プロのシャインマスカット農家のアドバイスを元に、シャインマスカットを育てて6年目の筆者が、家庭菜園でのシャインマスカット栽培の体験・コツを紹介しています。
このページでは、我が家のシャインマスカット葉が黄色く変色、斑点・まだら模様になった原因である微量要素欠乏症と具体的な対処法・使う肥料についてお話ししています。
ぶどうの葉が黄色い斑点に!!シャインマスカットの微量要素欠乏症と対処法
ぶどうの微量要素欠乏症とは
「微量要素欠乏症とは、連作土壌で起こりやすく、化成肥料などでは十分に補われない「微量要素」不足で起こるぶどうの生理的現象です。
ぶどうの病気や害虫の仕業ではなく、栄養不足ということになります。
微量要素欠乏症の症状
「微量要素欠乏症」という言葉を始めて聞いたのは、シャインマスカットの「かすり症」について、JAアグリに相談に行った時です。
収穫1か月前から、果実が例年より黄色っぽいと感じていましたが、収穫まじかになると茶色いしみが粒に診られる「かすり症」になり、あわてて相談に行ったんです。
この時、念のために撮影しておいたシャインマスカットの葉(上の写真)を見せると、
これは、微量要素欠乏症だね~との事。
「微量要素」の特徴である、葉に黄化症状が生じ、ひどくなると壊死班になり枯れてしまうとのこと。
微量要素???
微量要素とは
「微量要素」とは、マンガン、ほう素、鉄、銅、亜鉛、モリブデンなどです。
これらは、ふつう土壌に含まれているので施肥しませんが、連作をすると、どんどん「微量要素」を消費するので、「微量要素」が欠乏してしまうとの事。
6年もシャインマスカットを育てている我が家では、土の中の「微量要素」が不足してしいてもおかしくありません。
おまけに、我が家のシャインマスカットの木の根元には、茄子やキュウリの菜園があります。
栄養をとられても仕方がない状態だったんですね~
「マンガン」「ホウ素」欠乏症
相談員さんは、黄色と緑の「まだら」になるのは、「微量要素」の中の「マンガン」「ホウ素」などの欠乏ではないかとの事でした。
黒みかかった葉もありました。↑
この症状は、農文協の症状別ブドウの葉の要素障害の写真でも確認する事が出来ます。
でも、この状態はまだマシで、ひどくなると、葉脈まで透き通るようになるとの事。
あわわ・・・我が家にも、透き通った葉がありました。(上写真)
こちらは、葉脈が透けて見えます。
マンガン欠乏になると、光合成が低下するので実の小型化・糖度が低下、
ブドウでは果実に未着色粒が残る「ゴマシオ症」、ホウ素欠乏については果粒の中心部が褐変する「あん入り」症状になりやすいとのことでした。➡(幸い、今年はこの障害は現れませんでした)
微量要素欠乏症とかすり症との関連性
黄色と緑の「まだら」の葉は、全体の3割以上、透き通った葉は3~4枚ある・・・・とJAアグリの相談員さんに話すと
「かすり症」の原因は主に「カルシウム不足」、でも、微量要素不足とも関係あるとの事。
シャインマスカットの「かすり症」とは、成熟期になると果面にかすり状の茶色い斑点が現れる果皮褐変障害(通称 かすり症)の事で、土壌の栄養不足(カルシウム不足)などが原因と言われています。
ところが、カルシウムばかりを与えすぎると、今度はホウ素欠乏症になりやすいので、対処法として、両方の肥料を一緒に与える必要があるとの事でした。
微量要素欠乏症の対処法
微量要素欠乏症の対処法は、微量要素が入った肥料を与えるしかありません。ここからはJAさんで紹介してもらった4つの肥料を紹介します。
ご自身の菜園や、ぶどうの葉の状態を見て参考にしてくださいね。
JA 全農BMようりん
まず1つ目は、JAで販売している全農BMようりんです。
全農BMようりんは、りん酸、けい酸、苦土、石灰、ホウ素とマンガンがバランスよく含まれた、ぶどうの土づくりに欠かせない肥料です。
多くのシャインマスカット農家さんが好んで使っているそうです。
こちらは、10月~11月落葉前に、「カルシウム剤」と一緒に畑一面にまきます。
➡一緒にまく「カルシウム剤」については別記事で詳しく解説しています。
全農BMようりんは、まきおわったら農家さんは耕運機で浅くかき回すそうです。
家庭菜園では、散布後、土をかじって混ぜるだけで良いとのこと。根元の深い場所まで混ぜないように言われました。
でもこれ、20kgと農家さんサイズで、大量すぎ。しかも、「全農BMようりん」や、「微量要素複合肥料(FTE)」は、農協さんでしか購入できません。
そこで紹介するのは、家庭菜園用に販売しているBMようりんです。
700gと菜園用の小さなサイズなので、少しずつ試して使っても良いですね。
JAくみあい総合微量要素肥料 FTE
私が購入した「微量要素複合肥料」はこちら↑
とりあえず、すぐに追肥できるもの・・・と、紹介してもらったのは、くみあい総合微量要素肥料 FTE です。
FTEは、農作物の正常な発育に欠かせない、マンガン・ホウ素・鉄・亜鉛・銅・モリブデンという6つの要素を補給できる微量要素複合肥料です。
こちらは2kgと少量。
FTEは溶解性が遅いので、沢山あげすぎても過剰害がでにくく、家庭菜園などの素人さんにも使いやすいとの事。
開けてみると、粒状の肥料で少し香ばしい匂いがします。
本来は、BMようりんと同じく秋にまきますが、現在、症状が出ているなら与えても良いとの事で、早速購入して、カルシウム剤と一緒にパラパラと少しだけまきました。
秋に施肥する場合は、シャインマスカットの木1本なら、1年に1/3くらいの量をまけば大丈夫との事。
我が家は、狭い裏庭に植えているので、さらにその半分かな~
とにかく、こういうものは沢山まいてもダメ。
まいた翌年は残存するので、葉に症状が出てから与えるように言われました。
即効性を求めるなら、「葉面散布」ができる微量要素8
即効性を求めるなら、希釈して葉面散布ができる「微量要素8」がお勧めです。
土にまくのが不安な方も、とりあえず葉面散布で試してみると良いですね。
余った散布液は土壌にまいても液肥なので良く効きます。
Amazonなどでも高評価とおすすめしてくれました。
我が家では、9月の収穫直前だったので、葉面散布は避けましたが、春から初夏ならこちらのほうが良く効きそうです。
まとめ ぶどうの葉が黄色い斑点に!!シャインマスカットの微量要素欠乏症
微量要素欠乏症は、連作土壌で起こりやすく、化成肥料などでは十分に補われない「微量要素」不足で起こるぶどうの生理的現象で、葉に黄化症状や壊死班が生じます。
微量要素欠乏症は、我が家のシャインマスカットが「かすり症」になった事で、気付くことができました。
ちなみに、この年は「微量要素欠乏症」のためかか、ぶどうの3割が黄色みかかり、茶色いしみの「かすり症」も発生、非常に醜い房になってしまい、がっかりしました。
少しの異常でも早めに対処する事で、もっと美しい緑色の宝石のようなシャインマスカットが収穫できたはずです。
対処法として、4つの肥料とカルシウム剤を紹介。
微量要素肥料 | 販売所 | 内容量 | 散布 |
---|---|---|---|
全農BMようりん | JAのみ | 20kg | 土壌 |
ようりん | 通販等 | 700g | 土壌 |
くみあい総合微量要素肥料 FTE | JAのみ | 2kg | 土壌 |
微量要素8 通年散布OK | 通販等 | 400g | 土壌 葉面 |
野菜畑にカルシウム 5kg | 通販等 | 5kg | 土壌 |
ぶどう作りは毎年、失敗・勉強の繰り返しです。
相談員さんによると、プロの農家では、数年おきに土壌分析をして、土壌と作物に合った肥料を使うそうです。
一般の人向けに、土壌診断、肥料のアドバイスをしてくれるサイトもあるので、ひどい被害の場合は利用しても良いですね。
それでは、素敵な家庭菜園ライフを楽しんでください。(^^)/