ブドウの整形は、ジベレリン前の花穂整形、ジベレリン後の摘果作業(間引き・粒抜き)と重要な作業です。
このページでは、「ジベレリン前」のぶどうの房づくりである「花穂整形」について解説。
親戚の3軒のブドウ農家から直伝された方法を「家庭菜園」をしている人むけに、シャインマスカットを例に解り易く図や写真で紹介しています。
大粒のおいしいブドウを育てるためにも、ぜひ「花穂整形」にチャレンジしてください。
花穂整形と同時に行いたい、誘引についてはこちら。誘引時に枝を折らないコツを動画で紹介しています。
ジベレリン後に行う、粒抜き/間引き方法「家庭菜園で逆三角形の房づくり」はこちら。
ぶどうの摘果1 シャインマスカットの花穂整形(房づくり)の時期と方法 図解・写真で解説
ぶどうの摘果 間引き/花穂整形とは
我が家のシャインマスカットは6年目を迎えました。
5月中旬になり「そろそろ花穂整形の時期だよ~」とブドウ果樹園農家の叔父から連絡が入ったので、復習も込めてぶどうの房の切り方・花穂整形方法を解説していきます。
花振るい
5月になると、小さかったブドウの房がだんだん大きくなってきますね。このブドウの房ですが、全部膨らんでブドウの粒になるわけではありません。
ブドウは「花振るい」といって、花が多く開花しても着果が極めて少ない性質があります。手を入れずにいると、花穂への栄養不足などを起こして開花や受粉が上手くいかず結実不良になってしまうのです。
花穂整形は、摘果の第一段階
この「花振るい」を防ぐためにも人間がハサミを入れて花穂整形を行います。
花穂整形はいわゆる「間引き」で摘果の第一段階に行います。これをそのまま放置して置いたら大粒の良い房になりません。
粒の間隔が狭くても、粒が大きくなった時にお互いに押し合って変形したり潰れてしまったりします。花穂整形後も、摘果の第二段階(粒抜き・間引き)を行い栄養を集中させる必要があるのです。
巨峰やシャインマスカットのように花穂の大きな品種や、岐肩(副穂)のある房では、摘果は欠かせない作業なんです。
花穂整形の時期
花穂整形時期の見分け方
花穂整形は、5月中旬から6月上旬のまでのブドウの開花1週間ほど前に行うと良いです。
といっても「開花1週間っていつ???」となりますよね。
5月上旬は、上の写真のようにぶどうの実は深い緑色で、まとまって実っています。
5月下旬、ブドウの開花が近くなると、花穂の色が薄い黄緑色に変化してきます。
実(花蕾からい)の部分が膨らんで丸みを帯び、花穂の段の隙間が広くなってきます。「開花1週間前」とはちょうどこの時期の事で、花穂整形のベストタイミングです。
家庭菜園での時期
でもこの開花時期、私も含めて素人は見過ごしがちなんです。
う~む、解りにくいと言う人は、ブドウの花が咲き始めてすぐに行うと良いです。
下の写真はブドウの花です。
ブドウの花は、ブドウ棚の日当たりの良い所から順番に咲き始めますので、注意深く観察し、どれかひと房でも咲き始めたらすぐに花穂整形をはじめましょう。
開花してすぐに花穂整形を行う理由は、この後ジベレリン処理を行うからです。
一般的に「花が咲いて3日後」がジベレリン処理の最適な時期と言われています。花穂整形が終わると、すぐに満開になりジベレリン処理をしなければなりません。
忙しいですけど頑張って花穂整形をしちゃいましょう。
もしうっかりしてしまった方は、1回目のジベレリン処理が終わってからでも大丈夫。粒が大きくならないうちに、早めの花穂整形をしてあげましょう。
家庭菜園で種なしブドウをつくる「ジベレリン処理の方法」はこちら
摘果(花穂整形)の方法 図解
1.基本は、主穂の先を3.5cm残して切り落す
摘果(花穂整形)の基本は、主穂の下から3.5cm・両肩①②を残し、すべて切り落とします。
プロの農家の場合、出荷時、1房が1kg以上だと、はねられて商品になりません。
その為、摘果(花穂整形)で残す主穂の長さは3~3.5㎝と決まっています。この長さで、1房に30~50粒のぶどうが収穫できます。
そんなに短く?
と心配しないでください。
花穂整形時に3~3.5㎝だった主穂が、第二段階の摘果(粒抜きけ間引き)時には7cmほどに成長するからです。
叔父の話だと、家庭菜園の場合「出荷」するわけではないので房を少し大きめに作ってもOKとの事。大きな房を沢山食べれるように主穂の部分を少し長めに残しても良いそうです。
上の写真は、欲張って5cmくらい主穂を長く残した失敗例 なが~いですよね(笑)
家庭菜園は、遊びで1房くらいアリだったかな?
この後、下半分を切り取って、ちょうどよい大きさの房になりました。
どこを摘果(花穂成形)してよいか迷う「難しい房」は、長く残し、後でカットしても良いですね。
2.わざと副穂の両肩を残す
叔父の果樹園では花穂成形時、わざと副穂の両肩を残してジベレリンの時の目印にしています。
1回目のジベレリン処理で右肩を切り、2回目のジベレリン処理で左肩を切って目印にすれば、ジベレリン作業忘れを防げます。実際のジベレリン処理の方法はこちら
JA農協では、シャインマスカット農家に、残した両肩も、いっしょにジベ作業をすることを勧めています。
下の房が育たない場合の予備として使えるからです。
上の写真では、小ぶりですが、残した肩が綺麗に大きく実が膨らんでますよね。ダメな下の房を切り取ってこちらを収穫するそうです。
農家の方はいろいろ工夫しているんですね~感心です。
3.変形房尻・実の付きが悪い房尻は切り落とす
変形した房尻、実の付きが悪い房尻は、1センチほど切り取りとった後、主穂の下から3.5cm・両肩を残し、すべて切り落とします。
ぐにゃっと曲がった穂花でもしっかり摘果(花穂整形)すれば大丈夫。実が大きくなると重さで下向きになります。
あまりにもひどい奇形の場合や二股の場合、まっすぐな副穂を残して切り取りましょう。
房尻を1センチほど切るわけ
プロの場合、良い房でも、わざと房尻をカットする農家も多いそうです。
というのも「房尻」の方が花が咲かなかったり、開花が遅れたりする傾向にあり結実がまばらになるからです。
この房尻を残すと、ブドウの粒の大きさにばらつきがでて粒抜きに苦労するそうです。
また、長さを多く取ると、下に行くほど甘みが薄れるとの事。
ですから、房尻1センチをカットしたほうが手間いらずで美しい房になるようです。
素人は穂尻のカットは避けよう
ただし、穂尻のカットは、慣れてない家庭菜園の人にはお勧めできません。
我が家でも、変形した尾尻のカット以外は失敗。
慣れてくると、綺麗な逆三角形になるよう上手に粒抜きできるそうですが、
素人はうまくできません。
上の写真は、花穂成形後1か月の我が家の粒抜きの様子です。私の手が写ってます(笑)
左奥のフェンスにかかっている房は、実験的に穂尻を切った房で、で丸っこく横に広がってしまいました。
横に広い房は、粒が膨らんできた時、下に逃げず、中央に込み合います。
込み合った粒と粒の間にハサミを入れて、「粒抜き」をするのはとても大変。
穂尻を切ってしまうと横に大きく広がり、袋掛けが入らないおおきさになってしまうんです。
袋掛けしないぶどうは、必ず病原菌にやられますので、自作の大きな袋を作って大変でした。
写真の手前のぶどうのように、なるべく尾尻を残しておいた方が粒が下に逃げるので、綺麗な逆三角形になり、沢山の粒の房ができるのです。
今年の変形穂尻のカット チャレンジ
今年の穂尻カットは、片方カットに挑戦してみました。
上の写真は、穂先がハの字に変形しています。
この場合、穂先をすべてカットせずに、片方だけカットし穂先を残してみました。
摘果(花穂成形)は、毎年挑戦です。どんなふうに育つか楽しみです。
4.木の状態を見て調整する
欲張って大きな房を沢山とろうと欲張ると、花振るいを起こして良い葡萄がとれません。
鉢植えの場合は木に力がないので、房の数を減らし、しっかり花穂整形・摘果してあげましょう。
不作であまり房数が少ない年だったら、長めに整形して大きな房に調整をする。前年の収穫量と比較し、房が多かったら減らす等、木の状態を見て調整してあげましょう。
ぶどうの摘果に適したハサミ
摘果(花穂整形)は、先が細い「ぶどうの摘果専用ハサミ」を使って行うと便利です。
大きなハサミだと、粒を痛めるので、できれば専用ハサミを使うと良いですね。
今年、私がGETしたプロ専用の「ぶどうの摘果専用ハサミ」は、目盛り付きで便利。
長細い刃の部分が少し湾曲しているので、丸みを帯びた房を傷つけず、刃先を穂軸の奥に入れられる優れものです。
まとめ ぶどうの摘果1 シャインマスカットの花穂整形の時期と方法 図解・写真で解説
今回は、ジベレリン前のぶどうの房づくり「花穂整形の時期や方法」を解説しました。
ぶどうの摘果作業/花穂整形は、時期と方法を守れば比較的簡単です。開花10日前くらいからはじめて、両肩の副穂を残し、主穂を3.5~4センチ残しましょう。
花穂整形をしていくと、「↓こんなに粒抜きをしてしまってもったいない~」
と言うくらい花穂を切り落としますが、この作業をする事で美味しい実になるので頑張って、房づくりをしてみてください。
「花穂整形」の時期は同時に「誘引」・「摘心」などを行う事も大切です。もじゃもじゃとわき芽をはやしたままでは、葉に栄養がとられて良い実になりません。
枝を折らない「誘引方法」のコツはこちらのページで詳しく解説しています。
★季節ごとのシャインマスカットの手入れが解る「栽培・消毒カレンダー」はこちら↓
私も毎年試行錯誤してブドウ栽培を楽しんでいます。秋には大粒の甘い葡萄が実ると良いですね。それでは房づくり頑張ってください。(@^^)/~~~
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