第17話では、「墨」をきっかけに新たな異変が発生し、長安の混乱は一気に拡大していきます。
これまで香をめぐる事件が続いてきましたが、今回は絵として描かれた妖が現実に現れるという、さらに不気味な現象が起こります。日常にあるはずのものが突然脅威へと変わることで、街には恐怖と不安が広がっていきます。
一方で、その裏では誰かが意図的に噂を広め、事態を大きくしている気配も見え始めます。また、梅逐雨(ばい・ちくう)と武祯(ぶてい)、そして裴季雅(はい・きが)の関係にも変化が生まれ、それぞれの立場や思惑がよりはっきりしてきます。
それでは、『子夜帰』第17話のあらすじ(ネタバレ)を紹介していきます。
※誤訳があったらごめんなさい。画像出典:公式SNS
『子夜帰 17』主な登場人物
武祯(ぶてい)
演:Tian Xiwei(ティエン・シーウェイ)
妖市の「猫公」です。第16話では斗香大会の裁判として参加し、香に潜む異常を見抜きます。安毕罗の異変にもいち早く気づき、凌霄とともに対処にあたりますが、妖鵞に襲われ危機に陥ります。また裴季雅との過去の関係も描かれ、心の揺れが表に出る回です。
梅逐雨(ばい・ちくう)
演:Xu Kai(シュー・カイ)
玄鉴司の司使です。第16話では斗香大会に現れ、香に潜む異変を察知します。武祯の危機を察するとすぐに駆けつけ、妖鵞を撃退します。その後も事件の真相を追い、怨念に苦しむ存在を鎮める役割を担います。
裴季雅(はい・きが)
武祯と幼い頃から一緒に育った人物です。幼少期は体が弱く、武祯に助けられたことをきっかけに親しい関係になります。第16話では武祯を娶るために長安へ来たことを明言し、彼女への想いを隠しません。梅逐雨にとっては恋敵となる存在であり、裏では別の思惑を持って動いています。
霜降(そうこう)
梅逐雨の弟弟子で常曦宫の天師です。第16話では前話からの流れを受け、別行動を取る形となり、物語の裏側で動く役割を担います。
梅四(ばいし)
本家梅家の若様で、梅逐雨のいとこです。柳太真を気にかけ、彼女の様子を探ろうとします。また、小さな黒へびの妖・玄虺(げんき)を飼っていますが、その正体が大妖であることは知りません。
柳太真(りゅう・たいしん)
妖市の「蛇公」です。第16話では脱皮の時期に入り山へ向かいますが、その途中で妖の精気を奪う存在に遭遇します。弱った状態のため戦うことができず、その場を離れることになります。
无字书(むじしょ)
妖市に関わる存在です。第16話では武祯のそばで静かに寄り添い続けます。一方で、自身の正体に関わる存在に対して強い拒絶を見せ、内面の変化も描かれます。
凌霄(りんしょう)
柳太真の配下です。第16話では斗香大会の場で安毕罗の異変に気づき、武祯とともに対処にあたりますが、戦いの中で負傷します。
安毕罗(あん・ひつら)
香に精通した有名な人物で、斗香大会の主任審査員です。第16話では自ら「祈霊香」を披露しますが、その香は異常なもので、体内に潜む妖鵞の影響を受けて暴走します。香を作るために生き物を虐げていた過去が、今回の事件の原因となります。視点で香を見極めます。
『子夜帰』第17話 あらすじ ネタバレ
梅四(ばいし)は屋敷へ戻ると、新たに手に入れた墨を何度も手に取り、その質の良さにすっかり魅了されていた。柳太真への贈り物として妖怪図録を作ろうと思い立ち、さっそく筆を取る。
そばにいる玄虺(げんき)は、その様子を見ながら本に載っていない妖の話を語り聞かせる。特に、千年修行した虎の妖が非常に凶暴であると話し、梅四はその説明を聞きながら墨をすり、虎の妖を描いていく。しかし玄虺はその出来に満足せず、「形が悪い」「筆が拙い」と容赦なく言い放つ。
それでも梅四は気にせず描き続け、その夜、ついに異変が起こる。
描いたはずの虎が、絵の中から実体を持って現れたのだった。
この様子を見た玄虺は、その墨に邪術が施されていることに気づくが、あえて止めようとはせず、むしろ妖市に騒動を起こすきっかけになると考え、静観する。
一方その頃、武祯(ぶてい)は長安に漂う異様な陰気を感じ取り、すぐに街へ飛び出す。路地の奥で、黒い気をまとった白虎の妖を発見する。墨から生まれたその虎は凶暴で、鋭い爪で襲いかかってくるが、武祯は素早く応戦し激しい戦いの末、これを鎮圧する。
翌日、街ではすでに「妖が出た」という噂が広まり、武祯の私生活や梅逐雨(ばい・ちくう)・裴季雅(はい・きが)の関係まで面白おかしく語られていた。梅逐雨もこの異変を知り、現場へ向かうと、地面には巨大な虎の爪痕が残されており、昨夜の出来事がただの噂ではないことを確信する。
同じ頃、梅四が目を覚ますと、描いた虎の絵が薄くなっていることに気づく。さらに室内には血の混じった虎の足跡まで残っていた。驚いて玄虺を呼ぶが、血はすぐに墨へと変わり、玄虺は「見間違いだ」と言ってごまかす。
その後も玄虺は次々と妖の話を語り、梅四はそれに触発されて次々と妖を描いていく。蛇の妖をはじめ、毒を持つ危険な妖まで描き続け、部屋は妖の絵で埋め尽くされていく。次第に梅四の様子はおかしくなり、執着するように筆を動かし続けるようになる。
やがて夜になると、描かれた妖たちは次々と実体化し、長安の各地で暴れ出す。町は一気に混乱に陥り、人々は恐怖に包まれる。
梅逐雨(ばい・ちくう)は、噂が一日で全城に広がったことから、誰かが意図的に流していると疑い、さらに「圧勝の術(呪術的な操作)」の可能性も考え、墨の出所を調べるため墨坊へ向かう。店主は怯えながら帳簿を差し出し、梅逐雨はそこに梅四(ばいし)の名前を見つけて衝撃を受ける。
すぐに梅府へ駆けつけると、部屋は妖の絵で埋め尽くされ、梅四は顔色を失い、明らかに邪気に侵されながらも絵を描き続けていた。梅逐雨は迷わず彼を引きずり出し、水がめに押し込む。周囲が止めようとする中でも強く制止し続ける。
すると梅四の口や鼻から、濁った橙色の瘴気が噴き出す。それはまるで生き物のようにうごめき、やがて消え、梅四は正気を取り戻す。
一方、宮中では武皇后が武祯(ぶてい)を呼び出し、梅逐雨(ばい・ちくう)と裴季雅(はい・きが)のどちらと結婚するのか選ぶよう迫る。しかし武祯は「心が通じる相手でなければ嫁がない」と言い切り、場合によっては一生独りでも構わないと答える。これに武皇后は強い不満を示す。
その頃も街では墨の妖による襲撃が続いていた。玄虺(げんき)は力が戻っておらず梅四を守りきれず、武祯もまた人の身では限界があり、沅真公主(げんしんこうしゅ)が危険にさらされる。
その危機の中、白茶の精が現れ、命をかけて墨鹿の妖と相打ちとなり、沅真の腕の中で消えていく。
長安は完全な混乱状態となるが、梅逐雨(ばい・ちくう)が天師の力を使い、各地の墨妖を次々と討伐し、ようやく事態は収束へ向かう。
梅逐雨の術は裴季雅(はい・きが)に跳ね返り、ついには墨妖を消滅させる。
裴季雅は自らの妖が討たれてたのを見て不安を募らせる。自分の行動が露見すれば、“恩人”(黒服の男)からの報復は避けられないと感じていた。
やがて騒動が落ち着くと、武祯(ぶてい)は墨妖の出所が梅四にあると知り、梅府を訪れる。そこにはすでに梅逐雨も来ており、二人は再び顔を合わせる。
梅四は墨を使い切っていたため、それ以上の被害は広がらず、梅逐雨は武祯とともにその場を離れる。去り際、武祯は梅四の手首に異変(黒い腕輪のようなもの)を見つけるが、あえて何も言わず、その場を後にする。
『子夜帰』第17話 の感想
第17話は、「墨」という身近なものが一気に脅威へと変わり、長安全体が混乱に陥る展開でとても見応えがありました。これまでの「香」に続いて、今度は「墨」が妖と結びつくという設定が面白く、この作品の世界観の奥深さを改めて感じます。
まず印象的だったのは、梅四(ばいし)のパートです。最初はただ妖怪図録を作ろうとしていただけなのに、玄虺(げんき)の話にどんどん引き込まれ、気づけば止まらなくなっていく様子が少し怖かったです。楽しそうに描いているのに、徐々に様子がおかしくなっていく流れがとても自然で、「知らないうちに巻き込まれていく怖さ」がよく出ていました。
それにしても、梅四は完全にやらかしてしまいましたね。まさかあの墨がここまで危険なものだったとは思いませんでした。ただ、あの妖の絵のクオリティが高すぎて、描いたスタッフさんの技術にも驚きました。
そして、玄虺が墨の異変に気づいていながら止めなかった点も気になります。どこか下心があるような行動でしたが、それでも最終的には梅四を守ろうとしていたのが分かり、少し救われる気持ちにもなりました。かわいい見た目とは裏腹に、やはり一筋縄ではいかない存在ですね。
梅逐雨(ばい・ちくう)の活躍も今回かなり印象的でした。噂の広がり方から「誰かが裏で操作している」と見抜く冷静さ、そして墨妖を次々と斬り伏せていく圧倒的な強さ。あの無数に現れるような動きで一気に妖を消滅させるシーンは、前回に続いて本当にかっこよかったです。シューカイファンとしては見どころ満載でした。
一方で武祯(ぶてい)は、今回やや苦戦している印象でしたね。墨妖との戦いでも対応に手間取る場面があり、結果として白茶樹に宿る精を守りきれなかったのは切なかったです。
ただ、この白茶の精のシーンは本当に美しかったです。沅真公主(げんしんこうしゅ)が大切にしていた白茶樹、そしてそこに宿る精――あの美しい若者が、無数の白い椿の花びらとなって彼女を守りながら消えていく場面は、とても幻想的で、思わず涙がこぼれました。この作品らしい「妖の想い」が強く伝わる名シーンだったと思います。
また今回感じたのは、梅逐雨と武祯の「得意分野の違い」です。梅逐雨は戦闘や術において圧倒的な強さを見せる一方で、武祯は状況判断や異変に気づく力に優れていて、最後に梅四の手首の異変に気づいたのも彼女でした。この二人が完全に協力すればかなり強いはずですが、まだお互いに本当の姿を隠している部分があり、そこがもどかしくもあり、今後の見どころでもあります。
そしてやはり外せないのが、裴季雅(はい・きが)の存在です。今回の一連の騒動の裏に彼が関わっていたことがはっきりしてきて、一気に「恋敵」から「黒幕側の人物」という印象に変わりました。ここまで計画的に動いていると考えると、かなり怖い存在ですし、“恩人”との関係も含めて今後の展開に大きく関わってきそうです。
全体として、第17話は
・墨妖という新たな脅威
・梅四の暴走
・梅逐雨と武祯の対比
・裴季雅の黒幕化
といった要素が一気に動いた回でした。
物語がさらに不穏な方向へ進み始めた重要回で、続きがますます気になる展開でした。
『子夜帰 17』用語解説
墨妖(ぼくよう)
墨から生まれた妖のことです。邪術が施された墨で描かれた絵が実体化し、現実の世界で暴れ出します。第17話では虎や蛇、鹿などさまざまな妖が生まれ、長安に大きな混乱を引き起こします。
邪墨(じゃぼく)
普通の墨ではなく、邪術が込められた特殊な墨です。この墨で描いたものは現実化する力を持っており、第17話の騒動の原因となります。意図的に仕込まれたものである可能性が高く、裏で誰かが関与している重要な伏線です。
妖怪図録(ようかいずろく)
妖の姿や特徴をまとめた図鑑のようなものです。梅四は柳太真への贈り物として作ろうとし、玄虺の語る妖の話をもとに描いていきます。しかしその行為が結果的に墨妖を生み出す原因となってしまいます。
圧勝の術(あっしょうのじゅつ)
人の運気や流れに干渉し、出来事を意図的に広げたり影響を強めたりする呪術の一種です。第17話では、妖の噂が一日で長安中に広まったことから、この術が使われている可能性が示唆されます。
墨坊(ぼくぼう)
墨を製造・販売する店です。梅逐雨は墨妖の発生源を調べるため、この店の帳簿を確認し、梅四が問題の墨を購入していたことを突き止めます。今回の事件の重要な手がかりとなる場所です。
瘴気(しょうき)
邪気が濃くなった有害な気のことです。第17話では梅四の体内に溜まり、意識を乱す原因となっていました。水に沈められたことで体外へ吐き出され、正気を取り戻すきっかけとなります。
墨鹿妖(ぼくろくよう)
墨から生まれた鹿の妖です。第17話では沅真公主を襲う存在として登場し、武祯でも苦戦するほどの力を持っています。白茶の精との戦いの末、相打ちとなります。
白茶樹の精(はくちゃじゅのせい)
白茶の木(椿の木)に宿る精霊です。9話では、沅真公主に大切にされていた存在で、美しい若者の姿が描かれていました。第17話では彼女を守るため、自らの命を犠牲にし、無数の白い椿の花びらとなって消えていきます。とても印象的で象徴的な存在です。
天師剣(てんしけん)
除妖師が使う強力な武器です。梅逐雨が使用し、長安に出現した墨妖を一掃する場面で活躍します。強い霊力を持ち、妖に対して高い効果を発揮します。
黒い腕輪(くろいうでわ)
梅四の手首に現れた異変です。第17話のラストで武祯が気づきますが、正体は明かされていません。玄虺(げんき)が腕輪になったのでしょうか? 邪術や墨との関係が疑われる重要な伏線です。
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