『子夜帰』第34話では、梅逐雨(ばい・ちくう)が武祯(ぶてい)を救うため、彼女を常曦宮(じょうぎきゅう)へ連れて行きます。
記憶を失った武祯は、猫公としての過去も妖力もほとんど忘れていました。しかし常曦宮で思わぬ力を見せたことで、梅逐雨たちは改めて彼女の中に残る“猫公の力”を意識することになります。
その一方で、妖市では灰長老(はいちょうろう)が語った“過去の真実”によって、これまでの歴史が大きく揺らぎ始めます。
かつて妖市を作ったのは、本当に邪煞诡婴(じゃさつ・きえい)だったのか――。
そして猫公と蛇公は、なぜ诡婴を倒したのか。
18年前の事件だけではない、さらに古い因縁が少しずつ動き始めていきます。
また今回は、梅四(ばいし)と柳太真(りゅう・たいしん)の関係にも大きな変化がありました。人と妖では共に生きられない現実を前にしながらも、梅四の真っ直ぐすぎる想いが、少しずつ柳太真の心を揺らしていきます。
穏やかな時間の裏で、それぞれの別れや運命が静かに近づいていきます。
それでは、『子夜帰』第34話のあらすじ・ネタバレを紹介していきます。
※誤訳があったらごめんなさい。画像出典:公式SNS
『子夜帰 34』主な登場人物
武祯(ぶてい)
演:Tian Xiwei
猫公として人と妖の間に立つ存在。体の不調を抱えながらも、夫の梅逐雨との時間を大切に過ごしています。当初は別れを覚悟していたものの、子どもとの触れ合いをきっかけに、「人として生きたい」という想いが次第に強くなっていきます。記憶を失った現在も、無意識のうちに梅逐雨を求め続けています。
梅逐雨(ばい・ちくう)
演:Xu Kai
武祯の夫であり、玄鑑司(げんかんし)に所属する天師(てんし)。冷静沈着な性格ですが、武祯のことになると感情を抑えきれなくなる一面もあります。妖を憎んで生きてきた過去を持ちながらも、今は武祯を救う方法を探し続けています。常曦宮では、武祯を助ける手掛かりを求めて古書を調べ始めました。
梅四(ばいし)
梅逐雨の弟。
真っ直ぐで感情表現が素直な性格をしており、妖である柳太真(りゅう・たいしん)に深く惹かれています。人と妖では寿命も世界も違うと分かっていながら、それでも彼女と共に生きたいと願い、妖になる方法まで本気で信じ込んでいました。
柳太真(りゅう・たいしん)
妖市で暮らす妖の女性。
美しく妖艶な雰囲気を持ちながらも、感情を簡単には表に出しません。梅四から向けられる真っ直ぐな愛情に戸惑い、人間と深く関わることを避けようとしています。しかし彼の部屋いっぱいに飾られた自分の肖像画を見たことで、その気持ちは少しずつ揺らぎ始めています。
玄虺(げんき)
妖市に暮らす蛇妖。
長い修行を経て、まもなく“化龍(かりゅう)”を迎えようとしています。普段は飄々としているものの、梅四を唯一の親友として大切に思っており、自分が去った後のことを柳太真へ託しました。
灰長老(はいちょうろう)
妖市の長老格の妖。
人間への強い恨みを抱えており、かつて妖たちを救った邪煞诡婴(じゃさつ・きえい)の復活を望んでいます。猫公による現在の妖市支配にも不満を持っており、「再び妖が長安を支配する時代」を取り戻そうと暗躍しています。
瀟暮(しょうぼ)
常曦宮(じょうぎきゅう)の二師兄。
梅逐雨の師兄として彼を気に掛けており、武祯を救いたいという思いも共有しています。常曦閣(じょうぎかく)の鍵を梅逐雨へ渡し、禁書の中から治療法を探すよう協力しました。
連甫(れんぽ)
常曦宮に所属する術師。
梅逐雨の帰還を喜ぶ一方で、かつて猫公として恐れられていた武祯への警戒心を完全には捨て切れていません。現在の武祯が記憶を失い、以前とは違う存在だと理解しながらも、その恐怖は簡単には消えていない様子です。
『子夜帰』第34話 あらすじ ネタバレ

梅四(ばいし)と柳太真(りゅう・たいしん)は、その夜も遅くまで共に過ごしていた。ようやく京城へ戻って来た頃には、街はすでに深夜の静けさに包まれていたが、そこへ巡回中の黄毅(こうき)が現れる。
黄毅は梅四の馬車を見るなり、意味深な笑みを浮かべた。最近の梅四の様子から、女遊びでも覚えたのではないかと勘繰っていたのである。しかも、馬車の中には何か“隠している”気配がある。黄毅は半ば面白がるように「中を見せろ」と言い出し、強引に簾を上げようとした。
しかし、その瞬間――。
柳太真は静かに妖術を使い、青い煙となって姿を消す。
簾をめくった黄毅の目に映ったのは、誰もいない馬車だけだった。完全に肩透かしを食らった黄毅は気まずそうに咳払いし、「誤解だったようだ」とだけ言い残して立ち去る。
その場は何事もなく収まったものの、柳太真の胸には複雑な感情が残っていた。人と妖が共にいることは、やはり簡単ではない――そんな現実を改めて思い知らされたからだった。
その後、玄虺(げんき)が柳太真のもとを訪れる。
彼は静かに、自分がまもなく化龍し、この地を離れることを告げた。長く妖として生きてきた玄虺にとって、それは大きな転機だったが、彼の表情にはどこか未練も滲んでいる。
そして去る前に、「見せたいものがある」と柳太真を連れ出した。
向かった先は、梅四の部屋だった。
窓から忍び込んだ玄虺が視線を向けた先には、机いっぱいに並べられた生の鶏の心臓と鶏の血。そして壁一面には、柳太真の肖像画が飾られていた。小さな似顔絵まで含めれば、部屋中どこを見ても柳太真ばかりだった。
梅四は、どこかで聞きかじった“妖になる方法”を本気で信じていたのである。
生き血を飲み、妖の気を取り込めば、自分も妖へ近づける。
そうすれば柳太真と同じ時間を生き、離れずに済む――。
あまりにも不器用で、愚かしいほど真っ直ぐな想いだった。
玄虺は苦笑しながらも、真剣な眼差しで柳太真へ言う。
「俺には、あいつしか友がいない」
だからこそ、自分が去った後、梅四を独りにしないでほしい。妖市が忙しくなければ時々会いに来てやってほしい。梅四にとっては、それだけで嬉しいのだと。
その言葉を聞きながら、柳太真は何も答えられなかった。
彼女はこれまで、人間と深く関わることを避けてきた。寿命も、生きる世界も違う。最後に傷つくのは互いだと分かっていたからだ。
しかし今、梅四の部屋に残された無数の肖像画を見つめるうち、その決意が揺らぎ始めていた。
一方その頃、妖市では无字书(むじしょ)が一人、考え込んでいた。
斛珠(こくじゅ)は彼を気遣い、そばにいようとするが、无字书の意識は別の場所へ向いていた。彼は遠くに灰長老(はいちょうろう)の姿を見つけると、適当な理由をつけて斛珠を下がらせ、密かに灰長老と会う。
灰長老は「梅逐雨を始末するため妖市を出たい」と話し、协力を求める。しかし无字书は簡単には信用しない。灰長老の本心が別にあることを見抜いていた。
やがて灰長老は、隠していた本音を語り始める。
かつて自分たちは、ただ山奥で静かに暮らす弱い妖だった。しかし人間たちは欲望のまま山を奪い、戦乱を起こし、妖たちは居場所を失った。
そんな妖たちを受け入れたのが、“邪煞诡婴(じゃさつ・きえい)”だった。
诡婴こそが長安妖市を作った真の存在だったのである。
だがその後、猫公と蛇公が诡婴を討ち、妖市の支配権を奪った。以来、猫公は代々その地位を継承し続けている。
灰長老は、その歴史に強い恨みを抱いていた。
もし当時、自分が妖市にいたなら诡婴は敗れなかった。いつか必ず诡婴を復活させ、再び妖が長安を支配する時代を取り戻す――。
それは単なる昔話ではなかった。
18年前の诡婴事件、猫公が代々背負ってきた役目、そして武祯(ぶてい)の身体に封じられた元丹。そのすべてに繋がる危険な思想だった。

その頃、梅逐雨(ばい・ちくう)は武祯を連れて常曦宮(じょうぎきゅう)へ向かっていた。
武祯を救う方法を探すためである。
久々に戻った常曦宮で最初に出迎えたのは、無口な五師兄だった。相変わらず一言二言しか話さず、梅逐雨もそれ以上は聞かない。
そこへ連甫(れんぽ)が駆けつける。しかし武祯の顔を見た瞬間、彼の表情は強張った。猫公への恐怖がまだ消えていないのだ。
周囲の師兄たちは慌てて「今の武祯は違う」「もう仲間だ」と取りなす。
だがその反応は、武祯がかつてどれほど恐れられていたかを逆に物語っていた。
記憶を失った武祯は、猫公としての自覚も妖力もほとんど失っていた。
常曦宮を歩いている最中、彼女は誤って師兄たちが残した殺陣へ踏み込んでしまう。鋭い術式が一斉に起動し、誰もが凍りついた。
しかし次の瞬間――。
常曦锏(じょうぎけん)が突然震え、自ら武祯の手へ飛び込む。
武祯は無意識のままそれを振るい、激しい陣法をあっさり打ち消してしまった。
梅逐雨はその光景に驚く。
記憶を失ってもなお、武祯の中には猫公としての力が残っている。
それは希望でもあり、同時に彼女が“普通の人間には戻れない”現実を示すものでもあった。
その夜、无字书は奇妙な夢を見る。
血に染まった古戦場。
積み上がる死体。
その中央で、邪煞诡婴が一つの法器を手にしていた。
だが次の瞬間、その法器は戦乱の中で忽然と消える。
梦から目覚めた无字书は額に汗を浮かべる。
诡婴が探していたものとは何なのか。
そして失われた法器は今どこにあるのか。
その謎は、今後の運命を大きく左右する伏線となっていく。

一方、武祯は夜になっても眠れず、木を叩いて隣室の梅逐雨を呼び出す。二人は並んで座り、他愛もない話を交わす。
記憶を失っても、彼女は無意識に梅逐雨を求めていた。
翌朝、梅逐雨が武祯の部屋から出て来たところを、瀟暮(しょうぼ)たち師兄に見られ、気まずい空気が流れる。
瀟暮は慌てて武祯を“常曦宮の景色案内”へ連れ出し、その隙に梅逐雨へ常曦閣の鍵を渡した。
そこには禁書や古い記録が眠っている。
もしかすれば武祯を救う方法もあるかもしれない――。
梅逐雨は師兄たちと共に古書を探し始めるが、有力な手掛かりは見つからない。
その頃、武祯は常曦宮を自由気ままに歩き回っていた。そして鍛錬場で上半身裸の弟子たちが稽古しているのを見つけると、面白そうに眺め始める。
その無邪気な笑顔を見た梅逐雨は、思わず嫉妬してしまう。
深刻な問題を抱えていても、二人の間には相変わらず夫婦らしい空気が流れていた。
一方、梅四は柳太真に避けられていることに気づき、落ち込んでいた。
そんな中、玄虺から柳太真が玉真坊(ぎょくしんぼう)にいると聞く。
玄虺は本当は、自分が今夜にも化龍のため旅立つことを伝えようとしていた。しかし梅四は最後まで聞かず、勢いよく飛び出して行ってしまう。
玉真坊では、梅四が来たと知った柳太真が慌てて裏口から逃げようとしていた。
だが、そこにはすでに梅四が待っていたのだった。
『子夜帰』第34話 の感想

今回はかなり“切ない空気”が強い回でしたね。
大きな戦いがあるわけではないんですが、そのぶん「今の時間がずっと続くわけではない」という寂しさが全体に流れていました。
まず印象的だったのは梅四(ばいし)です。
柳太真(りゅう・たいしん)と一緒にいたい一心で、「妖になれる」と信じて生の鶏の心臓や血まで用意しているのが、あまりにも不器用でした。
正直かなり無茶なんですが、それくらい本気なんですよね。
しかも部屋中に柳太真の肖像画を飾っているのもすごかったです。あそこまで真っ直ぐに想われたら、柳太真が動揺するのも当然ですよね。
これまで柳太真は、人間に深入りしないよう距離を取っていましたが、今回は完全に気持ちが揺れていましたね。梅四が来たと聞いて逃げようとする場面も、嫌だからではなく、むしろ意識しすぎている感じですよね。
そして玄虺(げんき)。
普段は軽い雰囲気なのに、「梅四しか友がいない」と真面目に語る場面はかなり良かったです。化龍して去るようですが、もう少し、ドジョウみたいな小さな蛇の姿で笑わせてほしかったなぁ。
一方で、妖市側はかなり不穏でした。
灰長老(はいちょうろう)の話で、これまでの印象が大きく変わりましたね。
邪煞诡婴(じゃさつ・きえい)は単なる災厄ではなく、居場所を失った妖たちを救った存在だったかもしれない。もちろん灰長老側の視点ではありますが、「人間側が絶対に正しいわけではない」という、この作品らしい複雑さが出ていました。
常曦宮(じょうぎきゅう)パートは少し穏やかでしたね。
記憶を失った武祯(ぶてい)はかなり自由で、夜中に木を叩いて梅逐雨(ばい・ちくう)を呼ぶ場面も可愛かったです。翌朝、師兄たちに見つかって気まずくなる流れも、夫婦らしくて微笑ましかったですね。
あと、鍛錬している弟子たちを見て楽しそうにしている武祯に、梅逐雨がちゃんと嫉妬しているのも面白かったです。
こういう何気ない夫婦のやり取りがあるからこそ、二人の未来を考えると余計に切なくなるんですよね。
そして今回かなり気になったのが、武祯が常曦锏(じょうぎけん)を使えたことです。
長明(ちょうめい)でさえ呼び出すことができなかった法器なのに、武祯は無意識のまま自然に手にしていました。
記憶を失っていても、猫公としての力や、本来持っている何かは消えていないということなんでしょうね。
あの場面は驚きましたし、かなり意味深でした。
今後、この“常曦锏が武祯を選んだ”ことが、物語の大きな鍵になっていきそうです。。
それから、无字书(むじしょ)の夢もかなり気になりました。
血まみれの古戦場に、消えた法器――。
完全に今後へ繋がる伏線でしたね。
全体として今回は、
穏やかな時間の裏で、少しずつ不穏さが積み重なっていく回だったと思います。
特に梅四と柳太真の関係は、一気に感情が動き始めた感じがして、続きがかなり気になります。
『子夜帰 34』用語解説
邪煞诡婴(じゃさつ・きえい)
18年前の“诡婴事件”の元凶とされる、強大な邪妖。
灰長老(はいちょうろう)の話によれば、かつて居場所を失った妖たちを受け入れ、「妖市(ようし)」を築いた存在でもありました。しかし後に猫公と蛇公によって倒され、現在はその力だけが封じられている状態です。武祯(ぶてい)の身体に封じられている“元丹(げんたん)”も、もともとは诡婴のものです。
猫公(びょうこう)
妖市を守る支配者的存在。代々受け継がれる特別な役目でもあります。
危険な妖力や災いを自らの身体へ封じ込め、妖市の均衡を保つ存在であり、武祯もまた現在の猫公です。しかし記憶を失った今の武祯は、自分が猫公であることすら忘れています。
蛇公(だこう)
猫公と並び、かつて妖市を支えていた存在。
灰長老の語る過去では、猫公と蛇公が協力して邪煞诡婴を倒し、妖市の支配権を握ったとされています。ただし、その歴史が真実なのか、一方的な見方なのかはまだ不明です。
常曦宮(じょうぎきゅう)
天師(てんし)たちが修行を積む名門の術師組織。
梅逐雨(ばい・ちくう)がかつて所属していた場所でもあり、多くの師兄たちが暮らしています。妖を討つ力を持つ一方で、妖に対する強い恐怖や偏見も根深く残っています。
常曦锏(じょうぎけん)
常曦宮に伝わる強力な法器。
本来は術者が扱う武器ですが、第34話では武祯が無意識にこれを手に取り、暴走した陣法を打ち消しました。記憶を失ってもなお、武祯の中に猫公としての力が残っていることを示しています。
殺陣(さつじん)
敵を攻撃・排除するために作られた危険な陣法。
常曦宮では修行や防衛のため各所に設置されており、武祯は誤ってその一つを発動させてしまいました。
常曦閣(じょうぎかく)
常曦宮の内部にある書庫・秘蔵庫のような場所。
古い術書や禁書、過去の記録などが保管されており、瀟暮(しょうぼ)は梅逐雨へ鍵を渡し、ここで武祯を救う方法を探すよう託しました。
灰長老(はいちょうろう)
妖市の長老格の妖。
表向きは妖市のために動いていますが、実際には邪煞诡婴の復活を望んでいます。人間への強い憎しみを抱えており、「再び妖が長安を支配する世界」を目指しています。
化龍(かりゅう)
長い修行を積んだ妖が、龍へと昇華すること。
玄虺(げんき)はまもなく化龍を迎えるため、妖市を離れようとしています。妖にとっては大きな到達点であり、別れも意味する重要な転機です。
玉真坊(ぎょくしんぼう)
長安にある華やかな歓楽街。
柳太真(りゅう・たいしん)が身を置くことも多く、人と妖が入り混じる独特の空気を持つ場所です。梅四(ばいし)は柳太真を追ってここへ向かいました。
『子夜帰』第35話 あらすじはこちら

