第12話では、物語はいよいよ大きな対決へと進んでいきます。
玄虺(げんき)の脱獄をめぐる一連の騒動の裏で、灰長老(かいちょうろう)が関わっていたことが明らかになり、武祯(ぶてい)はついに彼と決着をつける決意を固めます。妖市の秩序を守る猫公として、逃げることのできない戦いが始まります。
一方で、梅逐雨(ばい・ちくう)との関係にも静かな変化が続いていきます。互いに想いを抱えながらも距離を測る二人のやり取りや、新月の夜に語られる妖たちの戦いなど、緊張感のある展開の中にも印象的な場面が描かれます。
それでは、『子夜帰』第12話のあらすじ(ネタバレ)を紹介していきます。
※誤訳があったらごめんなさい。画像出典:公式SNS
『子夜帰 12』主な登場人物
武祯(ぶてい)
演:Tian Xiwei(ティエン・シーウェイ)
妖市を統べる「猫公」。第12話では灰長老との禁術による決闘に臨み、圧倒的に不利な状況の中でも何度も立ち上がり続ける。雷の力を受けて修為を高め、ついに勝利を掴む。戦いの後も重傷を負いながら、梅逐雨との約束を果たそうと帰宅し、彼のもとで力尽きる。責任と情の両方を背負う姿が強く描かれる。
梅逐雨(ばい・ちくう)
演:Xu Kai(シュー・カイ)
玄鉴司の司使。第12話では武祯の決戦を知らぬまま帰りを待ち続ける。前話で自覚した想いを胸に抱えながらも言葉にはできず、ただ静かに彼女を案じる。帰ってきた武祯を抱きとめ、そのまま看病するなど、行動で想いを示す場面が印象的に描かれる。
柳太真(りゅう・たいしん)
妖市の「蛇公」。武祯の決闘を危険視し、その軽率さに怒りを見せる。もし武祯が敗れた場合は自ら灰長老を討つ覚悟を示すなど、強い責任感と実力を持つ存在。第12話でも妖市の均衡を見守る立場として重要な役割を担う。
灰長老(かいちょうろう)
妖市四門の一人。第12話では禁術「生死決」を発動し、武祯との決闘に臨む。劣勢に追い込まれると禁を破って天雷を引き込み、強引に勝利を狙うが、最終的に敗北。すべての修為を奪われ、凡人として人間界へ追放される。
无字书(むじしょ)
武祯のそばで妖市の実務を支える存在。第12話では武祯を助けようと決闘の場に駆けつけるが、強力な結界に阻まれ弾き返される。直接戦いには加われないが、武祯を支えようとする姿勢が描かれる。
梅四(ばい・し)
梅逐雨のいとこ。第12話では玄虺と行動を共にしながら、『妖诡札记』を読み込み妖に対する理解を深めていく。また朔月の夜を心配して柳太真のもとを訪れ、門の前で待ち続けるなど、不器用ながらも一途な一面を見せる。
玄虺(げんき)
かつて百年封じられていた大妖。第12話では力を失い小さな黒蛇の姿のまま、梅四と行動を共にする。朔月の夜の意味や妖同士の戦いについて語り、妖の世界の知識を補う役割を担う。
斛珠(こくしゅ)
武祯に仕える狐妖。如意楼を取り仕切る存在。第12話では妖市に起きた異変を受け、柳太真のもとへ向かい対策を相談するなど、状況を見極めながら動く。
霜降(そうこう)
梅逐雨の弟弟子で常曦宫の天師。第12話では直接大きく動く場面は少ないが、前話から続き梅逐雨の行動や心情に影響を与える存在として描かれる。
『子夜帰』第12話 あらすじ ネタバレ

武祯(ぶてい)はついに妖獄(ようごく)へ向かい、灰長老(かいちょうろう)との決着をつける覚悟を固める。対峙した灰長老は迷うことなく応じ、その場で禁術である「生死決(せいしけつ)」を発動する。これは本来、妖公と長老の力の暴走を防ぐために作られた最終手段であり、百年のあいだ実際に使われたことのない異例の決闘だった。
その異変はすぐに妖市(ようし)全体に伝わり、空に現れた異象を見上げながら多くの妖たちが騒然とする。柳太真(りゅう・たいしん)は驚き、武祯の行動を取り消す方法はないという。しかし、もし武祯が敗れるようなことがあれば、自らが灰長老を討つと断言する。
決戦を前に、武祯(ぶてい)は心を落ち着けるように川辺で釣りをしていた。そこへ梅逐雨(ばい・ちくう)が現れ、言葉を交わす。武祯は冗談めかして金屋の話をするが、梅逐雨はそれを軽く受け流さず、軽々しく口にすべきではないことや、叶えられない約束はするべきではないと語る。武祯はその反応にどこか物足りなさを感じる。
やがて武祯は立ち上がり、その場を離れようとする。行き先を問われると「他の男と約束がある」と告げ、梅逐雨はそれ以上引き止めず、ただ早く戻るようにと言葉をかける。武祯は帰ると答え、彼の視線を受けながらその場を後にする。
その夜、梅四(ばい・し)は『妖诡札记(ようきさっき)』を読み進める中で、「朔月(さくげつ)の夜」に関する記述に強く興味を持つ。玄虺(げんき)はそれについて、月のない夜は陰の気が最も強くなり、妖同士の決闘や覇権争いが行われやすい時だと説明する。この夜には多くの妖が戦い、新たな力関係が生まれる可能性があるという。

やがて、武祯と灰長老の戦いが始まる。修行わずか十年の武祯に対し、灰長老は百年の力を持つ。周囲の妖たちはほとんどが灰長老の勝利を予想していた。実際、戦いの序盤では武祯は押され、何度も打ち倒される。しかしそのたびに立ち上がり、決して退こうとはしない。
灰長老は本命の法器を使い、全力でとどめを刺そうとする。武祯も流光鞭(りゅうこうべん)を手に応戦し、激しい戦いが続く。やがて追い詰められた灰長老は、禁を破り結界を強引に破壊し、九霄(きゅうしょう)の天雷を呼び寄せる。これは妖市の法に反する行為であり、勝敗に関わらず厳罰が下される行為だったが、灰長老は一切気にしなかった。
雷が二人を包み込み、結界の中は激しい雷撃に覆われる。无字书(むじしょ)が助けに入ろうとするが、その力に弾き返される。灰長老は武祯が雷によって命を落とすと確信していたが、結果は逆だった。武祯は雷の力に耐え、むしろそれを取り込むことで自らの修為を高める。
やがて武祯は真の姿である猫の姿を現し、最後の戦いに挑む。激しい攻防の末、ついに灰長老は敗れる。自分がなぜ敗れたのか理解できない灰長老に対し、武祯は「勝敗は修行の長さだけで決まるものではない」と言い放つ。
灰長老は禁を犯した罪もあり、本来なら極刑もあり得たが、他の長老たちの取りなしもあって命は助けられる。しかし武祯はそのすべての修為を奪い、凡人(ネズミの姿)へと戻し、人間界の最も過酷な地へ追放する処分を下す。人を苦しめてきた報いを、自らの身で知ることになる。
戦いに勝利した武祯もまた深く傷ついていた。それでも彼女は梅逐雨との約束を思い出し、必ず戻ると心に決める。

一方その頃、梅逐雨は夜になっても戻らない武祯を待ち続けていた。やがて彼女が帰ってくると、その姿に安堵する間もなく、武祯は力尽きて彼の胸に倒れ込む。そのまま眠りに落ちた彼女を前に、梅逐雨は戸惑いながらも抱きとめ、静かに寄り添う。
梅逐雨は彼女を部屋へ運び、高熱に気づくと一晩中そばで看病を続ける。
同じ夜、柳太真が屋敷へ戻ると、門の前で梅四が待っていた。朔月の夜を案じて様子を見に来たものの、そのまま眠ってしまっていたのだった。柳太真が無事であることを確認すると、梅四は安心して帰っていく。
こうして戦いは終わるが、それぞれの想いと関係は、さらに深く変化していくのだった。
つづく
『子夜帰』第12話 の感想
今回とても印象に残ったのが、2人が川辺で話した「金屋」の話です。
この背景を知っていると、やり取りがより深く楽しめます。
金屋とは、中国の故事「金屋蔵嬌(きんおくぞうきょう)」に由来する言葉で、女性を大切に囲い、寵愛することを意味します。つまり本来は「愛される側」を表す言葉です。
一方で、梅逐雨(ばい・ちくう)が口にした「長門賦(ちょうもんふ)」は、その逆とも言える存在です。
寵愛を失い、孤独の中で嘆く女性の姿を描いた作品で、「捨てられる側」の象徴として知られています。
つまりこの二つは、
👉金屋=愛される
👉長門賦=捨てられる
という対になったイメージになります。
この前提で見ると、川辺の会話がとても印象的に見えてきます。
武祯(ぶてい)は軽い冗談として「金屋を建てて住まわせてあげる」と言う。
それに対して梅逐雨は、「では自分は長門賦を歌うのか」と返す。
梅逐雨はこのやり取りを、完全に冗談として受け流していたわけではなさそうです。
むしろ、軽く笑って返すことができず、どこかで現実の話として受け止めてしまっているようにも見えました。
常曦宫(じょうぎきゅう)の者は情に流されてはならないという掟もあり、
未来を想像させるような言葉ほど、軽々しく扱えない。
だからこそ武祯の冗談に対しても距離を取るような返しになり、
「軽々しく言うべきではない」
「できない約束はするべきではない」という言葉に繋がっていく。
ただまじめなだけではなく、
気持ちがあるからこそ、軽くできない――
武祯は距離を縮めようとしているのに、
梅逐雨はふみだせない。
そんな梅逐雨らしさがよく出ていた場面だったと思います。
そしてその後の流れも、とてもかわいらしかったです。
武祯は少しつまらなそうな表情になり、どこかがっかりした様子を見せる。
そのまま気持ちを切り替えるように立ち上がり、「他の男と約束がある」と言ってしまう。
あれ、完全にやきもちをやかせようとしてますよね。
それに対して梅逐雨は引き止めることもせず、ただ「早く戻ってくるといい」と言う。
そして武祯も「ちゃんと戻るわ」と答える。
このやり取りもすごく良かったです。
強く気持ちをぶつけるわけではないのに、ちゃんと相手を気にしているのが伝わる。
この距離感がとてもこの二人らしいなと思いました。
だからこそ、同じ方向を向いているのにすれ違ってしまう関係がより際立っていて、とても印象に残るシーンでした。
👉意味が分かると、このシーンのセリフがとても印象的に感じられます。日本人にわかりやすく翻訳したので、ぜひじっくり読んで楽しんでください。
梅逐雨(ばい・ちくう)
「何をしているんだ?」
武祯(ぶてい)
「釣りよ」
梅逐雨
「食欲はあるみたいだな」
武祯
「斛珠(こくしゅ)が持ってきてくれたの」
梅逐雨
「気が利くな」
武祯
「壮行の食事みたいなものよ。ちゃんと食べておかないと」
(梅逐雨、少し心配そうに見る)
武祯
「なによ」
梅逐雨
「……いや」
梅逐雨
「何か悩みがあるのか」
武祯(うなずいて微笑む)
「もし機会があったらね――
屋敷に“金屋”を建てて、あなたを住まわせてあげる」
梅逐雨
「……じゃあ俺は、その中で『長門賦(ちょうもんふ)』でも歌うことになるのか?」
武祯
「そんな話まで知ってるの?」
梅逐雨
「さっき読んだばかりだ」
武祯
「武国公府は本が多いのよ」
梅逐雨
「確かに多いな」
武祯
「そのせいで、変なことまで覚えちゃったんじゃない?」
「それはいいとして……私を薄情な男みたいに言うのね」
梅逐雨
「君がいつも、でたらめなことを言って人をからかうからだ」
武祯
「笑ってよ」
「そんな言い方、あなたらしくないわ」
梅逐雨(少し間をおいて)
「……はっきりしていないことは、軽々しく口にするべきじゃない」
「自分にできない約束も、するべきではない」
(武祯、つまらなそうな顔をする)
梅逐雨
「俺は、いい加減なことは言わない」
(梅逐雨は昨夜の霜降の言葉を思い出す)
霜降
「師兄、長く下山して忘れたんですか?」
「常曦宫の者は情に流されてはいけません」
梅逐雨
「忘れていない」
霜降
「なら、その関係に結果はありません」
梅逐雨
「彼女と結ばれるつもりはない」
「想いはあるが、しがらみもある」
「結果を求めるのではなく、ただ想いを抱くだけだ」
(現実に戻る)
梅逐雨は言葉を失い気まずい空気。
武祯は気持ちを切り替えるように立ち上がる。
梅逐雨はそれを見て、少し後悔したような表情になる。
武祯
「もう行くわ」
「……聞かないの?」
梅逐雨
「何を?」
武祯
「どこへ行くのかを」
梅逐雨
「じゃあ聞くけど、どこへ行くの?」
(少し間をおいて)
武祯
「他の男と約束があるの」
梅逐雨
「……そうか」
「早く戻ってくるといい」
武祯
「ちゃんと戻るわ」
梅逐雨は静かにうなずく。
武祯は少し嬉しそうな表情を浮かべ、そのまま立ち去る。
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そして今回の梅四(ばい・し)も本当に良かったです。毎回、彼の登場が楽しみになってきています(笑)
演じているYi Dacheng イー・ダーチェン(易大千)は、彼は中国の若手俳優で、これまでさまざまな作品に出演しています。主な出演作には、ドラマ『若いうちに』、『私の人間煙火』、『幸福、手の届くところに!』、『冥王星の時間』などがあり、現代劇から幅広く活躍しています。
また、時代劇では『今宵、若様は恋におちる』で演じた袁朗(えんろう)役でも知られており、今回の『子夜帰』のような世界観にもよく合う俳優ですね。
こうして見ると、コミカルな役だけでなく、きちんとした人物や落ち着いた役もこなせるタイプで、作品ごとに違った魅力を見せてくれる俳優さんですよね~
今回のみどころは・・・
もともと玄虺(げんき)は、柳太真(りゅう・たいしん)との戦いで湖に叩き落とされた黒へび(実は大妖)で、弱っていた状態でしたが、それを梅四が拾って助ける流れに。…ただ実際には、その前におしりで踏みつけてさらにダメージを与えてしまっているのがまた面白いですよね(しかもこれは玄虺には秘密)。
まさか重箱の中で飼われることになるとは思いませんでした。
梅四はそんな玄虺のことを「小さなどじょう」なんて呼んで、まったく怖がる様子がない。むしろ「兄」と呼びながら妖のことを教わっているのが、本当に独特で面白いです。
百年以上生きている大妖に対して、「そんなに長く生きてるのに、小さくてあまり食べてこなかったの?」と無邪気に聞いてしまうあたりも、梅四の屈託のない明るさがよく出ていました。
そしてやっぱり面白いのがこの関係性ですよね。
玄虺(げんき) ⇄(敵同士)⇄ 柳太真(りゅう・たいしん)
↑(懐かれる)
梅四(ばい・し)
↓(一途に想っている)(片想い)
柳太真(りゅう・たいしん)
このちょっと不思議な三角関係のような構図が、とてもいいアクセントになっています。
そして印象的だったのが、この新月の夜のシーンです。
庭では赤い梅の花が、不気味な風に揺れ、時折稲妻が走る。
その中で梅四(ばい・し)は机に肘をつき、窓の外を見上げている。
隣には、ちょこんと座る小さな黒へび――玄虺(げんき)。
その玄虺が、新月の夜に起こる妖たちの戦いについて語る。
不気味な夜の空気の中で、月を見上げる二人の姿、
とても印象的でした。
この一連のシーンは、映像が本当に美しかったです。
光や影の使い方、風の演出など、細かい部分まで丁寧に作られていて、映像スタッフのこだわりを強く感じました。
第12話は
・大きな戦いの決着(ネズミと猫の対決)
・武祯の強さと覚悟
・梅逐雨との関係の深化
がしっかり描かれた回でした。
ここで一つ大きな山を越えた感じがあるので、
次はまた新しい展開に入っていきそうです。
『子夜帰』第13話 あらすじはこちら

