第13話では、これまでの戦いの余波が残る中で、長安の異変が一気に広がっていきます。
各地で結界に裂け目が生じ、人間の世界と妖の世界の境が揺らぎ始めます。結界とは両者を隔てる見えない境界のようなもので、これが崩れると得体の知れない怪異が現れるようになり、街には不穏な空気が漂い始めます。
そんな中、武祯(ぶてい)は結界の修復に奔走し、梅逐雨(ばい・ちくう)は柳巷(りゅうこう)で起きている異変の調査へと動き出します。一方で无字书(むじしょ)にもこれまでとは違う変化が見え始め、物語はさらに不穏さを増していきます。
それでは、『子夜帰』第13話のあらすじ(ネタバレ)を紹介していきます。
※誤訳があったらごめんなさい。画像出典:公式SNS
『子夜帰 14』主な登場人物
武祯(ぶてい)
演:Tian Xiwei(ティエン・シーウェイ)
妖市の「猫公」です。長安の妖を統べる立場にあります。第14話では、如意楼の摘発に関わる策を巡らせ、その効果を見守ります。また梅逐雨との関係では、桃林で心を通わせかけるものの、彼の態度によってすれ違いが生じ、感情をあらわにする場面が描かれます。
梅逐雨(ばい・ちくう)
演:Xu Kai(シュー・カイ)
玄鉴司の司使です。第14話では、柳巷の一件の後も独自に行動し、夜の街での出来事や桃林での再会を通じて武祯との距離を縮めかけます。しかし常曦宫の規律を思い出し、自ら関係を断とうとします。また宿では冷静に盗賊へ対処し、不審な人物に対しても警戒を見せます。
霜降(そうこう)
梅逐雨の弟弟子で、常曦宫の天師です。第14話では斛珠とともに如意楼の捜索に関わり、その後は梅逐雨と行動を共にします。宿では盗賊を制圧する活躍を見せる一方、食事の後に中毒症状に見舞われる場面も描かれます。
斛珠(こくしゅ)
如意楼を取り仕切る狐妖です。第14話では如意楼に潜入し、五石散を発見します。さらに証拠を自ら提示することで摘発を決定づけ、状況を動かす重要な役割を果たします。
柳太真(りゅう・たいしん)
妖市の「蛇公」です。第14話では如意楼での動きを遠くから見守り、策の成果を確認します。また梅四に対しては冷淡な態度を崩さず、感情を表に出さない姿が描かれます。
凌霄(りんしょう)
柳太真の配下で、実務的な役割を担っている人物。
普段は市井に溶け込む形で店(香辛料など)を営みながら、必要に応じて柳太真の指示で動きます。
梅四(ばいし)
梅逐雨の弟です。第14話では柳太真に想いを寄せ続けており、冷たくされても気に留めない様子が描かれます。また自室にこもって文章を書き、周囲の誤解を招く騒動も起こします。
黄毅(こうき)
長安の巡防校尉です。第14話では如意楼の捜索に関わり、五石散の発見を受けて封鎖と取り締まりを行います。
裴季雅(はい・きが)
長安を離れていた人物です。第14話で登場し、香に精通している様子を見せます。表向きは穏やかに振る舞いますが、裏では盗賊騒ぎを仕組み、梅逐雨を探る行動をとります。さらに武祯と深い関係を持つことが明らかになります。
玄虺(げんき)
不思議な力を持つ存在です。第14話では文章を書くことを助けたり、体で文字を形作るなどの行動を見せます。
(不明)屋敷の使用人
武祯の屋敷に仕える者です。第14話では会話を密かに聞き取り、その内容を伝書鳩で外部に送ります。詳細な素性や目的は描写なしです。
『子夜帰』第14話 あらすじ ネタバレ

柳巷(りゅうこう)では、「妖が出た」という噂が広がっていた。
斛珠(こくしゅ)はひそかに柳巷に戻ると、探していた禁薬・五石散(ごせきさん)を見つける。
ちょうどそのタイミングで、霜降(そうこう)は黄毅(こう・き)ら役人を連れて柳巷の捜索にやって来る。黄毅は、霜降が言うように本当に五石散があるのか半信半疑で口論している。
それを見た斛珠は、物陰から五石散を黄毅たちの前へ投げ落とす。証拠を目の当たりにした役人たちは、ようやく事態を本気で受け止め、封鎖と徹底的な捜索を始める。
これは武祯(ぶてい)が仕組んだ策だった。柳巷で起きた異変の正体が「妖」であることを隠すため、「この一帯には幻覚を見せる禁薬・五石散が出回っている」という形にすり替える。
さらに、人が誤って井戸に五石散を混入させ、それを飲んだことで幻覚を見たのだと思わせることで、「妖の出現」という噂を打ち消そうとしていた。
その狙いは功を奏し、役人たちも含めて事態は禁薬によるものだと認識されていく。
少し離れた馬車の中では柳太真(りゅう・たいしん)がその様子を見守っており、武祯の打った策がうまく働いたことに満足していた。
そこへ梅四(ばいし)が、柳太真が来ていると聞きつけて現れる。彼は相変わらず嬉々として柳太真に話しかけるが、柳太真の態度は冷たい。それでも梅四はまったく懲りず、自分が書いた不可思議な現象を物語にして柳太真に贈ることまで口にし、睨みつけられなかっただけでも十分嬉しいと一人で喜んでいた。
その夜、梅逐雨(ばい・ちくう)は静かな路地をひとり歩いていた。道端では老いた農夫が桃を売っている。梅逐雨はその姿に心を動かされ、桃を買い取る。するとそこへ武祯がふいに現れ、桃を欲しがる。梅逐雨は桃についた露や汚れを自分の袖で丁寧にぬぐってから武祯に手渡す。そのさりげなくも細やかな気遣いに、武祯はよろこぶ。
しかしその桃は、酸っぱく武祯は顔をしかめる。
老いた農夫は、年をとり味覚がなかったのだ。そんな農夫に「甘いよ」と優しい嘘をつく梅逐雨に武祯は、心を動かされる。二人の間には、言葉にしなくてもわかるようなやわらかな空気が流れ、翌日また会う約束へとつながっていく。
その一方で、霜降(そうこう)は斛珠(こくしゅ)を連れて如意楼で食事をしていた。手元の銀は多くないにもかかわらず豪華な料理を並べているが、実際には店主である斛珠が気を利かせて用意したものだった。
霜降は今回、別れを告げるために斛珠のもとを訪れていた。名残惜しさをにじませながらも、自分には果たすべき使命があると告げる。その言葉に斛珠は一瞬だけ寂しそうな表情を見せるが、すぐにいつものように微笑み、馬を買うなら北街へ行くといいと教えて静かに見送る。
そこへ凌霄(りんしょう)が現れる。彼はその様子を見て、斛珠が霜降に対してだけ特別な態度を取っていることに不満を抱き、あからさまに焼きもちを見せる。
翌日になると、霜降は買ったはずの馬が車につながれ、斛珠(こくしゅ)がそばにいるいるのを見つける。馬車は、武祯との約束を守るため梅逐雨が用意したもので、すでに2人は桃林を歩いていた。
梅逐雨は本当に旅立つつもりなのか、それとも表向きそう見せているだけで別の考えがあるのか、霜降は不審に思う。
武祯は梅逐雨のために折った桃の花を贈る。二人は桃の花の咲く中を並んで歩き、静かに言葉を交わす。そこで梅逐雨は、ついに以前の“口づけ”の件を持ち出す。だが武祯は、あれは誤解から起きたことで、特別な意味があったわけではないと説明する。梅逐雨はそれ以上問い詰めなかったが、その説明が二人の距離を近づけたのか、逆に少し曖昧にしたのかは、その場でははっきりしないままだった。
やがて二人は木の下に腰を下ろす。武祯は、枝先の花が少しずつ減っていくのを見つめながら、もし術で花をずっと咲かせておけたらいいのに、と口にする。季節に逆らわず、それでも美しい時間だけは留めておきたい。そんな気持ちがにじむ言葉だった。だが梅逐雨は静かに、四季には決まりがあり、花には咲く時と散る時がある、たとえ強い術があっても天の理に逆らうことはできないと答える。
その答えに武祯はむっとし、手にしていた草を風の中へ投げる。けれどその後、話題は少しやわらぐ。梅逐雨は、屋敷の軒先によく現れる狸花猫のことを思い出し、不思議と縁を感じるように語る。すると武祯は急に機嫌を直したように笑い、その猫は人を見る目があるのだと言う。そして、梅逐雨のそばに寄っていくその猫は、まるで自分と同じだと、半ば冗談、半ば本音のように話す。梅逐雨が魅力的だから、つい惹かれてしまうのだと。
そうして二人は見つめ合い、自然と距離が近づき、唇を重ねようとする。気持ちは確かにそこにあった。だがまさにその瞬間、梅逐雨の脳裏によぎったのは常曦宫(じょうぎきゅう)の厳しい戒めだった。私情に流されてはならないという掟が、彼を強く引き戻す。梅逐雨は我に返ったように身を引き、「これは規矩に反する」として感情に踏み込むことを拒む。さらに、自分は元気になったので、武祯の屋敷を出るつもりだと告げ、この想いを断ち切ろうとする。
その言葉に武祯は深く傷つき、怒りをあらわにする。彼女は梅逐雨が用意していた馬車をそのまま奪うように乗って去ってしまう。取り残された梅逐雨と霜降は、ただ顔を見合わせるしかなく、結局二人は歩いて戻る羽目になる。
その頃、梅四は自分の部屋に閉じこもっていた。父親は、どうせまたこっそり絵でも描いているのだろうと決めつけ、怒って乗り込もうとする。ところが部屋の中で梅四が向かっていたのは机で、しかも意外にも文章を書いていた。父は一瞬驚く。実はこれは玄虺(げんき)が陰で力を貸していたためだった。
しかし父は机の上に置かれた文魁を見て、また別の誤解をする。息子がくだらない遊びや賭け事に夢中になっているのではないかと怒り出すのだ。梅四は慌てて、それは文昌帝君の生まれ変わりのようなありがたい存在なのだと説明する。玄虺も必死にその場を取り繕い、自らの体で「文」の字を形作って見せる。すると父はすっかり信じ込み、態度を一変させ、恭しくそれを祀り始める。
一方、武祯は屋敷へ戻った後も、斛珠に梅逐雨への不満をぶつけていた。そのやり取りを、そばにいた下僕がひそかに聞いている。そして夜になると、その者はこっそり伝書鳩を放ち、どこかへ情報を送る。誰に伝えたのか、その時点では不明だが、屋敷の中に情報を流している者がいることだけははっきりする。
その後、梅逐雨と霜降は宿に泊まる。霜降は勢いよくたくさんの料理を注文し、食事の場でも騒がしい。一方で、隣の席にいる白衣の男が気になって仕方ない。妙に厚着をしており、見た目からしてどこか不自然だった。霜降があれこれ言いたがるのを、梅逐雨はたしなめ、余計な詮索はするなと制する。
ところがその時、宿に黒装束の男たちが押し入り、刀を振りかざして客たちから金を奪おうとする。宿にいた客たちは恐れおののき、次々と財布を差し出す。だが梅逐雨と、隣にいた白衣の男だけは落ち着き払って動かない。賊の頭目が梅逐雨の前まで来て金を出せと脅すと、梅逐雨は金は部屋に置いてあると告げ、取りに行くなら案内すると平然と応じる。賊たちはそれを信じ、次々に部屋へ入っていく。
しかし部屋の中には霜降が待ち構えていた。押し入ってきた賊は一人、また一人と音もなく制圧されていく。そこへ官兵も駆けつけ、賊たちはまとめて捕らえられる。
この騒ぎの後、隣席にいた白衣の男は裴季雅(はい・きが)と名乗り、梅逐雨たちに礼を述べる。そして二人を食事に誘う。梅逐雨は乗り気ではなかったが、霜降は空腹に勝てず、結局同席することになる。裴季雅は食事の前に侍女に毒見をさせてから箸をつけるほど慎重な人物だった。
席で裴季雅は、自分は長年長安を離れていたこと、香に詳しいことを語る。そして梅逐雨の体に残る傷の気配や、そこにまじる女の香りまで嗅ぎ取ってみせる。さらに自分は長く病を抱えていたが、それも少しずつ良くなってきたこと、今回長安に戻ってきたのは幼なじみを探し、これからはその相手と末長く寄り添いたいからだと話す。梅逐雨は杯を上げてその再会を祝うが、心の中ではこの男にどこか拭えない不自然さを感じ取っていた。
食事の後、霜降は突然ひどい腹痛を訴える。梅逐雨はただの食あたりではなく、中毒の症状もあると見抜き、急いで霜降を医者のもとへ連れて行く。
その隙に、裴季雅(はい・きが)は侍女とともに梅逐雨の部屋へ忍び込む。ここでようやく、彼の正体と本心が明らかになる。裴季雅は武祯の表兄で、幼い頃から武祯に想いを寄せていた。そして先ほどの宿での盗賊騒ぎも、偶然ではなく彼が仕組んだ芝居だった。今回長安へやって来たのも、梅逐雨という存在を見極め、必要なら排除するためだった。
だが梅逐雨は食事も酒も口にしておらず、毒にかかっていなかった。裴季雅はその慎重さと只者ではない様子を認めつつも、今のところ梅逐雨は武祯の心を完全に得ているわけではないと判断する。そしてひとまずは大きな脅威ではないと見て、その場を去り、長安へ向かうのだった。つづく
『子夜帰』第14話 の感想
第14話は、とにかく「近づいたのに離れる」切なさが強く残る回でした。
シューカイ(許凱)ファンとしては、やはり梅逐雨(ばい・ちくう)の感情の揺れに注目せずにはいられません。桃林のシーンは本当に美しくて、空気感も柔らかくて、「やっとここまで来た…!」と思ったのに、その直後に自分から距離を取ってしまう流れがつらすぎました。
特に印象的だったのは、キスの話題を自分から切り出すところです。
キスとは『子夜帰6』で、梅逐雨が瘴毒に侵された際に、武祯は彼を助けるため口づけし毒を少しずつ吸い出したときのことですね。
梅逐雨が、ちゃんと向き合おうとしているのが伝わってきて、梅逐雨の誠実さがよく出ていました。でもそのあと、常曦宫の規律を思い出して一気に引いてしまう。その“感情と理性の間で揺れる演技”が本当に繊細で、シューカイの魅力がしっかり感じられるシーンでした。
武祯(ぶてい)との関係も、この回で一気にすれ違いが深まった印象です。武祯はわりとストレートに気持ちを出すタイプなので、梅逐雨の態度は余計に冷たく感じたはずです。馬車を奪って去るシーンは怒りだけでなく、傷ついた気持ちも強く伝わってきて、見ていて胸が痛くなりました。
今回も梅四(ばいし)、やっぱり良いですね。
柳太真の馬車の窓からひょいっと顔を出すあの登場の仕方、毎回コミカルでつい笑ってしまいます。今回も期待を裏切らず、しっかり追い返されていました。
さらに、梅四の父親のシーンもかなり印象に残りました。
梅四のあの性格は父親譲りなのかもしれません。黒へびの妖を崇めて走り回る様子は見ていて思わず笑ってしまいました。とはいえ、黒へびは大妖ということなので、この先騙されないか少し心配になります。でも、お重の中に入っている姿はどこか可愛らしく感じました。
そして今回の大きなポイントは、新キャラクターの裴季雅(はい・きが)の登場です。
最初は落ち着いた雰囲気の人物に見えましたが、盗賊騒ぎをすべて仕組んでいたとわかり、一気に印象が変わりました。かなり頭の切れる人物という印象です。
見た目も整っていて、衣装や侍女を従えている様子からも身分の高さが感じられます。さらに、右目の奥に見える炎のような光や黒い影も気になります。はっきりした描写はありませんが、人間ではない妖怪である可能性を感じさせる演出でした。
伝書鳩を放った「武祯の屋敷のスパイ」は、こいつの手下なのかもしれません。
体が弱いと語っていましたが、それとは裏腹に内に秘めた力は強そうですし、何より梅逐雨を恋敵と見て排除しようとするところがかなり危険な人物です。静かに近づいてくるタイプの怖さがあります。
梅逐雨もどこか違和感を覚えている様子で、完全には信用していないのが伝わってきました。この二人の関係が今後どう展開していくのか、とても気になります。
『子夜帰 14』用語解説
五石散(ごせきさん)
人間に害を及ぼす危険な薬です。作中では柳巷を中心に流通しており、使用した者は異様な体験をしたり、妖の影響を受けやすくなる状態に陥ります。現代でいう麻薬のような存在として描かれており、依存や精神への影響も示唆されています。第14話では如意楼の内部から発見され、摘発の決定的な証拠となります。柳巷で広がる騒動の中心となる存在であり、人間と妖の問題にも関わる危険な薬です。
柳巷(りゅうこう)
長安の花街です。人の出入りが多い場所で、第13話では結界の異変により妖が目撃され、噂が広がります。第14話では、その噂を抑えるための対応が行われます。
桃林(とうりん)
桃の花が咲く場所です。第14話では、美しい風景の中で心を通わせかけた関係がすれ違う、重要な転機の場として描かれます。
常曦宫(じょうぎきゅう)
妖を退治する除妖師の組織です。かつて妖市と対立していたとされ、100年近く姿を消していると考えられていました。第7話で現在も存在していることが明らかになります。修行は暗記中心で実戦が少なく、複数の先輩がいることが語られています。第14話では、この組織の規律が強く意識され、感情よりも規則を優先する判断に影響を与えます。
伝書鳩(でんしょばと)
手紙や情報を運ぶための手段です。第14話では、屋敷内の会話を聞いた者が密かに鳩を飛ばし、外部へ情報を流します。内部に情報漏洩があることを示す重要な要素です。
香(こう)
香りによって人の状態や気配を読み取る技術・知識です。第14話では、傷の有無や他人の気配まで嗅ぎ分ける描写があり、人物の能力を示す要素として登場します。
文魁(ぶんかい)
学問や文章に関係する象徴的な存在です。第14話では机の上に置かれており、誤解の原因となりますが、詳細な説明は描写なしです。
玄虺(げんき)
術を使う存在です。第14話では、文章を書くことを助けたり、自らの体で文字の形を作るなど、不思議な力を持つ様子が描かれます。
土匪(どひ)
盗賊の集団です。第14話では宿に押し入り、客から金銭を奪おうとしますが、最終的に制圧され捕らえられます。この騒動は意図的に仕組まれたものであったことが描かれます。
『子夜帰』第15話 あらすじはこちら

