シャインマスカットを育てて4年目、シャインマスカットに多い「黒とう病」との闘いを覚書しています。no.3になる今回は、秋冬の休眠期における「黒とう病」への防除の仕方を解説。シャインマスカット農家の専門的な知識を交えて解説しています。
手ごわい「黒とう病」に悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。すでにno.1とno.2をお読みの方はこちらへお進みください。
ぶどうの病気3 「黒とう病」シャインマスカット秋冬/休眠期の防除対策法
1年目~これまでの経過
我が家にシャインマスカットの苗がやってきたのは4年前の事。高級ブドウ「シャインマスカット」の苗だと大喜びしました。その頃はまだシャインマスカットが世の中にあまり出回ってなくて、果樹農家の叔母が仕入れた苗を1本分けてくれたのです。
1年目 順調
我が家の1坪菜園に植樹。
半日かげでしたが苗の成長は良く、🍇3房収獲。
2年目 順調
3mほど枝を張り程小ぶりですが🍇20房程見事な実を収穫できて大喜びしていました。秋には5~6mほど枝も伸びました。
3年目 黒とう病発生
去年より多く収穫できると期待を胸に、初夏の芽吹きを見守っていたのですが成長するにつれてなんだかおかしい・・・枝に何やら茶色い斑点があります。新しく出てきた新芽は成長できずに茶色く縮こまっていました。
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さらによく見ると、葉茶色い斑点と穴がある葉や、くるくるっと丸まった葉もあります。
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これはまずいとすぐに検索すると「黒とう病」でした。
果樹農家の叔母に相談、アドバイスを受けながらすぐに消毒。黒とう病との闘いが始まります。
当時の、消毒の仕方、農薬の選び方、希釈の仕方、果樹農家の専門的アドバイスなど、しつこい黒闘病との闘いの様子はこちらの記事に記載してあります。
シャインマスカット「その後」の記録
「シャインマスカットその後の記録2」では、3年目に突然発生した「しつこい黒とう病」との闘いをお話しました。その後シャインマスカットはどうなったのか、状況をご報告します。
その後、数回消毒+病気の葉の剪定を数回繰り返し、ブドウの木自体は青々と元気を取り戻したのですが、肝心のブドウの実は大きくなるにつれ「黒い斑点」が大きくなってきました。
初期にかかった黒とう病の「黒い斑点」は取り除かないかぎり残り続けてしまうんですね。
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剪定ばさみで、黒い斑点のあるものは一粒ずつ取り除いていたのですが(本当に細かくて大変な作業)、すべて排除できずに上の写真の通りです。唯一助かったのが下2房でなんとか収穫できました。ぐすん涙
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翌年の黒とう病を防ぐための準備
秋から冬の対処法
夏が終わりブドウの収穫時期が終わりました。しかし、これで安心はできません。来年に黒とう病を残さない為にもこれからが肝心です。
というのも、no1.とno.2でお話した通り、黒とう病は前年から「兆候」が表れます。私がブドウの病気についてあまりにも無知だった為、前年に何もしなかった事が黒とう病を招いた原因だからです。
そこで、収穫後も念入りに
◆「葉が縮こまって丸くないか」 ◆「枝がポッキーみたいな斑点は出ていないか」 ◆「新芽は元気か」 |
など10日おきにチェックし、病気を見つけるとすぐにその部分を容赦なく切り落としました。
もちろん、切ったものは菌の胞子が舞わないようにビニール袋に入れて捨てます。
秋から冬にかけてブドウの葉が落ち始めたらこれも念のために拾ってごみ袋に捨てます。いつもは枯れ葉を集め、家庭菜園に穴を掘って埋めると良い腐葉土になるのですが、今年は我慢、我慢。
これで3年目のシャインマスカットの作業は終わり。寒い冬になり、黒とう病の菌が死滅してくれることを祈りますが、「黒とう病」は冬の間もひっそり休眠していて春になるのを待っているので安心できません。黒とう病は、それほどしつこく大変な病気なのです。
冬の防除対策法
新年を迎え、我が家のシャインマスカットは4年目に突入。1月は果樹農家の叔父や叔母から教わった剪定を行う時期です。この剪定は余分な枝を切り、沢山の実をつける為の剪定でもありますが「しつこい黒とう病」をさらに消滅させる為のものでもあります。
剪定の仕方は別ページで記載してありますが、黒とう病を取り除くには、
・棚に残っている巻きひげなども綺麗に取り除く ・剪定したものをビニール袋に入れて捨てるか焼く |
などが大切なことです。黒闘病の菌は暖かくなって芽吹くころ、まだ活動を開始します。
休眠期には棚に残った「巻きひげ」や、「節」の部分に菌が潜伏している可能性があるので徹底的に排除する事が大切なのです。
ビニール袋に捨てれない場合は、穴を掘って埋めたり、乾かして寒いうちに燃やすなどが良いそうです。
剪定を行ったのは1月下旬。叔父や叔母から沢山の実が付くような剪定の仕方やポイントを教わりながら2日がかりの大変な作業でした。剪定の仕方はこちら
春から初夏の防除対策法
シャインマスカットは4月後半に芽吹くから、その直前に消毒をするように叔母から指導を受けました。
4月は何かと忙しい時期、娘の引っ越しやコロナ騒ぎで、やっと4月下旬、第一回目の消毒を行いました。(すでに小さな芽が出ていて、少し遅かったかな・・・と後悔)
使った農薬は、no.1で紹介したオンリーワンフロアブル(殺菌剤)です。
昨年はこれがよく効きました。オンリーワンチュアブルの消費期限は3年とありましたので、あと2年使えるようです。今回は、肩にかけれる新しい噴霧器も新調し念入りに行いました。
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噴霧器はなじみのない主婦でも簡単に使えます。農薬と水を入れて蓋をし、上の取っ手の部分を何度かプッシュして圧縮すれば、スプレーノズルから消毒液が噴射されます。電池等もいらないので簡単。肩から吊るせるでとても使いやすいです。4リットルですが、満タンに入れても重く感じません。
一般的に、黒とう病の「殺菌消毒」は実が熟すまで3回行うようです。現在5月中旬ですが、1度目が遅くて不安だったので、ゴールデンウィーク「コロナSTAY HOME週間」のさなか、2度目の消毒も行いました。
2度目の消毒の際に、枝の最先端の部分に枯れた新芽を1つ発見
➡これは、先っぽで栄養が行き届かず、枯れたのか? 黒とう病のせいなのか?
すこし、丸まった葉を見ると
➡どきっ!!! う~ん、黒とう病とちがうよね・・・
など、ドキドキしながら毎日ブドウ棚をチェックしていますが、今の所、全体的にとても元気で勢いが良く大丈夫そうです。
ここから下は、後日談です。
後日、我が家のブドウ棚の様子
5月中旬
5月中旬、現在のブドウ棚の様子です。今のところ、枝も葉もとても綺麗で元気です。
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6月のブドウ棚
6月上旬、雨期に入り2~3枚怪しい葉を見つけたのですぐに切除。すぐに3度目の消毒を行いました。このじめじめした時期が一番気を付けなければいけません。
6月中旬から梅雨に入り、予想通り枯れたり斑点になっている葉が数枚ほどでてきました。完全に黒とう病とわかる葉です。
前回切除した場所の近くに集中しています。その枝は良い房が付いていましたが念のために枝ごと切除。翌日は雨予報でしたが、たまらず4回目の最後の消毒を行いました。(オンリーワンフロアブルは収穫まで4回の消毒が行えます)
翌日、シャインマスカット農家の叔父が様子を見に来てくれたのでアドバイスを求めると、「梅雨の間に菌が増殖するので、もう1度、梅雨明けに5回目の消毒をした方が良い」と言われました。特に傘かけの前、房を念入りに消毒すると良いそうです。
今まで、房は食べる部分だからあまり消毒しちゃダメかな~と弱めに消毒していましたが、逆だったんですね~。
下の写真は現在のブドウ棚の様子です。
大きな房がたくさん実り今年は成績が良さそう。うれしくて見上げるたびに「にんまり」しちゃいます。(笑)
粒抜作業時に、黒い点がついている粒を2.3発見しましたが切除。収穫まで無事に育ってくれることを祈ります。
その後の様子は追ってまたご報告します。
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