。
そこで残価設定を40万円にしたら、 残りの60万円のローンで組めば済むので毎月の支払いが抑えられ購入する事が出来ました
なんだ残価設定って??
残価設定とは、ローン終了後のお客様の車の価値の事です。残価設定は、ローン会社が市場を見て予想をたてます。残価設定中は、車の所有権はローン会社のものになります。
Aさんは、ローン終了後はどうなるの?
残りの40万円を支払って、車を自分のものにできます。また、業者に40万円で買い取ってもらい、新しい車に乗り換える事も出来ます。
残価設定のメリット
残価設定のメリットは、毎月の支払額を抑える事が出来る点です。
100万円のローンのはずが、40万円の残価設定を行ったことで60万円のローンとなり支払額は少なくなります。今まで手の届かなかった高級車に乗る事が出来たり、収入が少ない若い層の人達にもマイカーは夢でなくなります。
また残価設定には車検代金がローンに含まれているタイプもあります。
車の管理や、車検などの仕組みが解らない方などは、残価設定を行う事で定期的に車検管理をしてもらう事もできますし、車検諸費用を貯金しておく必要もなくなるメリットがあります。
残価設定のデメリット
残価設定のデメリットを一言にいうと、総合的に見ると高額になってしまう点です。
・金利が高い
まず、残価設定ローンは金利がとても高いです。100万円の車に残価設定40万円をして60万円のローンを組んだとしても、金利は100万円に対してかかってきます。
・すべてが原価
残価設定ローンの車は、一般的に一切値引がありません。値引きなしの定価の車両を購入することになります。
・装備が付いていない。
CMなどで、月々の金額を安く宣伝していますが、その金額には何も装備も付いていません。オーディオ、マットなど何も付いていませんし装備を付けると、支払金額が倍にアップしてしまう事がほとんどです。事前に良く調べ計算をしてみましょう。
・車検代込みの場合、修理代・整備代金は含まれない
車検代込みの残価設定もありますが、支払ってくれるのは車検時の諸費用(重量税・自賠責保険)のみです。車検にかかる基本車検整備代金・部品代金・代行代金などは、自分で用意しなければなりません。
・残価設定どおりにいかない
5年後ローンが完済すると、「車を購入して乗り続ける」か「買い取ってもらい乗り換える」のどちらかを選べます。
「車を購入して乗り続ける」場合は、残価40万円を支払って購入し自分のものにする事が出来ます。
しかし、他の車に乗り換えたい場合は、車を買い取ってもらわねばなりません。残価設定を40万円付けたので、40万円で買い取ってもらえると思う方が多いようですが、そうもいかないのが残価設定の怖い所です。
車の走行距離が多かったり、ぶつけていたり、車内外の汚損が激しかった場合、40万円の買取は拒否されて値を下げられてしまいます。
たとえば「10万円でしか買取れない」と言われた場合は、あなたが残りの30万円を現金で払うか、再びローンを組むしかなくなるのです。
残価設定にむいている人
・あまり車に乗らない(走行距離が毎月1,000km以下)
・車のカスタマイズをしない(現状のままが残価設定の規約)
・運転がうまくてぶつけない・綺麗好き
・ローン終了後、残価設定額が支払える
車の支払い方法「リース」の場合
リースの場合は、お客様が乗りたい車をリース会社が購入し、3年・5年・7年などと年数を決めて月々定額でお客様に貸し出します。
契約終了後は、返却・再リース・買取・乗り換え、などが選べます。
リース車のメリットは、 頭金0円で、新車を定額で乗り続けられること です。
メンテナンスリースを契約すれば、少し高額になりますがリース料金の中に車にかかる経費が含まれているのでとても便利です。
メンテナンス込の、リース契約定額料金に含まれるもの
・車両代金 ・取得税 ・自動車税 ・自賠責保険 ・重量税 ・車検基本料金 ・整備点検 ・オイル交換 ・消耗部品交換
【KINTO】の場合、自動車保険料も込み
消耗部品代も入っていますから、突然の故障での出費に悩まされることなく、毎月定額払いで家計が安定するメリットがります。
ただし、一般的なリースは、解約できなかったりリース終了後に高額な残価清算が待っている落とし穴があります。
そのため、最近では残価設定のないトヨタの【KINTO】「最後は車がもらえる」 MOTA 、「契約終了時に差額清算がない・中古車リース」カルモくんなどが人気です。
カーリースのメリットについては、「カーリースの失敗しない知恵袋/買うよりメリットあるの」で詳しく解説しています。
リース払いにむいている人
・車の事は良く解らないから、定額で全部任せたい
・車検や自動車税などに気を配るのが嫌
・毎月の支払いが高額でも良い
・税金対策
まとめ どれがお得?車屋さんが教える「車の支払い方法5つ」
車の支払い方法には、現金一括・ローン・クレジットカード・残価設定・リースなど5つつの方法があります。それぞれにメリットデメリットがあるので、自分の経済状況やライフプランに合わせて選ぶ必要があります。
車は購入後も、維持費がかかります。ガソリン代金・駐車場代金・自動車税・自動車保険・車検代金などです。言われるまま高利息のローンを組んだら、後で車を手放なす事になりかねません。しっかり支払いプランをたて楽しいカーライフを送ってください。