プロのシャインマスカット農家三軒のアドバイスをもとに、我が家のシャインマスカットに発生した「ブドウスカシバの農薬と駆除方法」を写真で詳しく解説しています。
この駆除法は、ブドウスカシバの他、ブドウトラカミキリの駆除・クビアカスカシバ、桃の被害に多いコスカシバ等にも効くそうです。
シャインマスカットの害虫1★木にゼリー状の樹液?ブドウスカシバの駆除と防除方法
ぶどうの被害/症状
10月も終わりに近づたころ、我が家のシャインマスカットの枝からぷるぷると茶色いゼリー状の樹液が出ているのを発見。
最初は、茶色いゼリー状のものが沢山地面に落ちていて「なんだろ~?」と見上げると、ぶどうの枝が下の写真の状態でした。
ありゃ~やられてる!! 枝に穴が開いてゼリーが飛び出しています。
早速、ブドウ農家の叔母に電話をして見に来てもらいました。
「ありゃ~これはブドウスカシバにやられたね。すぐに駆除しなきゃ枯れちゃうよ」
と叔母に言われて大慌て。我が家のシャインマスカットは4年目。やっと収穫も一人前にできる様になってきたのに大変です。
本来、果樹木は傷つくと樹液を出す習性があります。ブドウスカシバにやられると、樹液に糞尿が含まれぷるぷると茶色いゼリー状を排出します。
ハサミで、ちょっと枝を掘ってみました。
うわ~!!
ゼリーの塊がでてきました。
ブドウスカシバの糞尿が混じった樹液です。グミくらいの堅さです。
ブドウスカシバってどんな虫?
ブドウスカシバはハチによく似ていて、「スカシバガ科Sesiidae スカシバガ亜科Sesiinae」に属するブドウの害虫として知られています。
よく子供のころ、学校の桜の木や桃・杏からぷるぷると茶色いゼリー状の樹液が出ているのを見かけましたが・・・あれ、ブドウスカシバの仲間のコスカシバによる食害によるものです。
「カブト虫」が食べにくる樹液かな~?
なんて子供のころは思っていましたが違ってたんですね(笑)
ブドウスカシバの幼虫は釣り餌で有名なブドウ虫で知られています。
木の皮の下の柔らかい部分を好み、食害した枝のトンネルで越冬し「さなぎ」になります。
5~6月になると脱皮し羽化して成虫になります。ブドウスカシバに食害された枝は放置すると紫赤褐色に膨らみ、食入された新梢は伸びが止まり先端部は萎れて枯れてしまうので早めに処置をしなければなりません。
駆除/防除方法
叔母から聞いた駆除方法をまとめてみたので、まずはこちらから。
駆除の時期と方法
駆除は、春と秋で方法が異なります。
春の駆除
春はブドウスカシバに食害の「予防」として、5~6月に薬剤の散布を行います。暖かくなり、成虫や、幼虫がふ化の多い時期です。
家庭菜園で薬剤の散布をしない場合、見分け方は「木のカス」とのこと。
春のうちは食害穴から木のカスだけが出ます。見つけたら枝を切り取りましょう。
秋の駆除
春のは食害穴から木のカスだけが出ますが、秋になると樹液と糞尿が混ざりゼリー状になります。
我が家のぶどう棚で見つけたのは10月なので、食害後から糞尿ゼリーがでていました。
この場合は次の防除をします。
この方法は、叔母も近所のブドウ農家仲間から評判を聞き試したところ、かなりひどい傷でも木が元気を取り戻せたとの事でした。
🍑桃が食害された場合も、同じ防除をするそうです。
ブドウスカシバに効く農薬
シャインマスカット農家の叔母に勧められた、ブドウスカシバ退治によく効く農薬です。
農薬探し
さていよいよ、消毒です。
早速、パダンを探しましたが、Amazonでは販売されてませんでした。
フェニックスはありましたが、適用欄にブドウスカシバの記載なし。その為、素人でも簡単に手に入るスミチオンを使う事に決定。
スミチオンは以前、杏のアブラムシの駆除に使った馴染みのある農薬です。
納屋を探すと住友化学園芸のものを発見。2年前に使ったものがありました。古いと効き目が弱くなるとの事で、今回は地元のJAアグリで勧められた日農さんのものを購入しました。
スミチオンの摘要欄には、同じように枝に穴をあけて食害するブドウカミキリの記載もあったので、ますますOK! これは一石二鳥だわ~。
ペースト殺菌剤は、叔母に勧められた日本曹達トップジンMペーストを使います。
シャインマスカット 木の傷口・切り口の防除
幼虫の駆除
ゼリー状の糞尿を取り除いた後、食害された穴と患部を小刀等で大きめに削り取ります。
けっこう堅い~・・・細い幹の場合は、折ってみるとよいですね。我が家のブドウ食害は、茶色くなった太い枝の中間部分でしたので、ハサミで削り掘ってみました。
大きい幼虫がいるのかな?
綺麗に削った後、ハサミで奥まで刺してしまったのでばらけてしまったのか、幼虫の残骸?を発見。
下の写真はブドウスカシバの幼虫です。枝の中にはこんなのがいるはずです。大きくなると体調20mmにもなります。
ブドウの木 ブドウスカシバの幼虫
長野県農業関係試験場HPより
他の枝からは、こんな干からびた残骸を発見。
これは、さなぎ?
ブドウスカシバに似た、ブドウトラカミキリの幼虫かもしれません。
きちんと、消毒処理しなくては・・・・
殺虫剤(農薬)を注入
次に、殺虫剤(農薬)を注入します。(今は秋なので、傷口部分のみの消毒を行います)
用意するのは、スミチオン(農薬)と、100均で購入した「スポイト」と「スプレー瓶」
農薬の希釈方法と分量
シャインマスカットの黒とう病での消毒でも紹介しましたが、スポイトを使った希釈方法は素人でも簡単にできます。
一般的にスポイトの1滴は0.06ml(目薬などの1滴は0.05ml)
つまり1000倍で希釈するの場合、1リットルの水(大きい牛乳パック1本分)につき、農薬は15敵から16滴となります。
スミチオンを使ったブドウスカハバの駆除希釈濃度は1000倍~2000倍と書いてあります。
「1000倍~2000倍って、どっちなんだ?」
と悩みましたが(笑)、より効き目が高い方で今回は1000倍希釈を選択。私の購入したスプレー瓶は100mlだったので、1滴で水60mlを入れて希釈しました。スミチオンは水を入れると白濁し、消毒臭もかなりします。
◆1000倍希釈◆
春の消毒 (全体消毒) | |
水1000ml | スミチオン15滴~16滴 |
秋の消毒 (駆除部分消毒) | |
水60ml | スミチオン1滴 |
水120ml | スミチオン2滴 |
水180ml | スミチオン3滴 |
農薬の注入方法
広げた傷口に スミチオン乳剤をスプレー注入します。奥の方にも染み渡るよう大量噴射~
傷口の殺菌/塞ぎ方 トップジンMペースト
次に広げた木の傷口をペースト剤で、殺菌し傷口を塞ぎます。傷口をこのままにすると、細菌が入り晩腐病・つる割病になり枯れてしまいます。
用意するのは、シャインマスカット農家の叔母に勧められた トップジンMペースト とハケ。(大容量のトップジンMはハケ付きで売っている場合が多いです)
「トップジンM」は殺菌作用があるだけでなく、切り口の「ゆ合促進定効果」があるので切り口の回復も早めます。
被害枝の部分にトップジンMをつけ、ハケで丁寧に塗ります。直接チューブを枝にあててペーストをつけても大丈夫です。
削り取った部分より大きめ、枝全体に塗るのがコツです。
使用後、雨が降ると流れ落ちてしまうので、半日ぐらい雨の降らない天候の時に防除すると良いです。
まとめ シャインマスカットの害虫1★木にゼリー状の樹液?ブドウスカシバの駆除と防除方法
ブドウスカシバは、蛾の仲間で見た目はハチに似ています。幼虫は枝の中に寄生し、食害を受けた枝は放置すると枯れ、幹や太枝に寄生されると樹自体が衰弱してしまいます。
ブドウスカシバの被害に気づくのが遅れ、太い枝の半分を食べられてしまった場合でも諦めないでください。
叔母の果樹園では、幼虫を駆除し殺菌ーペースト剤を塗る事で元気に復活したそうです。
我が家のシャインマスカットも枯れることなく元気に冬を越し、翌年沢山の実をつけました。
➡5年目の我が家のシャインマスカットの収穫の様子は、シャインマスカットの育て方★年間カレンダーの、9月の欄で詳しく紹介しています。
頑張って美味しい葡萄を実らせましょう。それではまた(@^^)/~~~
ブドウスカシバと被害がよく似ているブドウトラカミキリの駆除法についてはこちら。
害虫駆除は、木の皮を剥くだけでも発生を抑えられます。
詳しい「ぶどうの粗皮削りの方法」はこちら↓