第20話では、乱葬崗(らんそうこう)から戻った魏無羨(ウェイ・ウーシェン)が、ついに温晁(ウェン・チャオ)たちへの復讐を開始します。怨念を操る“鬼道”を使い始めた魏無羨の変化と、以前とはまるで違う不気味な戦い方が大きな見どころです。
さらに、藍忘機(ラン・ワンジー)が魏無羨の異変に気づき、二人の間に大きなすれ違いが生まれ始める重要回にもなっています。
それでは、『陳情令』第20話「邪を呼ぶ笛の音」のあらすじ(ネタバレあり)を紹介していきます。
※誤訳があったらごめんなさい。画像出典:公式SNS
『陳情令』第20話 主な登場人物・キャスト
魏無羨(ウェイ・ウーシェン)/肖戦(シャオ・ジャン)
雲夢江氏の弟子。乱葬崗から三ヶ月ぶりに帰還する。金丹を失ったことで鬼道を使うようになり、黒い笛で怨霊を操りながら温晁たちへ復讐を開始する。藍忘機から邪道へ進んだことを問い詰められるが、本当の理由を明かすことはできない。
藍忘機(ラン・ワンジー)/王一博(ワン・イーボー)
姑蘇藍氏の二公子。“含光君”の号を持つ。江澄と共に温晁を追跡する中で、魏無羨が怨念を操る危険な術を使っていることに気づく。魏無羨を止めようとするが、二人の想いはすれ違ってしまう。
江澄(ジャン・チョン)/汪卓成(ワン・ジュオチョン)
雲夢江氏の宗主。両親を殺され、蓮花塢を滅ぼされた復讐のため温晁を追っている。第20話では温逐流を自らの手で討ち取り、ついに仇討ちを果たした。魏無羨との再会に安堵する一方、彼の変化にも戸惑いを感じ始める。
温晁(ウェン・チャオ)/賀鵬(ホー・ポン)
岐山温氏の公子。射日の征戦によって追い詰められ、夷陵から逃亡を続けている。魏無羨の復讐に怯え、精神的にも限界へ追い込まれていく。
温逐流(ウェン・ジューリウ)/馮茗驚(フォン・ミンジン)
温氏に仕える修士。“化丹手”の異名を持ち、他人の金丹を潰す恐ろしい術を使う。最後まで温晁を守ろうとするが、江澄との戦いの末に命を落とす。
王霊嬌(ワン・リンジャオ)/盧蒽潔(ルー・エンジエ)
温晁の側近。かつて蓮花塢を侮辱し、多くの悲劇を引き起こした人物。魏無羨が操る怨念に追い詰められ、自ら命を絶つことになる。
温情(ウェン・チン)/孟子義(モン・ズーイー)
岐山温氏の医師。温寧の姉。地下牢へ閉じ込められていたが、江澄たちに救出される。温氏から離れるよう勧められるものの、一族と弟を見捨てられず、その申し出を断った。
温寧(ウェン・ニン)/于斌(ユー・ビン)
温情の弟。魏無羨たちを助けたことで温氏から罰を受け、現在も捕らえられている。温情は弟の身を案じ続けている。
江厭離(ジャン・イエンリー)/宣璐(シュエン・ルー)
江澄の姉で、魏無羨にとっても大切な“師姐”。清河で負傷兵の看病を続けており、三ヶ月ぶりに戻って来た魏無羨と再会する。
『陳情令』第20話あらすじ(ネタバレあり)

夷陵(いりょう)の監察寮では、王霊嬌(ワン・リンジャオ)が怯え切った様子で財宝箱を開けていた。
温氏が各地で敗北を重ねる中、王霊嬌は毎晩のように悪夢にうなされていた。魏無羨(ウェイ・ウーシェン)が悪鬼となって戻って来る――。その恐怖に耐えきれず、温晁(ウェン・チャオ)を見捨て、自分だけでも逃げ出そうとしていたのだ。
しかし箱を開けた瞬間、そこには血まみれの目玉が入っていた。
王霊嬌は絶叫し、慌てて護符を胸に貼りつける。
恐る恐る箱をひっくり返してみると、中から出てきたのは金銀財宝ばかりだった。
「見間違い…?」
そう呟きながら散らばった宝石を拾い集めていた王霊嬌は、ふと床に残る“何か”に気づく。
振り向いた先には、えぐり取られた目玉がこちらを見つめていた。
夷陵の監察寮に、王霊嬌の悲鳴が響き渡る。
その頃、別室では温晁が酒を飲んでいた。
連日の敗戦に加え、王霊嬌の騒ぎまで続き、温晁は苛立ちを隠せない。
「黙らせろ!」
怒鳴った直後、不気味な陰風が吹き込み、閉じられていた扉がゆっくり開いた。
そこへ、七孔から血を流した王霊嬌が現れる。
どこからともなく、低く哀しげな笛の音が響いていた。
「助けて…」
温晁は恐怖のあまり剣を抜き、王霊嬌を刺し貫く。
しかし王霊嬌は倒れない。
身体を引きずりながら、なおも温晁へ這い寄ってくる。
温晁は腰を抜かし、完全に取り乱した。
実際には、その頃の王霊嬌本人は別室で怨念に囚われ、自ら錯乱していた。
「殺すべきじゃなかった…!許して…!」
これまで自分がしてきた残虐な行為を思い出しながら、王霊嬌は割れた器の破片で自分の顔を傷つけ始める。
するとどこからともなく白い布が現れ、梁(はり)へ絡みついた。
まるで笛の音に導かれるように、王霊嬌は自ら首を吊り、その命を絶つ。
そのすべてを操っていたのは、屋根の上に立つ魏無羨だった。
黒衣をまとい、黒い笛を吹く魏無羨の周囲には、濃い怨気が渦巻いている。
乱葬崗(らんそうこう)へ落とされる以前の魏無羨とは、まるで別人だった。
乱葬崗で怨念と向き合い、生き延びるために“鬼道”を身につけた魏無羨は、怨霊を操る術を手に入れていたのだ。
温晁はこれが魏無羨の復讐だと気づき、恐怖のあまり命乞いを始める。
しかしそこへ温逐流(ウェン・ジューリウ)が現れ、温晁を連れてその場から逃亡した。
その後、藍忘機(ラン・ワンジー)と江澄(ジャン・チョン)が監察寮へ攻め込む。
しかし温氏の人間たちは、すでに全滅していた。
しかも死因は首吊り、焼死、水死、毒殺と様々で、どの死体にも異様な怨念の気配が残っている。
江澄は奥の部屋で首を吊った王霊嬌を見つけると、母・虞紫鳶(ユー・ズーユエン)の形見である紫電(ズーディエン)で亡骸を打ち据えた。
蓮花塢(れんかう)を滅ぼされ、両親を殺された怒りは、今も江澄の中で燃え続けている。
一方、藍忘機は監察寮に貼られた護符へ目を向けていた。
本来は邪気を祓う護符。しかし何者かが血で数筆を書き足したことで、逆に“邪を招く護符”へ変えられていた。
しかも監察寮中すべての護符が、同じ人物によって書き換えられている。
藍忘機は、その術者が強い怨念を操っていると察していた。
そして、その力が普通の術ではないことにも気づき始める。
地下牢では、生き残っていた温情(ウェン・チン)が見つかる。
温情は解放されると、真っ先に魏無羨の安否を尋ねた。
しかし江澄も、魏無羨の行方を知らない。
江澄は、すでに四大世家が連合し、“射日の征戦(しゃじつのせいせん)”として温氏討伐を始めていることを告げる。
そして温情へ、「温氏を離れるなら守る」と申し出た。
だが温情は首を横に振る。
弟の温寧(ウェン・ニン)はまだ捕らわれており、一族もいる。自分だけ逃げるわけにはいかなかった。
江澄は何も言えなくなり、代わりに一つの櫛を差し出す。
それは以前、温情へ渡そうとして渡せなかったものだった。
「困った時は俺を頼れ。あと一度だけ、力を貸す」
江澄はそう言い残し、先に立ち去っていく。
その後、藍忘機と江澄は温晁たちの行方を追った。
しかし道中では、またしても温氏の人間たちが不可解な死を遂げていた。
誰かが二人より先回りし、温氏残党を次々と始末しているのだ。
藍忘機は強い邪気を感じ取り、警戒を強める。
しかし江澄は、「温氏を倒すなら敵ではない」と言い切った。
やがて二人は、雲夢(うんむ)の宿駅に隠れる温晁と温逐流を発見する。
屋根から様子を覗いた二人は、変わり果てた温晁の姿に驚いた。
顔中には無数の傷が広がり、髪もほとんど抜け落ちている。
少しの物音にも怯え切り、かつての尊大な姿は完全に消えていた。
それでも温逐流へ八つ当たりを続ける様子には、まだ傲慢さが残っている。
その時、階段を上がる足音が響いた。
温晁は「また奴だ…!」と震え上がり、部屋の隅へ逃げ込む。
そして現れたのは、三ヶ月間消息不明だった魏無羨だった。
温逐流はすぐに温晁を庇い、魏無羨の前へ立ちはだかる。
「温家への恩を返さねばならない」
そう語る温逐流に、魏無羨は冷たく笑った。
「お前の恩返しのために、どれだけの人間が死んだ?」
そして魏無羨は黒い笛を吹き始める。
藍忘機は笛から放たれる異様な黒い気配を察知し、すぐに結界を張った。
次の瞬間、部屋の灯りが消え、赤い衣をまとった女鬼が現れる。
温晁は恐怖で失神した。
温逐流は応戦するが、女鬼の鋭い爪に圧倒され、まったく太刀打ちできない。
女鬼が消えた瞬間、温逐流は笛こそ術の源だと気づき、魏無羨へ襲いかかる。
その瞬間、藍忘機が屋根を破って飛び降りた。
同時に江澄も飛び込み、紫電で温逐流の首を締め上げる。
梁へ吊り上げられた温逐流は、激しくもがきながら絶命した。
ついに江澄は、自らの手で仇を討ったのだった。
その後、江澄は魏無羨を強く抱きしめる。
「この三ヶ月、本当に怖かった…」
乱葬崗へ落とされたと聞き、江澄はずっと魏無羨の死を恐れていた。
しかし魏無羨は軽く笑い、「乱葬崗へ落ちて生きている奴がいるか?」と冗談めかしてごまかす。
江澄は、監察寮の護符を書き換えたのも魏無羨なのかと尋ねた。
魏無羨は「洞窟で達人の秘術書を拾った」と笑ってはぐらかす。
もちろん本当のことは言えない。
すでに魏無羨は金丹(きんたん)を失っており、普通の剣道では戦えなくなっていた。
だからこそ乱葬崗で怨念を利用する“鬼道”へ進むしかなかったのだ。
しかし藍忘機だけは、その異変を見逃していなかった。
「なぜ剣を使わない?」
藍忘機は真っ直ぐ魏無羨を見つめる。
「なぜ邪道へ進む?」
しかし魏無羨は答えられない。
金丹を江澄へ譲った事実を、誰にも知られるわけにはいかなかった。
藍忘機は「邪道には必ず代償がある」と止めようとする。
古来より怨念を利用する術は、術者自身の心身を蝕む禁忌とされていたからだ。
だが魏無羨は反発する。
「護符を使い、笛を吹けば邪道なのか?」
「俺の心は俺自身が決める」
藍忘機は魏無羨を救いたい。
しかし魏無羨は、自分の事情を何一つ話せない。
二人の想いは噛み合わず、再会したばかりなのに激しく衝突してしまう。
江澄もまた、二人の空気に戸惑いを隠せなかった。
その時、気絶していた温晁が目を覚ました。
温晁は這いつくばりながら命乞いを始める。
しかし魏無羨は容赦なく温晁を蹴り飛ばした。
「これは雲夢江氏の家事だ」
魏無羨は藍忘機へそう告げる。
藍忘機は何も言えないまま、一人その場を去っていった。
背後では、温晁の断末魔が響き渡る。
その声を聞きながら藍忘機の脳裏には、魏無羨の言葉が何度もよみがえっていた。
「俺の心は俺自身が決める――」
その後、魏無羨と江澄は蓮花塢へ戻った。
二人は江楓眠(ジャン・フォンミエン)と虞紫鳶の位牌の前に跪き、仇を討ったことを報告する。
魏無羨は小さな声で呟いた。
「約束通り、江澄と師姐(しじぇ)を守りました」
それは江楓眠との約束であり、魏無羨がずっと背負い続けてきた想いだった。
そして二人は、“射日の征戦”へ参加するため清河(せいが)へ向かう。
戦場には多くの負傷者が運び込まれ、戦の激しさを物語っていた。
その中で懸命に傷の手当てをしている江厭離(ジャン・イエンリー)の姿を見つけた魏無羨は、思わず立ち止まる。
「師姐…」
江厭離が振り向いた瞬間、魏無羨の目から涙がこぼれ落ちた。
三ヶ月ぶりの再会だった。
『陳情令』第20話 の感想
第20話は、ついに“夷陵老祖”へ繋がる魏無羨の変化が本格的に描かれた回でした。
乱葬崗から戻った魏無羨は、見た目こそ以前と大きく変わっていないのに、空気感がまるで別人でしたね…。あの黒い笛の音と怨気に包まれた登場シーンは、本当に鳥肌が立ちました。
特に印象的だったのは、王霊嬌と温晁への復讐です。
これまで散々他人を踏みにじってきた二人が、今度は“恐怖”そのものに追い詰められていく流れがかなり不気味でした。単純に剣で倒すのではなく、怨念を使って精神的に壊していくところに、魏無羨が乱葬崗で得た力の異質さがよく表れていたと思います。
そしてやっぱり切なかったのが、藍忘機との再会でした。
藍忘機は魏無羨が危険な道へ進んでいることに、誰よりも早く気づいているんですよね。
だから止めたい。
でも魏無羨は、本当の理由を絶対に言えない。
金丹を失ったこと。
江澄へ金丹を譲ったこと。
普通の修士としては、もう戦えないこと。
全部を抱え込んだまま、「俺の心は俺が決める」と言う魏無羨があまりにも苦しかったです。
しかも藍忘機の言葉も間違っていないんですよね…。
怨念を扱う鬼道が危険だということも、藍忘機は本気で心配している。
だからこそ、二人とも相手を思っているのに噛み合わない空気が本当に切なかったです。
あと個人的には、江澄が温情へ櫛を渡すシーンもかなり好きでした。
あの不器用な感じが、すごく江澄らしいんですよね。
言葉にできないけど、ちゃんと気にかけている。
でも温情もまた、一族や温寧を見捨てられない。
この頃の陳情令って、それぞれが“大切なものを守るために苦しい選択をしている”感じが本当に辛いです…。
最後、江厭離と再会した魏無羨が涙を流す場面も印象的でした。
乱葬崗でどれだけ地獄を見ても、魏無羨にとって“師姐”だけは変わらない安心できる存在なんだなと感じます😢
第20話は、復讐の爽快感だけではなく、
魏無羨がもう後戻りできない道へ進み始めたこと、
そして藍忘機との関係が大きく変わり始めたことが伝わってくる、とても重要な回だったと思います。
『陳情令』第20話 用語解説
乱葬崗(らんそうこう)
夷陵に存在する、強い怨念が渦巻く禁断の地。かつて古戦場だった場所で、無数の死体と怨霊が眠っている。生きて入れば二度と戻れないと言われていたが、魏無羨はここで生き延び、“鬼道”の力を得ることになる。
鬼道(きどう)
怨念や死者の力を利用して戦う禁忌の術法。通常の剣術や霊力とは異なり、強大な力を得られる一方で、術者自身の心身を蝕む危険があるとされている。
黒い笛
乱葬崗から戻った魏無羨が使い始めた笛。笛の音によって怨霊や邪気を操ることができる。第20話では、この笛によって王霊嬌や温晁を恐怖へ追い込んだ。
紫電(しでん)
虞紫鳶が使っていた霊器。鞭のように自在に変化し、強力な霊力を持つ。現在は江澄が受け継いでいる。
射日の征戦(しゃじつのせいせん)
岐山温氏に支配された各世家が連合し、温氏討伐のために始めた戦い。清河聶氏、姑蘇藍氏、雲夢江氏、蘭陵金氏などが協力し、本格的な反撃へ動き出している。
護符(ごふ)
本来は邪気や怨霊を祓うための符術。しかし第20話では、何者かによって血で書き換えられ、逆に邪を招く術式へ変えられていた。藍忘機はこの異変から、普通ではない力の存在に気づき始める。
金丹(きんたん)
修仙者の体内に存在する霊力の源。剣術や術法を使うために必要不可欠な存在であり、失えば普通の修士として戦うことはできなくなる。魏無羨はすでに自分の金丹を江澄へ譲っているが、その事実はまだ誰にも知られていない。
夷陵老祖(いりょうろうそ)
後に魏無羨が恐れられるようになる異名。怨念を操り、鬼道を極めた存在として仙門百家から恐怖されることになる。第20話は、その始まりとも言える重要な回となっている。
『陳情令』第21話 あらすじ・ネタバレはこちら
