第5話では、西郊で起きている不可解な失踪事件をきっかけに、新たな妖の存在が動き出します。
梅逐雨(ばい・ちくう)は事件の異変に気づき、自ら調査に乗り出そうとしますが、玄鉴司の動きや過去の記録に隠された謎も浮かび上がってきます。一方で武祯(ぶてい)もまた、「无化骨(むかこつ)」をめぐって独自に動き、物語は大きく動き始めます。
さらに西郊では、人に幻を見せて命を奪う妖が現れ、不穏な空気が一気に広がっていきます。
それでは、『子夜帰』第5話のあらすじ(ネタバレ)を紹介していきます。
※誤訳があったらごめんなさい。
『子夜帰 5』主な登場人物
武祯(ぶてい)
演:Tian Xiwei(ティエン・シーウェイ)
清河県主(せいがけんしゅ)です。
妖市で「猫公」として長安の妖を管理しています。无化骨(むかこつ)の行方を追っており、第5話では梅逐雨のもとから骨をすり替える行動に出ます。西郊の異変にも関わり、自ら現地へ向かいます。
梅逐雨(ばい・ちくう)
演:Xu Kai(シュー・カイ)
玄鉴司(げんかんし)の役人です。
妖怪事件を調査する役所に勤めています。冷静で公正な性格で、西郊の失踪事件でも自ら調査に乗り出します。第5話では十八年前の天火に関する記録が消されていることに気づきます。また武祯への求婚を考えている様子も描かれます。
柳太真(りゅう・たいしん)
妖市の「蛇公」です。武祯と並ぶ妖の管理者です。
妖市の立場から西郊の異変を把握し、无化骨に関する情報にも関わります。
聞化(ぶんか)
梅逐雨の小随従です。
長安の外で人買いの一団の中にいたところを梅逐雨に引き取られました。身寄りはありませんが長安で育ったため離れることを望まず、現在は梅逐雨のもとで暮らしています。料理が得意で、生活面を支えています。
徐鸾(じょらん)
玄鉴司の人物です。
西郊の失踪事件の調査を先に進めます。十八年前の天火に関する記録について問われますが、宮中に回収されていると説明します。
无字书(むじしょ)
武祯の副手です。
妖市の動向を管理し、武祯を補佐しています。第5話では灰長老と対立しつつ、独自に行動します。
灰長老(かいちょうろう)
妖市四門の一人です。
武祯や无字书に圧力をかける存在で、妖の失踪について報告に現れます。
山婆娑(さんばさ)
人を惑わし精気を奪う妖です。
霧を操り、幻を見せて人を誘い込み命を奪います。西郊の失踪事件の原因となっている存在です。
『子夜帰』第5話 あらすじ ネタバレ
武祯(ぶてい)は夜のうちに梅逐雨(ばい・ちくう)の住まいへ忍び込み、浴室へと潜入していた。
狙いはもちろん、无化骨(むかこつ)。
梅逐雨が湯を使っている間に、武祯は脱いだ衣類や腰巾着を探り、ついに无化骨を手に入れる。
だがその気配を、梅逐雨は敏感に察知していた。
すぐに浴室から出て周囲を探るが、そこにいたのは一匹の狸花猫(りかびょう)だけ。
もちろん、その正体は猫へ変身した武祯だった。
梅逐雨は猫を抱き上げる。
しかし猫はするりと腕を抜け、屋根へ飛び上がると、そのまま夜の闇へ消えていった。
梅逐雨は怪しみながらも、その場では深く追わなかった。
その後、梅逐雨は无化骨を土の中へ埋め、術を使って封印する。
だが彼は気づいていなかった。
その骨は、すでに武祯によって偽物へすり替えられていたのである。
本物の无化骨は、すでに武祯の手の中にあった。
武祯は妖市(ようし)へ戻り、長老たちの前へ无化骨を持ち出す。
灰長老(はいちょうろう)をはじめとする四大長老たちは、ただちに術を使い、无化骨を破壊しようとする。
しかし――
骨が砕けた瞬間、その内部から凄まじい煞気(さっき)が噴き出した。
禍々しい妖気は空間を震わせ、その場にいた者たち全員が衝撃を受ける。
それは、ただの妖骨ではなかった。
「邪煞詭婴(じゃさつ・きえい)」の骸骨だったのである。
十八年前。
邪煞詭婴は突然長安へ現れ、人と妖の両方へ壊滅的な災厄をもたらした。
妖市は崩壊寸前に追い込まれ、多くの妖が命を落とした。
最終的に前任の猫公(びょうこう)が、自らの魂を犠牲にすることで、ようやく邪煞詭婴を封じ込めたのだった。
だが今、その骨が再び現れた。
つまり邪煞詭婴が蘇る可能性があるということだった。
妖市には再び、十八年前と同じ危機の影が迫り始めていた。
その頃、長安西郊の山村では、新たな怪異が起きていた。
深い霧の中で、ある樵夫(きこり)が死んだ母の姿を見る。
だがそれは幻だった。
正体は妖・山婆娑(さんばさ)。
山婆娑は人の執着や未練につけ込み、幻を見せて精気を吸い取る妖だった。
樵夫はあっという間に精気を奪われ、命を落としてしまう。
西郊では、同じような失踪事件が相次いでいた。
梅逐雨は異変を察し、自ら調査へ向かおうとする。
しかし、調査隊はすでに徐鸾(じょらん)の命令で先に出発していた。
現地へ着いた調査隊の役人たちは、最初から真面目に調べる気などない。
「山で迷っただけだ」
「毒キノコでも食べたんだろう」
そんな文句を言いながら山を歩いていた。
だが突然、竹林に濃霧が広がる。
山婆娑が三人を誘い込んだのだ。
さらに、失踪していた村人たちがゾンビのような姿で現れ、異様な様子で役人たちへ襲いかかる。
背後では山婆娑が、次の獲物として彼らを狙っていた。
その時――
鼠妖(そよう)が現れる。
彼は山婆娑を止め、「これ以上派手に人を殺せば、妖市の二公が動く」と警告する。
山婆娑はためらう。
すると鼠妖は、不気味な笑みを浮かべながら言う。
「お前を助けることは、つまり私自身を助けることだ」と。
こうして二匹の妖は、ひそかに手を組むことになる。
一方、梅逐雨は案牍庫(あんとくこ)で過去の記録を調べていた。
だが奇妙なことに気づく。
十八年前の“天火”に関する資料だけが、完全に消えていたのだ。
彼は徐鸾へ問いただす。
しかし徐鸾は曖昧な返事しかしない。
資料はすでに宮中へ回収された。
閲覧するには月初に正式な申請が必要だ――。
そう言って、面倒事に関わるなと追い払おうとする。
だが梅逐雨は逆に確信していた。
十八年前の天火には、何か隠されている。
その頃、失踪事件に苦しむ西郊の村人たちが柳府へ押しかけていた。
行方不明になった者たちは戻ってきたものの、皆どこか様子がおかしい。
柳公慎(りゅう・こうしん)は徐鸾を問い詰める。
しかし玄鑑司(げんかんし)と京兆府(けいちょうふ)は互いに責任を押し付け合い、誰も厄介事を引き受けたがらない。
重苦しい空気の中、梅逐雨だけが前へ出る。
「私が西郊へ向かいます」
そう一人で申し出たのだった。
その様子を遠くから見ていた武祯と柳太真(りゅう・たいしん)は、少し感心したように話す。
柳太真は、梅逐雨を見ながら言う。
「あれがお前の“小郎君”か?」
武祯は小さく笑う。
「ああいう場でも平然としてるのよ」
柳太真も頷く。
「他の連中とは違う。普通なら、あそこまで踏み出せない」
武祯は表面上は軽く流すが、その目にはどこか誇らしさが浮かんでいた。
武祯が妖市へ戻ると、長老たちから新たな事実を知らされる。
西郊には“雷撃木(らいげきぼく)”が存在するという。
それは雷に打たれた霊木であり、邪煞詭婴の煞気を消し去れる唯一の存在だった。
つまり、西郊の事件と无化骨は繋がっている可能性があった。
一方その頃、梅逐雨は家で聞化(ぶんか)へ金の残りを確認していた。
「家にある金はあとどれくらいだ?」
聞化は答える。
「全部で三十貫ほどです」
その返事を聞いた聞化は、にやにやしながら言い出す。
「郎君、さては結納の準備をして、清河県主へ求婚するつもりですね?」
梅逐雨は無表情のまま黙っている。
だがその脳裏には、武祯の姿が浮かんでいた。
豪華な馬車。
しかし自分の家へ来た時は、道が狭くて馬車が入れず、泥だらけになりながら歩いてきたこと。
足までくじいていたこと――。
しばらく考えたあと、梅逐雨は財布を取り出す。
「この道はぬかるみすぎて不便だ」
「二日で人を雇って、道を直せ」
さらに、驢馬小屋も壊せと命じる。
聞化は驚く。
「えっ、富貴(驢馬)はどこへ住むんですか?」
だが梅逐雨は静かに言う。
「この道は狭すぎる。
ああいう立派な馬車は入れないからな」
つまり、武祯のためだった。
聞化はすべて察し、にやにやが止まらなかった。
やがて武祯も、西郊へ向かう。
武皇后が妹の身を心配し、金吾衛の懷安(かいあん)と臨淵(りんえん)まで護衛として同行させていた。
現地では、梅逐雨が村人たちに囲まれていた。
山へ入れなければ、薪も狩りもできず、生きていけない。
村人たちは不安と怒りを募らせている。
そこへ武祯が現れ、自ら身分を明かしたことで、ようやく場は落ち着く。
梅逐雨は、そんな彼女を少し意外そうに見つめていた。
そして一行が山へ入ろうとした時だった。
周囲に、不自然な霧が広がり始める。
武祯はすぐに、それが普通の霧ではないと気づく。
そこには、はっきりと妖気が混じっていた――。
『子夜帰』第5話 の感想
第5話は、一気に物語のスケールが広がってきた回でした。
これまで謎だった无化骨(むかこつ)が、「詭婴(きえい)」の骸骨だったと分かったことで、一気に不穏な空気が強まります。十八年前の出来事ともつながってきそうで、本筋が動き出した感じがします。
西郊の異変も印象的でした。山婆娑(さんばさ)の霧の演出は不気味で、これまでとは違う怖さがあります。じわじわと人を追い詰めるタイプの妖で、見ていてぞくっとしました。
そして今回は、武祯(ぶてい)と梅逐雨(ばい・ちくう)の距離がかなり近づいた回でもありました。猫の姿で抱き上げられたり、足をくじいた武祯を迷わず背負ったりと、自然なやり取りがとても良かったです。シュー・カイの落ち着いた雰囲気もあって、見ていて安心感があります。

実はXu Kai、プライベートでもかなりの猫好きで、自身のWeiboでも猫との写真投稿しているんですよね。実際に飼っている猫の写真も公開されていて、ファンの間では有名です。
梅逐雨が1人、山婆娑胎児を申し出る姿を見て、武祯が、うれしそうにしていた場面も印象的でした。あの少し自慢げな表情から、「やっぱりこの人はこういう人よね」と思っているような気持ちが伝わってきます。梅逐雨への信頼の強さがよく分かるシーンでした。
また、聞化(ぶんか)とのやり取りもおもしろかったです。→詳しいセリフ
聞化はすっかり「求婚するつもりだ」と早とちりしていますが、梅逐雨本人はそこまで明言しているわけではないんですよね。それでも否定せず、道を整えたり家を整備しようとするあたり、まったく意識していないわけではなさそうで、その距離感が絶妙でした。
武祯のことを思い出しながら、道や馬車のことを気にしている様子を見ると、やはりかなり気にかけているのは間違いなさそうです。このあたり、言葉にしない分だけ余計に気持ちが伝わってきて良かったです。
そしてもう一つ気になったのが、妖市の動きです。灰長老や无字书のやり取りを見ると、妖市の中も一枚岩ではなさそうで、不穏な空気が流れています。内部に派閥のようなものがありそうで、裏で何か動いているのでは…と感じさせる回でした。
恋愛、事件、そして妖市の内部――それぞれが少しずつ動き出していて、ここから一気に面白くなりそうです。
『子夜帰』用語解説
无化骨(むかこつ)
強い煞気(さっき)を持つ骨です。第5話では封印されますが、実際は武祯によってすり替えられていました。さらにその正体が「邪煞詭婴(きえい)」の骸骨であることが判明します。
邪煞詭婴(きえい)
十八年前に長安で大きな災いをもたらした存在です。妖市を危機に陥れた強大な邪煞で、前任の猫公が命と引き換えに討伐しました。第5話では、その残された骨が再び現れたことで、復活の可能性が示唆されます。
山婆娑(さんばさ)
人に幻を見せて惑わし、精気を吸い取る妖です。霧を操り、亡くなった家族の姿などを見せて油断させる特徴があります。西郊で起きている失踪事件の原因となっている存在です。
雷撃木(らいげきぼく)
雷に打たれた木です。无化骨の煞気を消すための手段として語られます。第5話では、西郊に存在することが明らかになります。
玄鉴司(げんかんし)
妖怪や怪異事件を調査する役所です。梅逐雨が所属しています。第5話では、十八年前の天火に関する記録が存在しないことが問題になります。
天火(てんか)
十八年前に起きた大きな災害です。詳細な記録は宮中に回収されており、玄鉴司でも簡単には確認できません。
瘴気(しょうき)
山中に立ち込める有毒な気です。第5話では山婆娑の術によって発生した霧と重なり、不気味な空間を作り出しています。
『子夜帰』6第話 あらすじはこちら

