5月中旬、我が家の家庭菜園のぶどう(シャインマスカット)が「黒とう病」になりました。
前回の記事では
・黒とう病の見分け方/特徴
・黒とう病に効く家庭菜園用の農薬
・素人でもできる希釈/散布の仕方
・散布の仕方と間隔日数
などを紹介しました。
今回、無事「3度目の消毒」が終わり落ち着いたのですが、ここまで来るのに本当に大変な道のりでした。
「黒とう病」の恐ろしさ/しつこさに手を焼いたのです。
大切に育てているシャインマスカットを失わない為にも、我が家のシャインマスカットの様子をふまえ、ぜひ知ってほしい「黒とう病の対策」「防除」についてお話ししていきたいと思います。
幸い、3軒の親戚がぶどう農園を経営しているので、専門家の意見やアドバイスなども交えてお話ししていきます。
黒とう病に悩んでいる方は参考にしてください。
前回の記事はこちら
ブドウの病気2「黒とう病」シャインマスカットその後の記録★家庭菜園/対策/防除/農家のアドバイスを解説
黒とう病の恐ろしさ
長野県 黒とう病でシャインマスカットが全滅
昨年、長野県の長野市/中野市でシャインマスカットが全滅したと言うニュースを聞き、あらためて「黒とう病」の恐ろしさを知りました。
なんでも7月ごろに長野県の果樹試験場に「ぶどうに褐色の斑点がでている」と問い合わせが相次ぎ黒とう病の感染が発覚。数千房ものシャインマスカットを廃棄せざるをえなかったそうです。
長野市では7月から平年の2倍もの雨が降り湿度が高かった為、黒とう病の特徴である胞子が広がって感染が拡大したとの事でした。

黒とう病/2度目の消毒
黒とう病」の本当の恐ろしさを知ったのは、2度目の消毒の後でした。前回の記事の3週間ほど後です。
1回目の消毒後は、前回の記事にあるとおり新芽も伸びて順調、なんの心配もありませんでした。
1回目の消毒が終わったブドウ棚↓
とても元気です。

10日後、2度目の消毒をしようと考えていた時、ちょうど2回目のジベレリンの時期と重なっている事にに気づいたのです。。
う~ん・・・どちらを先にしよう??
と悩みました。
シャインマスカットの枝葉は元気でしたし、黒とう病騒ぎで最初のジベレリン処理から15日も経っていたので、
「ジベレリン処理を先にして、落ち着いたら消毒をしよう!」と決めたのです。
これが失敗だったんですよね。
2日後に様子を見に行くと茶色くなった葉がちらほら。
あわわ・・・・2日前はまったくなかったのに!!
消毒間隔の10日は、守らなければだめだったんですね。
茶色い葉を切って処分し、あわてて消毒をしました。
「消毒前」に病気になった枝や葉は切って処分します。黒とう病は菌が繁殖して空気中を浮遊して感染が拡大するので、畑の隅に捨てずに、必ずビニール袋などに入れ密封して捨てるのが原則!!
黒とう病/3度目の消毒
2度目の消毒は間隔を守らず失敗したので、
「3度目の消毒は10日後にきっちり行おう!」
と毎日カレンダーや天気予報をチェックして過ごしました。
10日後、菜園に行ってみると、あわわ・・・・幹の裏で気づきませんでした。

やられていました!!
病斑が多くなり葉が丸まったようになって枯れたものもあります。

ぶどうの粒も写真の通りで、30房中、15房もこんな状態になっていました!!

今年は黒とう病のせいで房数が少なかったのに、さらにひどい状態に・・・

しつこい黒とう病の原因
もう、ショックでショックで!!!落ち込みました。
元気になって消毒は効いていたはずです!!
考えてみると、思いつく原因はたくさんありました。
そう、もったいなくて黒点を確認したのに房を切れなかったんですよね。
おまけにジベレリン処理をしたばかりなので、房には消毒液をかけないようにしていました。
「黒とう病」を甘く見ていた事が最大の原因だったんですね。
対策/防除1 とことん切除
シャインマスカットの最悪の状態を目の当たりにし、初めて黒とう病の本当の恐ろしさに気づきました。
そして、この病気を絶つには「とことん切り落とす」しかないと考えました。
思いきって木を切ってしまおうかとも思いましたが、すべての枝や房がひどい状態ではなく、今回は病斑のあるものすべてを徹底的に切り落として消毒しようと決めたのです。
対策/防除2 もったいないを封印
また、「もったいない」を封印し
「今年は収穫は諦める!!」
と自分に言い聞かせ、ひどかった15房すべてのぶどうの房を切り落としました。
少し黒い点がある房は、「粒」だけをカットし残すことにしました。
シャインマスカットの木をなんとか助けてあげたいと必死でした。
切り落としたシャインマスカットの枝葉や房は、町のごみ袋4袋にもなりました。あまりにも悲しすぎて写真も撮り忘れました。
枝葉を切りすぎて、残った枝葉のあいだから、ぽっかり空が見えました。涙
3回目の消毒を終わらせ数えてみると、残った元気な房は5房だけ。
これだけして再発したならば、次は木を切るしかないと思いました。
「黒とう病」消毒後15日目の様子
使用毒後、15日目の様子です。

なんと、復活しました。とても元気です。消毒もよく効いているようです。
残った5房も少しずつ多くなってきています。思い切って切り落としたのが良かったのですね。
対策/防除3 毎日チェック/黒とう病は許さない!!
その後、まだ消毒をしていません。
でも毎日、家庭菜園を見回り「シャインマスカット/チェック」を欠かしません!!
たまに出てくる、しつこい病斑を見つけたら即カット/防除です。
粒の黒点も2~3粒発生したので、即座に粒抜き。絶対に、黒とう病を許しません!!

毎日の手入れのせいか、新芽が次々と伸び、空に向かって勢いよく伸びています。
それでも、まだまだ枝の間がスキズキで空が見えています。
思いきって切り落とした事で、陽が良くあたり、風通しが良いのも功を奏しているのかもしれませんね。

残った房の中で、一番大きい房です。無事なようです。

黒とう病 対策/防除「農家のアドバイス」
我が家の親戚には、シャインマスカット農家が3軒もいるのですが・・・(苦笑)
相談すると2軒が忙しい中、様子を見に来てくれました。
親戚が言う黒とう病の「対策」「防除」とは・・・
予防が大切
◆シャインマスカットはほとんど病気にかからなくて育てやすいが「黒とう病」にだけはとても弱く、かりやすいので注意。
◆毎年、芽がでる頃に必ず消毒をすること。(予防が大切)
黒とう病にかかってしまったら
◆全滅でなければ木を切る必要はない。
◆こまめに病気になった「枝葉」を切ること
◆病斑のひどい「房」または「粒」を切ること
◆病斑は早期発見と、思い切りの良い剪定が大事!!
◆ダメならその年の収穫は諦め、枝を切り風通しを良くする/陽に当てる
◆年内中は、剪定と消毒を続ける事(1カ月おきくらい)
◆消毒をきちんとしていれば復活するので諦めない。
◆来年は芽が出るころに消毒、7月ごろまで続ける事。
との事でした。
今まで通り頑張れば木を切らずに済む!!
来年のシャインマスカットの豊作を夢見て頑張れる!!
半分諦めていたので、話を聞いて本当に元気をもらいました。
ちなみに・・・
シャインマスカット農家のおばちゃんの木も、実際に黒とう病にかかった事があるそうです。
それでも、木を切らずに翌年はきちんと収穫が出来たそうです。
とにかく、黒とう病は「予防消毒」「早期発見」「思いきった剪定/防除」が大切との事、雨が多い年は特に注意し、消毒をしっかり行う様にとの事でした。
私が使った消毒はこちら↓です。親戚のアドバイスに従い、今年中は寒くなるまで1カ月おきを目安に消毒予定です。「消毒をしても再発してしまった」と悩んでいる方、あきらめずに頑張りましょう。
その後のシャインマスカットの収穫状況や、秋冬の休眠期における「黒とう病」への防除の方法をシャインマスカット農家の専門的な知識を交えて解説したNO.3を執筆しました。興味のある方はご覧ください。
まとめ
黒とう病にかかった後の「対策/防除」方法
・油断せずに、10日おきに消毒
・日々、チェックし病斑のある枝葉/房は思い切ってカット
・枝葉は少なめにして陽をあて風通しを良くする
・もったいない気持ちを捨て、房ごと切る
・ひどい時は、収穫をあきらめて、思い切って剪定すること