プロのシャインマスカット(親戚 農家三軒)のアドバイスをもとに、家庭菜園でシャインマスカットを育てて5年目。
失敗や試行錯誤を繰り返し、糖度18度の「出荷できるほど素晴らしいシャインマスカット」を収穫できるまでになりました。
今回は、ぶどうの傘かけ・袋掛けの時期と、シャインマスカットを日焼けから守る「遮光ネット」の取り付け方法につてお話ししています。
ぶどうの傘かけ・袋掛けをする時期
ぶどうの袋掛け・傘かけの時期は、その年の気候やぶどうの育ち具合によっても異なりますが、シャインマスカットの場合、6月中旬の梅雨前から摘粒後にかけて、それぞれ別々に行います。
- 6月中旬梅雨前 ➡ 傘かけ
- 6月中旬~下旬摘粒(粒抜き)後 ➡ 袋掛け
では、1つずつ詳しく解説していきますね。
ぶどうの袋掛け・傘かけの理由
ブドウの袋かけをする理由は、 雨水などによって感染する病気から守り、害虫・鳥による食害から守るためですが、これだけではありません。
出荷前の完熟期を迎えると、ぶどうの実に「ブルーム」と言ううっすら白い粉ができます。
このブルームは、 消毒と間違えられるのですが、新鮮で完熟している証しで、 ぶどうの実の水分蒸発や病気を防いでくれる役割を持っています。
ですから、ブルームが雨で流されないよう、傘や袋かけは大切な作業なんですね。
ぶどうの「傘かけ」の時期
傘かけは梅雨の前が鉄則!!
ぶどうの傘かけは、ぶどうの病気が蔓延する「梅雨前」にする事が鉄則です。
梅雨のこの時期は、感染の元となる菌や胞子が、雨で飛び散り広がります。
梅雨前に傘かけを行うか否かで、ブドウの収穫量や質を大きく左右するのです。
シャインマスカット農家の叔母は、
「梅雨前に、とにかく傘だけはかけて!」
と、口を酸っぱくして言います。
昨年はこれを守らず、我が家のシャインマスカットは病気が蔓延し、100房あった房を、30房に減らしてしまいました。
「晩腐病」「べと病」 です。
その時の失敗談は、別記事でお話ししています↓
「晩腐病」「べと病」 にかかると、写真のように、せっかく膨らんできた実が腐ってボロボロ落下してしまいます。
知らずに袋掛けすると、収穫時期には房全体が腐ってミイラ化してしまう恐ろしい病気です。
シャインマスカットのプロの叔母が言うには、「雨が菌を運ぶ」との事。
雨によって運ばれた菌が房に付いて、ぶどうを病気にさせるんですね。
傘かけのタイミング
梅雨前の、傘かけのタイミングは、天気予報を見ながら梅雨に入る直前に傘かけを行います。
上の写真のように粒が膨らみだし、まだ摘粒(粒抜き)作業が終わってない時期です。
摘粒(粒抜き) 前に傘かけをすると、
摘粒作業の邪魔になるのでは?
傘かけと袋掛けを、同時にした方が手間が少ないし・・・
と昨年は躊躇して、大失敗しました。
こちの写真は、今年の我が家の家庭菜園
シャインマスカットの 摘粒(粒抜き) 風景を写したものです。
今年は叔母の教え通り、傘かけ後に摘粒(粒抜き)作業をしましたが、まったく邪魔になりませんでした。
昨年のように、「べと病」にもかからず、どの房も元気です。
梅雨が運ぶ「ぶどうの病気」は、本当に怖いです!!
確かに、「傘かけと袋掛け」を同時にすれば合理的ですが、
梅雨前に傘かけを先にする「ひと手間」で、しつこい「黒とう病」「晩腐病」「べと病」から房を守れます。
面倒がらずに梅雨前に必ず「傘かけ」を行いましょう。
洗って再利用できる、ビニール製のぶどう傘
我が家で使っている「ぶどう傘」は、 30cm×30cmの緑色のビニール製の傘です。
シャインマスカット専用のものをJAで購入しました。
100枚入って1000円くらいかな。
ぶどうの穂軸を挟んで、ホチキスで止めるだけで簡単に傘かけができます。
ビニール製のぶどう傘は、雨に強く
ぶどう傘を洗って、翌年「再利用」できる利点もあります。
(傘には、沢山の菌が付いているので、必ず洗剤で丁寧に洗って干してから再利用してください)
ところが、 ビニール製のぶどう傘は、日差しを通してしまうためか、
昨年の収穫期にはシャインマスカットが黄色味かかってたんです。
黄色みかかるのは、シャインマスカットが完熟した証し。
どちらかというと黄色みかかった方が甘くておいしいのですが、やっぱり見た目は綺麗な緑色の方が良いですよね~。
日焼け対策用 ぶどう専用クラフト傘
そこで、今年、シャインマスカット農家の叔父が1枚だけ見本を持ってきてくれたのが、日焼け対策用 のぶどう専用クラフト傘です。
茶色いクラフト紙でできたものです。
クラフト傘は、日焼け対策用に作られているので、シャインマスカットが黄色く熟すのを遅らせる効果があるとの事。
叔父のシャインマスカット農園では、すべてこのクラフト傘を使っているそうです。
(我が家では翌年、すべてクラフト用紙に変更しました)
寸法は、27cm×27cmと、緑のビニール傘より一回り小さめ、
楽天では大量販売しかありませんでしたが、Amazonやヤフーでは100枚で1,000円くらいで売っています。
今年は、すでに緑のビニール傘をつけてしまったと叔父に言うと、
黒い遮光ネットで日焼け対策をするよう言われました。
遮光ネットで、ぶどうの日焼け対策
ぶどうの日焼けを防ぐ為、叔父に勧められて買ってきたのは「黒い遮光ネット」です。
遮光ネットは、ホームセンターで測り売りをしているものを6m購入。
200~300円/1m くらいです。
遮光率60%の物を購入しました。
ホームセンターでは、2m幅の物しか売ってなかったので、
縦に半分折って1m幅にカットします。
長~い!!
切り口がずれると、ほつれてゴミが散らかるので、
1m幅のものがあったら、そちらを購入したほうが良いですね。
いよいよ、遮光ネットを張っていきます。
園芸用ビーニールタイで、支柱に縛っていきます。
遮光ネットの取り付けが、完成しました!!
ぶどうの「袋かけ」の時期
袋掛けは、摘粒(粒抜き) 後
シャインマスカットの袋掛けは、 摘粒(粒抜き) 後に行います。
摘粒(粒抜き) 後とは、気候やぶどうの育ち具合、地域差もあると思いますが
関東で、6月後半~7月前半です。
家庭菜園の場合、房の数が少ないので、
「摘粒(粒抜き) と同時に、袋掛けしてもいいかな~?」
と、 叔母に聞くと、「絶対ダメ~!!」とお叱り!!
ぶどうは、袋かけ前の消毒をする!!
というのも、袋掛けは、消毒をしてからなんだそうです。
消毒をせずに、 摘粒(粒抜き) と同時に袋掛けをしてしまうと、万が一ぶどうに菌が付いていた場合、密閉された袋の中で広がり、ぶどうが腐ってしまいます。
摘粒(粒抜き)したらすぐに、ぶどう棚全体を消毒し、その後すぐに「袋かけ」することで、房を守れるとのことでした。
葉や茎に病気が広がっても、この袋が病気を防ぎ、房だけは無事に収穫できるというわけです。
農家では、収穫の出来の良しあしで、その年の売上が左右されますからね。
念入りに、消毒を行うのは当たり前です。
ここまで、念入りに消毒しても、収穫時期に袋を外すと
真っ黒に腐ってカビが生えてしまっている房も、1~2房あるそうです。
早速、我が家でも、この教えに従い、摘粒(粒抜き)後すぐに消毒。
消毒が乾いた翌日、すぐに袋掛けを行いました。
おかけで、この年から、99%の房が収穫まで病気にかからず収穫する事が出来るようになりました。
袋と傘は、収穫時までつけ続けます。
ぶどうの袋かけ前の消毒 農薬は?
ぶどうの袋掛け前の消毒は、これまで使ってきた「黒とう病」「晩腐病」「べと病」防除の農薬を混ぜて使います。
特に買い足す必要はありません。
ぶどうの病気 | 我が家で使っている農薬 |
黒とう病+ 晩腐病 | オンリーワンフロアブル |
べと病 | ベトファイター |
我が家で使っている農薬は、農薬専門家に「混ぜて良い」と言われた為、(農薬組み合わせの農薬専門書があり、混合事例も記載されていてOKをもらった)混ぜて使用しました。
違う農薬の場合は購入した店に問い合わせてから混ぜると良いですね。
参考◆耐性菌を防ぐため2023度はこちらのシャインマスカット農薬に変更
数年同じ農薬を使っていて効きが悪いと感じた方は、参考にしてください
ぶどうの袋掛けに使う袋 新聞紙でもいいの?
家庭菜園の場合、房の数が少ない場合もありますし
出荷するわけではないので「新聞紙」で袋を作ってもOKです。
ちなみに、市販の袋のサイズは、215cm×330cmです。
新聞の折り目を利用して、1か所だけのり付けするように作ると良いですね。
後は、ぶどうにかぶせて、ホッチキスで止めればOKです。
我が家では100房以上実ったので、防虫、防菌加工で、遮光率が高いシャインマスカット専用の「緑の袋」を使いました。
大分県農林水産研究指導センターの調査では、
遮光性の高い果実袋を使用すると、白色袋は遮光率 39%、濃緑色袋では遮光率 83%とあり、遮光率を高くすることで収穫時期も約 1 ヶ月遅延させることが可能になるそうです。
この袋の口には、細いアルミの針金が入っています。
ブドウの房を入れて上部をふさぐ際にくるっと巻けて完了。ホッチキスいらずです。
まとめ ぶどうの傘かけ・袋掛けの時期と、遮光ネット日焼け対策の方法
ぶどうの袋掛け・傘かけの時期は、その年の気候やぶどうの育ち具合によっても異なりますが、シャインマスカットの場合、6月中旬の梅雨前から摘粒(粒抜き)後にかけて、それぞれ別々に行います。
袋掛けは、 摘粒(粒抜き)後 、消毒をしてから行いましょう。房の日焼けが気になる場合は、遮光ネットがおすすめです。
最後に、2021年の我が家のシャインマスカットの状況をお話しします。
今年は105房という、良い出来です。
春に、牛糞を根元に埋めたんですよね。
そのせいか、前年より葉が大きく育ち、シャインマスカット農家の叔父にも「葉がすごく大きい!!」と褒められました。
現在8月下旬で、いよいよ収穫時期。
先日、袋を少しはずして写真を撮ってみたのがこちら↓
わぉ~
叔母が作る、逆三角形の美しい房には及びませんが 、かなり良い出来です。
今年は、粒をさらに大きくするフルメットはせず、ジベレリンだけでこの大きさです。
叔母に糖度を測ってもらうと18度。
叔母によると、シャインマスカットは18度から出荷できるそうです。
つまり、合格!!ですね。
1週間後の収穫予定ですが、さらに甘くなっているだろうとの事。
楽しみです。
それでは、楽しい家庭菜園ライフを楽しんでください。(^^)/
収穫の目安やタイミング、収穫後の長期保存方法は別ページで解説しています。
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