楽しみにしていたシャインマスカットの収穫時期。
ところが9月、ブドウ園を見回っていると、袋掛けした袋に何やら黒いシミが……。
「ん? なんだろう?」
嫌な予感がして袋を開けてみると、
え~~~!! シャインマスカットが真っ黒!!
1房の1/4ほどが黒く腐り、汁が袋の中に垂れていました。
さらにひどいものは、房全体が真っ黒。
袋掛け前にはきちんと消毒したし、消毒後1日以内に袋掛けをしたのに、どうして?
症状や発生時期を調べてみると、どうやら「晩腐病(おそぐされびょう)」の可能性が高そうです。
しかも、この病気。
袋を掛ける前に感染していても、その時には症状が現れず、シャインマスカットが成熟する収穫期になってから発病することがあるというから驚きです。
まさに今回の我が家のシャインマスカット!!
そこで、晩腐病について山梨県などの公的な防除情報も調べ、残りの房を守るために対処することにしました。
この記事では、
・袋掛けしたシャインマスカットが黒く腐った症状
・晩腐病はなぜ収穫直前に突然現れるのか
・袋掛けしても病気になった理由
・黒い粒を見つけた時の対処法
・栽培8年目、今年の消毒で反省していること
・完熟を待たず早めに収穫することにした理由
・収穫後の選別や遠方への発送
など、今回実際に経験したことを詳しくまとめます。
同じように、
「袋を開けたらシャインマスカットが黒くなっていた!!」
という方の参考になれば幸いです。
※今回の病害については、症状や発生時期、公的機関の資料などから晩腐病の可能性が高いと考えていますが、専門機関で病原菌を検査したものではありません。同じような症状でも別の病気の場合がありますので、参考としてお読みください。
- 袋に黒いシミ!! 開けたらシャインマスカットが真っ黒
- シャインマスカットの「晩腐病」の可能性が高そう
- 晩腐病は「感染した時」と「発病する時」が違う!?
- 袋掛けしているのに晩腐病になるの?
- 栽培8年目!! 今年のシャインマスカットの出来は?
- なぜ今年は晩腐病が出た?私なりの3つの反省点
- 甘くなったら晩腐病が一気に増えた!?
- 黒い粒を見つけたらどうする?公的な防除情報を調べて対処
- 病気が広がる前に、怪しい房は早めに収穫!!
- 収穫まであと1~2週間待ちたかったけど……
- いつもは10月下旬まで「毎日1房♪」
- 県外の親戚へは、健全な房を選んでクール便
- 今回一番反省した「袋掛け前までの防除」
- まとめ★袋の黒いシミを見つけたら早めに確認を
袋に黒いシミ!! 開けたらシャインマスカットが真っ黒
異変に気づいたのは9月6日。
シャインマスカットもだいぶ大きくなり、
「あと1週間くらい置いたら、もっと甘くなるかな~♪」
なんて考えながらブドウ棚を見回っていました。
すると、袋に黒っぽいシミが付いています。
以前から1房くらい、袋の汚れには気づいていたのですが、この日はなんとなく気になって袋を開けてみました。
すると……

中のシャインマスカットが真っ黒!!
しかも、黒くなった粒から汁が出て、袋まで汚れています。
最初に確認したのは4房。
どれも同じような症状でした。

1~2粒だけ黒くなっているものもあれば、房の1/4ほどが黒くなっているもの。
ひどいものは、ほぼ1房全体が真っ黒です。
「袋掛けしてあるのに、どうして?」
これが最初の疑問でした。
シャインマスカットの「晩腐病」の可能性が高そう

症状や発生時期から調べていくと、今回もっとも疑わしいのが、
晩腐病(おそぐされびょう)
でした。
実は我が家では以前にも、晩腐病・べと病でシャインマスカットをかなり減らしてしまった経験があります。
その時の様子と対処法はこちら↓
以前はまだ実が小さい時期に異変に気づきました。
ところが今回は違います。
9月の収穫直前。
しかも袋の外からは果粒が見えないので、袋に黒い汁が染み出して初めて気づきました。
これにはびっくりしました。
晩腐病は「感染した時」と「発病する時」が違う!?
今回、晩腐病について改めて調べて、一番驚いたのがこれです。
山梨県病害虫防除所によると、ブドウの晩腐病は、
開花直前~幼果期に感染し、収穫期になって発病する
ことがあるそうです。
つまり、
「9月に黒くなった」=「9月に菌が入った」
とは限らないということ。
ずっと前に感染していて、それが収穫期になって表面に現れた可能性があるんですね。
さらに晩腐病は、成熟した果実では淡褐色の小さな病斑から、墨がにじんだように病斑が広がり、腐敗していくことがあります。
そして感染には雨が大きく関係していて、病原菌の胞子が雨滴によって飛散します。
梅雨時期の降雨は初期の感染を、成熟期の降雨は発病した果実からの二次感染を増やすとされています。
「なるほど~~~」
今年の我が家の栽培を振り返ると、思い当たることがいくつもありました。
袋掛けしているのに晩腐病になるの?

これも今回、とても不思議だったこと。
我が家では病気を防ぐため、袋掛け前には必ず消毒しています。
今回は消毒後1日以内に袋掛けしました。
袋掛けについてはこちらで詳しく紹介しています↓
親戚のブドウ農家からも、
「袋掛け前には、しっかり消毒してから掛けるんだよ」
と教わっていたので、そこは守ったつもりでした。
それなのに、なぜ?
でも「潜伏感染」を知ると、辻褄が合います。
袋を掛けた時には、すでに感染していた可能性がある。
袋掛けは雨などによる新たな感染を防ぐためにとても大切ですが、すでに感染している果粒の菌を消してくれるわけではありません。
さらに、袋の中で1粒が発病すると、その発病果粒から健全な粒へ感染が広がることもあります。
実際、山梨県の防除情報でも、袋を掛けているブドウでは「発病した果粒が袋内で感染を拡大させる」と注意喚起されています。
今回、1~2粒だけ黒い房から、房全体が真っ黒になったものまであった理由も、これなら納得できます。
栽培8年目!! 今年のシャインマスカットの出来は?
ここで、毎年我が家のシャインマスカットを楽しみにしてくださっている読者さんもいらっしゃるので、今年の様子を少しご報告(^^)/
シャインマスカットを育てて8年目。
今年は、実の付きが悪くなった古い枝を思い切って切り落とし、新しく伸びた元気な枝を主軸にしました。
そのため房数は、
約250房 → 約200房。
例年より少なくなりました。
でも、そのぶん栄養がしっかり行き届いたようです。

粒が大きい!!
房も立派!!
色もきれい!!
「今年はなかなか良いシャインマスカットができたぞ~♪」
と、収穫をとても楽しみにしていました。
詳しい今年の栽培記録や出来については、また別の記事でご報告しますね。
そんな年だっただけに、収穫直前のこの病気は本当に残念でした。
なぜ今年は晩腐病が出た?私なりの3つの反省点
病気が出てから、
「今年は何がいけなかったんだろう?」
と、8年目の栽培を振り返ってみました。
思い当たることがあります。
反省1.1月の消毒を忘れてしまった
まず、冬に予定していた消毒を忘れてしまいました。
晩腐病菌は、結果母枝や巻きひげなどで越冬することが知られています。
そのため、前年の病気の状況によっては冬からの管理も大切。
今年は、このスタート部分から少し油断してしまいました。
反省2.4月以降の消毒が1~2回少なかった
これが一番の反省点です。
今年は葉っぱがとっても元気だったんです。
目立った病変もなく、
「まだ大丈夫そう」
「もう少し後でもいいかな」
と、消毒を先延ばしにしてしまいました。
その結果、予定していた回数より1~2回少なくなり、時期によっては1か月に1回程度に。
我が家の消毒時期はこちらにまとめています↓
自分で消毒カレンダーを作っておきながら、
自分が守ってないじゃん!!
ですよね(笑)
葉っぱが元気だからといって、病原菌がいないわけではありません。
特に晩腐病は、症状が出るずっと前に感染している可能性があります。
来年は、
「見た目が元気でも消毒を先延ばしにしない!!」
これ、絶対です。
反省3.消毒後に雨が降ることが多かった
消毒そのものは、毎回しっかり行ったつもりです。
ところが今年は、
「よし、消毒終了!!」
と思ったら、その後雨……。
ということが何度かありました。
晩腐病菌は雨滴によって飛散し、特に梅雨期の降雨で感染が増えやすいとされています。
もちろん今回の発病が、
「消毒回数が少なかったから」
だけとは断定できません。
天候や感染時期など、いくつもの条件が重なったのだと思います。
でも少なくとも、
「葉が元気だから大丈夫」
と消毒を先延ばしにしたことは、今年の大きな反省点です。
甘くなったら晩腐病が一気に増えた!?

そして今回、とても興味深かったのが、病気を発見した日と房数です。
忘れないように記録しておきます。
9月6日 4房
発病……4房。
食べてみると、
「甘いけど、もう少し木に置いておきたいな~」
という感じ。
いつもの我が家なら、まだ収穫を急ぎません。
9月8日 10房!!
わずか2日後。
袋を確認すると……
10房!!
一気に増えました。
そしてシャインマスカットを食べてみると、9月6日より甘みが増しています。
「まあまあ甘い♪」
というくらい。
ここで、
「甘くなってきたのと、病気が増えたのって関係ある?」
と思いました。
晩腐病は潜伏期間が長く、成熟期になって発病する病気です。
感染していた果実がちょうどこの時期になって次々と発病した可能性も考えられます。
甘くなるのを待ちたい私 VS 収穫期に発病してくる晩腐病。
これは困りました。
9月10日 2房
さらに2日後。
この日は2房。
甘さは、まあまあ。
「感染していた房が、これで全部出てくれたかな?」
と期待していますが……
どうでしょう。
まだ油断できません。
黒い粒を見つけたらどうする?公的な防除情報を調べて対処
さて、一番困ったのが、
「残りの房をどうすればいいの?」
ということ。
自己流で病気の粒を取るだけでは心配なので、晩腐病が発生した場合の対処法を調べました。
山梨県の防除情報では、
発病した果粒は見つけ次第摘粒し、園外へ持ち出して適切に処分する
よう指導されています。
さらに、袋掛けしているブドウについては、発病した粒から袋の中で感染が広がる可能性があるため、
発病粒を摘粒し、新しい袋に掛け替える
という対策が示されています。
山梨県の公的資料にも「発病果粒を見つけ次第摘粒して園外へ持ち出す」「袋内で発病した場合は摘粒して新しい袋へ掛け替える」と明記されています。
なるほど。
「黒い粒だけ取れば終わり」ではなく、
病果を取り除く+園外処分+汚染された袋も交換
なんですね。
そこで我が家でも、この方法で対処することにしました。
黒い粒はハサミで切除
最初に見つけた2~3房は、黒くなった粒をハサミで切り取りました。
黒く腐った粒を手で引っ張ると潰れてしまうので、粒が付いている細い枝(小果梗)ごと切除。
黒い汁が他のきれいな粒に付かないよう注意しました。
そして、病気の粒はブドウ棚の下へポイッ!!
……ではなく、
園外へ持ち出して、ビニール袋に入れて厳重密閉して処分。
使ったハサミも、洗って消毒。
これも大切ですね。
黒い汁で汚れた袋も捨て、新しい袋へ交換しました。
でも200房全部やるのは大変!!
ところが……
他の袋を見てみると、
「あっ、ここにも!!」
「あっちにもある~~!!」
思っていた以上に、黒いシミが付いた袋が見つかりました。
我が家には約200房あります。
全部の袋を開けて、
病気の粒を探して、
切って、
新しい袋を掛け直して……
め、面倒くさい(笑)
そこで途中から方針変更。
病気が広がる前に、怪しい房は早めに収穫!!
公的な防除情報では発病粒の摘粒と袋の交換が基本ですが、我が家の場合はもう9月。
収穫目前です。
そこで、
袋に黒いシミを見つけた房は、無理に木に残さず早めに収穫する
ことにしました。
早く見つければ、黒くなっているのは1~2粒程度。
その部分を小果梗ごと取り除けば、見た目はほとんど普通のシャインマスカットです。

そこで、どんどん収穫。
知り合いにも配りました。
すると皆さん、
「おいしいよ~♪」
と、とても喜んでくれました(^^)/
ただし、何粒も黒くなっているもの、房の広い範囲まで腐っているもの、黒い汁が周囲まで付着しているものは無理に残しません。
病変が少ないうちに発見することが、本当に大切だと実感しました。
収穫まであと1~2週間待ちたかったけど……
本当は、もう少し木に置いておきたかったんです。
我が家のシャインマスカットは、木でしっかり熟させると本当に甘くなります。
でも今回は、
「もっと甘くなるまで待つ」
より、
「病気が広がる前に収穫する」
ことを優先しました。
せっかく200房もあるのに、全部黒くなったら悲しすぎます。
まだ私としては、
「いつもの完熟シャインマスカットには、もう一歩なんだけどな~」
と思う甘さ。
でも、病気で全部ダメにしてしまうよりはずっといい。
今年はこれで良しとします。
いつもは10月下旬まで「毎日1房♪」
例年の我が家では、9月になったからといって全部収穫しません。
シャインマスカットを木にならせたままにして、10月下旬頃まで少しずつ楽しみます。
毎日、主人がブドウ棚へ行って、
「今日はこれにしよう」
と1房切ってくる。
それを二人で食べるのが、毎年秋のお楽しみ♪
日に日に甘くなっていくのも家庭菜園ならではです。
でも……
今年は無理かもな~。
これ以上、黒い房が出るようなら早めに収穫してしまうつもりです。
ちょっと残念。
県外の親戚へは、健全な房を選んでクール便

毎年楽しみにしてくれている親戚にも送りたい。
でも今年は、
「輸送中、箱の中で黒くなったらどうしよう?」
という心配があります。
晩腐病は潜伏感染があるので、黒い粒を取り除けば絶対にもう発病しない、とは言い切れません。
そこで今回は、いつも以上に厳しく選別することにしました。
一度でも何粒も黒くなった房や、黒い汁が周囲まで付いていた房は送りません。
最初から病変が見られない、きれいな房を優先して贈答用にします。
房は水洗いせず、乾いた状態のまま。
収穫後に一度冷やして、翌日もう一度、
・黒くなった粒はないか
・柔らかくなった粒はないか
・果汁がにじんでいないか
を確認。
問題のない房だけ梱包します。
そして今回はクール便(冷蔵)で発送する予定です。
親戚にも、届いたらすぐ箱を開けて確認し、冷蔵庫に入れてもらいます。
無事に届きますように。
実際に送ってどうだったかは、また追記しますね。
今回一番反省した「袋掛け前までの防除」
今回の経験で一番勉強になったのは、
「袋掛け前に消毒したから、もう大丈夫」ではなかった
ということです。
もちろん、袋掛け前の消毒も袋掛けそのものも大切です。
でも、晩腐病は開花前~幼果期など、もっと前に感染して収穫期まで潜伏することがあります。
つまり大切なのは、
袋掛け直前の1回だけではなく、それまでの防除。
我が家ではこれまで、親戚のプロのブドウ農家やJAの方に教えていただきながら、家庭菜園用の消毒カレンダーを作って防除してきました。
それなのに今年の私は、
「葉っぱが元気だから、もう少し後でも大丈夫かな」
と先延ばし。
結果として予定より1~2回少なくなってしまいました。
今回の発病が、それだけで起きたとは言えません。
今年は消毒後に雨に降られることも多かったですし、病気は天候などさまざまな条件に左右されます。
それでも、
予防できる時期に、決めた防除をきちんと行う。
これが大切だったと改めて実感しました。
来年は、
「葉っぱが元気でも油断しない!!」
そして、
「消毒カレンダーを自分で作ったんだから、自分がちゃんと守る!!」
ですね(笑)
まとめ★袋の黒いシミを見つけたら早めに確認を
今回、袋掛けしたシャインマスカットが収穫直前になって黒く腐り、改めて晩腐病の怖さを知りました。
今回分かったことは、
・袋掛けしていても晩腐病は発病することがある
・開花前~幼果期に感染し、収穫期になって発病する場合がある
・発病した果粒から健全な粒へ二次感染することがある
・袋の中でも感染が広がることがある
・袋に黒いシミを見つけたら、早めに中を確認する
・発病果粒は摘粒して園外へ持ち出す
・木に残す場合、汚れた袋は新しい袋に交換する
・収穫直前なら、状況を見ながら早めの収穫も検討する
・そして何より、袋掛けまでの予防・防除をしっかり行う!!
8年間育てていても、
「こんなことがあるの!?」
ということが毎年出てきます。
シャインマスカット栽培、奥が深いですね~。
今年は粒も房も色も、とてもきれいに育っただけに、最後の最後で残念。
でも、これも来年のための勉強です。
この記事を書いている現在、
9月6日……4房。
9月8日……10房。
9月10日……2房。
どうか、これで終わってくれ~~~!!
残りのシャインマスカットが無事収穫できたか。
そして北海道と沖縄へ送ったシャインマスカットが、きれいな状態で届いたか。
結果はまた追記したいと思います。
毎年、我が家のシャインマスカットを楽しみにしてくださっている読者の皆さん。
今年はこんな感じです(^^)/
成功したことだけではなく、失敗も含めてまたご報告しますね。
参考にした公的情報
・山梨県病害虫防除所「ブドウ 晩腐病」
・山梨県「ブドウの晩腐病について」
・茨城県農業総合センター「ブドウ-晩腐病」



