親戚3軒のプロのシャインマスカット農家のアドバイスをもとに、家庭菜園で「種なしぶどう」を作る為に必要なジベレリン処理の方法や注意点、失敗しないコツを解り易く紹介しています。
6年目の我が家のシャインマスカットのジベレリンの様子も紹介。
ぜひ家庭で美味しい「種なしぶどう」を育ててください。
プロが伝授!!失敗しないシャインマスカット「ジベレリン処理」の時期と方法
ぶどうのジベレリン処理とは
種なしぶどうを作るには、花房をジベレリン液(植物ホルモン液)に浸すことで、種を作らずに実をつけることができます。
種なしぶどうを作るにはジベレリン処理を2回行う必要があります。
1回目は種を作らないようにする為に行い、2回目は種がなくても実が大きくなるように行います。
プロの農家では、ジベレリンに果実肥大促進剤の「フルメット」を混ぜますが、ジベレリンだけでブドウは大きく育ちます。
我が家のシャインマスカットも、ジベレリンだけで写真↑のように大きく育ちました。
初心者はジベレリンだけの処理から始めてみると良いですね。
シャインマスカット ジベレリンの時期
シャインマスカットのジベレリンの時期は、5月下旬~6月上旬、日数を開けて2回行います。
ジベレリン前には、花穂成形(房づくり)を行っておきましょう。
- ジベレリン前1.花穂成形(房づくり)
- 5月下旬~2.ジベレリン処理 1回目
満開時~満開3日後に行う - 6月上旬3.ジベレリン処理 2回目
満開(1回目処理後)から、10~15日後
ジベレリンの前に準備をしよう!!
ジベレリンの前には必ず、花穂成形(房づくり)を行い必要のないぶどうの実を切り落とします。
すべての実をジベレリンにつけていては大変ですからね。
↓こんな感じ。
また、ブドウの花穂は、すべてがブドウになるわけではありません。
果房を美しく大きく育てるため穂の先端部分を 3~4㎝残して育てるのが一般的です。これを「花穂整形」といい、開花1週間くらい前から行います。
花穂成形を行わないと・・・これは我が家の失敗作↓こんなふうに長~くなってしまいます(笑)
農家では、ジベレリンをする1週間ほど前から花穂成形(房づくり)を行いますが、房数が少ない家庭菜園では、ジベレリン当日でもOKです。
もし、「花穂整形」を忘れてジベレリンをしてしまった方は1回目のジベレリンの後すぐでも心配いりません。
花穂成形の方法については、別ページで詳しく解説しています。
ジベレリン処理の時間や天気
ジベレリン処理は、ぶどうの葉や実が乾いている天気の良い朝から午前中にかけて行いましょう。
雨上がりのぶどうの実がぬれている状態だと、ジベレリンの効果が半減してしまいます。
ジベレリン処理後に雨が降ると、ジベレリンが流されてしまうと再処理をしなければなりません。
天気予報を見て、翌日雨が降らない日を選ぶことも肝心です。
5月~6月は日差しも強くなり、熱射病に気を付ける時期です。朝から午前中にかけての涼しい時を見計らってジベレリン処理をすると良いですね。
1回目ジベレリン処理の方法
1回目ジベレリン処理の時期 目安と写真
1回目のジベレリン処理は、開花時~3日目ぐらいが目安です。開花?とびっくりされた方もいらっしゃると思いますが、ブドウって花が咲くんです。
上の写真が、花が咲いた状態です。すべての粒が咲いて3日目ぐらいに1回目の処理を行います。
ジベレリン液を作ろう
まずは、ジベレリン液を作ります。
家庭菜園の種なしぶどうに1番のおすすめは「ジベレリン協和」のシリーズです。
これは果樹農家で最も多く使われているジベレリンです。粒タイプですが、水の中にポトンと落とすだけで、あっという間にシュワーと溶けます。
1リットルも!!!?
家庭菜園の場合、1リットルもいらないですよね。
我が家では、開花時期がバラバラなので、錠剤にカッターで切れ目を入れて半分に割って500mlで希釈し、500mlで使用しました。
これが、出来上がったジベレリン液!!
そう、気づいた方もいらっしゃると思いますが「ジベレリンの液体」って本来は透明なんです。
赤いジベレリン液をよく見かけると思いますが、あれは食紅みたいな顆粒を入れてわざと赤い液体にしているんです。ジベレリンの作業忘れを防ぐ目印にする為に、赤い液にわざわざするんです。
我が家の場合、最初は20房ほどしか実らならなったので作業忘れはないだろうと食紅は入れずに使いました。
でも年々ぶどう棚が大きくなり、6年目の今年は200房以上実っているので使っています。
着色剤はジベレリン薬剤に付属で付いている場合もありますが、ない場合は、市販の食紅で代用できます。
小さなぶどう棚には、200mlで薄めるタイプも売っています。↓
別のジベレリン薬も見てみたい方は、「鉢植えから家庭菜園の大きさ別」おすすめジベレリンで紹介。
ジベレリンが溶ける様子も動画で見れます。↓
ジベレリン処理の方法
ジベレリン液が用意出来たら、いよいよ1回目のジベレリン処理開始です。
下の写真は、プロのシャインマスカット農家の親戚からもらった「ジベ専用カップ」です。
「ジベ専用カップ」が手に入らない場合、上部を切ったペットボトルでもOKです。握れば変形する「ふにゃふにゃ」した柔らかいボトルの方が、ジベ作業に向いています。
カップに薄めたジベレリン液を8割ほど注ぎます。
処理方法は簡単。カップのジベレリン液に、花穂全体をさっと、どぼっと(笑)1回、しっかりつけるだけです。
薬液が付き過ぎないように、処理後は葡萄の枝を軽く振って余分な薬液を落とすのがコツです。
房が長くてジベレリン液に全部つからない場合は、カップをぎゅっと握ってあげると、全体がつかります。➡このため、柔らかいペットボトルがお勧めなんです。
カップの中に小さな実がバラバラと落ちることがありますが気にしないで、同じカップでどんどんジベ処理を行いましょう。
ジベレリン液が少なくなったら足してください。
ジベレリン液が余ってしまったら?
ジベ処理後、ジベレリン液が余ってしまうことがあります。
もったいないと思い、ブドウ農家の叔父に2回目で再利用できないか聞いてみました。すると冷蔵庫で保存可能だけど3日が限界。
雑菌等が繁殖するのでなるべく新しく作る様に言われました。がっくし・・・
2回目ジベレリンの方法
2回目ジベレリン処理の時期 目安と写真
2回目のジベレリン処理は、満開から(1回目のジベレリン処理後)10~15日後がめやすです。
もう花が咲き終わって、わずかに実が膨らんできたころです。
ジベレリン処理の方法
2回目のジベ処理のコツは、「花キャップ落とし」です。
上の写真の赤茶色い部分は実を覆っていた通称「花キャップ」です。落としてしまったので、カスしか残ってません。来年また撮りなおしますね(^^♪
これが実を覆っていると、うまくジベレリン処理が行えないので、軍手をした手でなでるように落としてあげるのがコツです。
2回目のジベレリン処理も、1回目と同じ要領で行えばOKです。
下の写真は、2回目ジベレリン処理後、2週間。
(こちらは4年目の写真、房が沢山つきました)
ジベレリン処理後、3週間。どんどん実が膨らんできます。
収穫したシャインマスカット(ジベレリンのみ)
ジベレリン処理後に雨が降ってしまったら?
ジベレリン処理後に雨が降ってしまったら、再処理を行うことができます。
シャインマスカット農家の叔父によると、ジベレリン処理から厳密にいうと8時間たっていれば雨が降ってもOK、1日経てば確実との事でした。
NOSAI山梨のHPや、協和発酵バイオのHPも参考にしてください。↓抜粋
ジベレリン処理から72時間後までに相対湿度が80%以上で8時間を経過することが必要と言われています。経過前に連続5mm以上の降雨では再処理
NOSAI山梨公式HPより
処理後の天候急変 (降雨、異常乾燥)で本剤の吸収が不十分になるおそれがある場合には、ジベ レリンを含む 農薬の総使用回数の範囲内で再処理を行うことができる。
協和発酵バイオ公式HP
ジベレリン処理失敗しないコツ プロのブドウ農家からのアドバイス
1.1回目のジベレリン処理の時期は逃さないこと!!
シャインマスカット農家の叔父によると、1回目のジベレリン処理の時期が遅いと、種が残り、実の着きが悪くなるなど品質が低下してしまうそうです。
逆に早すぎると、奇形果になります。
花が咲いたタイミングを逃さず、しっかりジベレリン処理を行いましょう。
2.花穂整形は「両肩残し」が便利
ジベレリン前の花穂整形は両肩を残しておくと、ジベレリン時に目印となり便利です。
花穂整形時にわざと両肩を残し、1回目のジベレリンが終わったら右肩を切り目印とする・2回目のジベレリンが終わったら右肩と切っていく方法です。
この方法を使うと、咲いた順にジベレリンを行えて目印が付けられます。
実際私もジベレリン処理をしてみて感じたことですが、ジベレリンって満開から、満開の3日以内にしなくちゃいけません。でも、1本の木で花が咲く時期ってバラバラなんですよね。
よく陽があたる房は早く花が咲くのに、日陰の部分の房は3日経ってもまだ咲かない。「いったいどうしたらいいんだ~?」と叔父に聞いて伝授された花穂整形時の両肩残しの方法が役に立ちました。
でもここで疑問に思ったのは「2度目のジベはいつするの?」ということです。
2回目のジベは、1回目から10日~15日後と決まっています。1回目ジベ処理の目印は付いていますが、日にちは房ごと違いますから、日にちをいちいち覚えていません。
1週間以上のずれがあると思います。これはどうやって見分けるの?
と聞いてみると、そこはあまり気にせず、最初にジベをした房の日数から15日目にすべての房のジベを行うと良いと教えてもらいました。
また、1回目のジベで大きく育ってしまったら2回目のジベをしないこともあるようです。
なるほど~なかなか、ブドウ栽培は奥が深いですね。
「花穂整形」は1回目のジベレリン処理を行ってからでも遅くないそうです。粒がおおきくならないうちに早めに花穂整形をしてあげましょう。
3.「枝の誘引」「芽かきや」「摘心」も重要
ジベレリンと同時にこの時期は「枝の誘引」「芽かきや」「摘心」などの作業も重要です。
もじゃもじゃとわき芽をはやしたままでは、栄養がとられて良い実になりません。「芽かきや」「摘心」をきちんと行う事で大きな良い葡萄の実が収穫できます。
枝を折らない「枝の誘引」のコツは、こちらで紹介しています。
勢いのよい枝の先を剪定する「摘心」の方法はこちら。
まとめ ぶどうの「ジベレリン処理」の時期と方法★シャインマスカットで解説
ジベレリン処理を体験しましたが、意外に簡単でびっくり。
秋には105房の見事な種なしシャインマスカットが実り感動しました。
ぜひ、みなさんもご家庭で「種なしぶどう」にチャレンジしてみてください。
長い文章をお読みいただいてありがとうございました。家庭菜園でのジベレリン処理の参考になれば幸いです。美味しいブドウが実るとよいですね。
参考記事