プロのシャインマスカット農家三軒のアドバイスをもとに、我が家のシャインマスカットに発生した「さび病」の薬剤と防除法を写真で解りやすく解説しています。
実際に、さび病に薬剤の効き目があったのか? 消毒1週間後のぶどうの葉の様子を動画で撮影していますので、ぜひ最後まで見て行ってください。
消毒だけに特化した、消毒時期・消毒カレンダーでは、詳しい消毒時期・ぶどうの病気・気をつけたい季節ごとの病害虫が解ります。
ぶどうの病気5.「さび病」の薬剤と防除法 シャインマスカットの葉に黄色い粉!!
9月下旬の、我が家のぶどう棚。
異変に気付いたのは、収穫も残りあと10房と寂しくなった頃です。
地面に枯れ葉が多く落ちるようになったなぁ~。
もう秋かぁと・・・と、ぶどう棚を見上げてみると・・・・
なんじゃこれは!!!??
ぶどうの葉に、黄色い粉?がいっぱいついています。
ぶどう棚全体を調べてみると、落ち葉が落ちていた場所が一番ひどく、
そこから周囲に広がるように、黄色い粉をつけた葉が点在しています。
しかも、この黄色い粉、風が吹くと舞い上がるんです。
あわててマスクをして、ぶどう棚の葉をかき分けて調べていると、
服の袖に黄色い粉がびっしり!!
うぎゃああ~
いつものように、シャインマスカット農家の叔母に助けを求めました。
叔母の診断は「さび病」でした。
確かに、鉄サビそっくりです。
さび病は、直接ぶどうの実に被害を及ぼすことはありませんが、葉から葉へ伝染し早期に落葉してしまう、ぶどうの病気です。
落葉してしまうと栄養を蓄えられず、ブドウの果実の品質が落ちることはもちろん、枝ぶりも悪くなり、来年の収穫に影響します。
すぐに消毒しなさい!!
と叔母の指示を受けて、あわてて消毒作業に取りかかりました。
サビ病とは
サビ病の特徴や、人体への影響を調べたので書き留めておきます。
サビ病の特徴
サビ病とは、Puccinia(プクシニア)属の「糸状菌(しじょうきん)」が原因で発症する病気です。
雨が降り風通しが悪い環境が続くと、ブドウの場合、葉の裏にさび病の胞子がはん点状に出現します。
その後、ふくらんだはん点が破けて胞子が飛び散ったり風に乗ったりして、周囲の植物が二次感染します。
サビ病は、人体に影響をしないの?
ちょっと不安に思ったのが、人間が、空中を舞う「黄色い粉」を吸い込んでしまって大丈夫なのか。ぶどうを食べて人体に影響はないのかという点です。
プロ農家の叔母に聞いてみると、ブドウは袋掛けしてあるから大丈夫との事。
フマキラーの公式HPでも、初期症状であれば人体に影響はなく、実は食しても大丈夫との事で一安心しました。
サビ病とは、Puccinia(プクシニア)属の「糸状菌(しじょうきん)」が原因で発症し、植物に多く見られる病気。
フマキラー公式HP
さび病は人体に感染しないので、発症の初期の葉や実は食用にしても問題ありません。しかし、病気が進行した植物は十分に生育せず、抗菌の目的で「ファイトアレキシン」などの有害物質を生成するため、葉や実を食べるのは避けましょう。
さび病の薬剤と希釈
サビ病の薬剤(農薬)
叔母に勧められた、ぶどうの「さび病」に効く薬剤は次の3つです。
家庭菜園むけの容量で、素人でも手に入る価格の物ばかりです。
さび病の農薬 | 時期 | 楽天参考価格 |
オンリーワンフロアブル | すでに、さび病にかかってしまった場合におすすめ | 1,700円前後/250ml |
フルーツセイバー | すでに、さび病にかかってしまった場合におすすめ | 2,800円前後/250ml |
Zボルドー | 「さび病」初期段階の防除に効く | 1,000円前後/500g |
園芸用の薬剤は、薬剤に対する菌の耐性がつきやすいので、毎年ローテーションして使うと良いとの事ですが、
我が家の場合、黒とう病・晩腐病(おそぐされびょう)で使った オンリーワンフロアブル が残っていたので、こちらを使用することにしました。
薬の裏を見ると病名が書かれています。
希釈の方法
オンリーフロアブルの希釈は、2000倍です。
以前、ぶどうの病気1で「100均のスポイト」を使った希釈方法を紹介しましたが、今回は、別の農薬の空き容器があったので、フタを借りて希釈しました。
1リットルの水に、1mlの農薬原液を入れると、1000倍液ができます。今回は2000倍なので、1リットルの水に0.5mlを入れて希釈します。
我が家の噴霧器は4リットルなので、2ml(フタの1/4)の薬剤原液を入れました。
噴霧器の容量 | 1ℓ | 3ℓ | 4ℓ | 5ℓ | 8ℓ | 10ℓ |
薬剤原液 | 0.5 ml | 1.5 ml | 2 ml | 2.5 ml | 4 ml | 5 ml |
さび病の消毒と防除
消毒方法
ぶどうのさび病の消毒は、天気予報を見て当分雨が降らないことを確認して行います。
叔母が言うには、「さび病」は葉の裏側に発生するので、1枚1枚丁寧に、葉の裏まで念入りに薬剤をかける事が大切とのこと。
我が家のぶどう棚は、3坪ばかりの狭いぶどう棚ですが、4ℓの噴霧器×2回、いつもの2倍の時間をかけて、念入りに消毒しました。
さび病の防除
さび病の防除は、病変の葉をみつけたら、すぐに切り取って捨てることが肝心です。
予防のために、8~9月に消毒を行ってもよいそうです。
我が家のぶどう棚は広範囲でやられていて、すべての葉を摘み取るわけにいかず、病変がひどいものだけ摘み取ってから消毒しました。
葉から「黄色い胞子」が飛ばないよう、そぉぉぉ~とハサミで切るのは、時間がかかって大変な作業です。
切り取った後の葉は、2次感染しないよう「ゴミ袋」に入れて処分しました。
消毒後1週間、さび病の薬剤の効き目は?
さび病のぶどうを消毒して1週間、肝心の効き目はどうなのでしょうか。
あれ~、サビ色の粉が残ってる?
茶色く変色した部分もあります。
もしかして、薬剤が効かなかったのかも・・・・と、葉を摘み取り裏側を触ってみました。
消毒前は、「サビ色の粉」が舞っていて服にまでついたのに、指にも、まったく付きません。
効いてるかも・・・?
葉先の方は茶色く変色し、病変はそれ以上「浸食」してない様子です。
シャインマスカット農家の叔母に経過を報告すると、
「薬剤散布のおかげで胞子がそれ以上作られず、粉が舞わない状態。念のためもう一度消毒しなさい。」
との事で、もう一度消毒をしました。
あとは、秋になって自然に葉が落ちたら、拾ってゴミ袋に処分して完了です。
ぶどうの「さび病」は、こじらせてしまうと、消毒や、葉の処分が大変ですけれど、来年も美味しいブドウを収穫するために頑張りましょう(^^)/それではまた。