妖市で真実が明かされ、長明(ちょうめい)も命を落とした第29話。
しかし、第30話で描かれるのは“事件の後”ではなく、その真実を知ってしまったからこそ生まれる苦しみでした。
梅逐雨(ばい・ちくう)と武祯(ぶてい)は、互いを想い合っているのに、もう以前のようには戻れない。
さらに武祯の中に封じられていたもの、そして猫公として背負う宿命まで明らかになります。
一方で、霜降(そうこう)と斛珠(こくじゅ)の静かな別れや、まさかの梅四(ばいし)と柳太真(りゅうたいしん)の魂入れ替わり騒動も描かれ、切なさとコミカルさが入り混じる回となりました。
そしてラストでは、梅逐雨が用意した誕生日の料理を前に、武祯がついにある決断を下します。
それでは、『子夜帰』第30話のあらすじ・ネタバレを紹介していきます。
※誤訳があったらごめんなさい。画像出典:公式SNS
『子夜帰 30』主な登場人物
武祯(ぶてい)
演:Tian Xiwei(ティエン・シーウェイ)
梅逐雨の妻であり、半妖の身を持つ猫公。第30話では、自分が“猫公”として、诡婴(きえい)の元丹を体内に封じ続けなければならない宿命を知る。さらに、その元丹が梅逐雨の両親の仇であることから、彼と共に生きることはできないと決断。最後は梅逐雨へ和離(わり)を告げ、別れを選ぶ。
梅逐雨(ばい・ちくう)
演:Xu Kai(シュー・カイ)
玄鑑司に所属する術師。かつて常曦宮(じょうぎきゅう)の天師だったが、武祯と共に生きるため常曦宮を離れている。第30話では、師兄たちを見送り、常曦锏(じょうぎけん)を託そうとするが断られる。武祯との関係を修復したいと願うものの、妖市の結界を破ったことが決定的な溝となり、最後は和離を突きつけられる。
无字书(むじしょ)
武祯の長年の友人であり、妖市側の重要人物。第30話では、梅逐雨の正体を知りながら黙っていた理由を語る。しかし武祯は、そんな无字书に対しても「本当に信じてよかったのか」と迷いを抱き始める。武祯への執着や、本心の読めなさも相変わらず不穏。
梅四(ばいし)
演:イー・ダーチェン
梅逐雨の兄。柳太真への想いが強すぎるあまり、また騒動を起こしてしまう。第30話では、豫国公から贈られた木偶を触ったことで、柳太真と魂が入れ替わるという大事件に巻き込まれる。女の身体になって大混乱する姿がコミカルに描かれた。
柳太真(りゅうたいしん)
妖市側の重要人物。第30話では武祯の治療を行い、猫公の宿命について説明する。また、梅四と魂が入れ替わる騒動にも巻き込まれるが、梅四とは対照的にかなり冷静。以前から梅四に想われているが、二人の距離も少しずつ変化している。
霜降(そうこう)
元・常曦宮の弟子。第30話では師兄たちと共に長安を離れる。見送りに来た斛珠へ胡餅(こへい)を渡し、不器用ながら優しさを見せる。互いに想い合っているものの、人と妖という立場の違いから、その関係は進まないまま別れを迎える。
斛珠(こくじゅ)
狐妖であり、如意楼の女主人。第30話では妖市を代表して霜降たちを見送る。「元丹が自分の中にある限り、邪祟を世に出させない」と宣言し、妖市側の覚悟を示した。霜降との別れの場面は、静かで切ない名場面となった。
潇暮(しょうぼ)
常曦宮の二師兄。冷静で誠実な人物。第30話では、梅逐雨から常曦锏を託されそうになるが、「師父がお前に渡したものだ」と返す。長明亡き後、常曦宮を支える存在として描かれた。
玄虺(げんき)
蛇公(だこう)でもある妖。妖市側の事情に詳しく、梅四へ妖市で起きた騒動を伝える。猫公や蛇公が負傷したことも知らせ、妖市側も大きな代償を払っていたことがわかる。
『子夜帰』第30話 あらすじ ネタバレ

第30話は、妖市での戦いのあと、それぞれが傷を抱えながら別々の道へ進み始める回となった。
そしてついに、梅逐雨(ばい・ちくう)と武祯(ぶてい)の関係にも決定的な別れが訪れる。
妖市での騒動を終えたあと、武祯は妖市の薬池で目を覚ます。ぼんやりと視線を上げると、そこには静かに立つ无字书(むじしょ)の姿があった。武祯は長い沈黙のあと、ずっと胸に引っかかっていた疑問を口にする。
「梅逐雨が常曦宮(じょうぎきゅう)の人間だと、最初から知っていたの?」
无字书は否定しない。
その態度だけで、武祯には答えが伝わってしまう。
无字书は、かつて武祯自身が「善でも悪でも、自分で経験して確かめたい」と言っていたことを理由に、あえて何も言わなかったのだと話す。
さらに无字书は、自分もここまで事態が大きくなるとは思っていなかったこと、そして武祯の体内に诡婴(きえい)の元丹があるとは予想していなかったことを明かす。
だが武祯は、その話を聞きながら、目の前にいる无字书が急に知らない存在のように感じ始める。数十年も共に過ごしてきた相手なのに、本当の姿を何も知らなかったのではないか――そんな戸惑いが浮かんでいた。
一方その頃、梅四(ばいし)は一晩中眠れずにいた。
玄虺(げんき)が戻ってきたことで、妖市で大変な騒ぎが起きていたこと、猫公や蛇公まで傷を負っていたことを知る。
さらに、その原因の中心に梅逐雨がいたと聞かされ、梅四はかなり複雑な表情になる。信頼していた相手が妖市へ踏み込んだことに、驚きと戸惑いを隠せなかった。
その頃、梅家では聞化(ぶんか)と明妆(めいしょう)が食卓を見つめていた。
武祯が梅逐雨の誕生日のために準備していた料理は、まったく手をつけられていない。
二人は、夫婦が昨夜戻らなかったことに不安を感じていた。
そこへ梅逐雨が一人で帰って来る。
しかし武祯の姿はない。
誕生日のために用意されていた料理を見た梅逐雨は、武祯の気持ちを思い出し、強い後悔と罪悪感を抱える。
そんな中、梅四が慌ててやって来る。
梅逐雨に対し、「どうして妖市へ天師を連れて行ったのか」と不満をぶつけながらも、柳太真(りゅうたいしん)のことが心配で仕方ない。
「もう一度妖市へ行って、柳太真に会わせてくれ」
そう何度も頼み込むが、梅逐雨は拒否する。
今の状況ではどうにもできないと、はっきり告げるしかなかった。
一方、妖市では柳太真(りゅうたいしん)が武祯(ぶてい)の治療をしていた。
その中で武祯は、猫公という存在が、ただ力を持つだけではないことを知る。
猫公は、自らの身を器として、诡婴(きえい)の元丹を封じ続けなければならない存在だった。
その話を聞いた武祯は、十八年前のことを思い出す。
本来なら死ぬはずだった自分は、かつての猫公によって命を与えられた。だがその時、「タダではない。必ず代償がある」と言われていたのだ。
つまり武祯は、今後も自分の中にある元丹と共に生き続けなければならない。
武祯はようやく、自分が背負っている宿命の重さを理解するのだった。
夜になると无字书が武祯を迎えに来ようとするが、柳太真が止めに入る。
「男女有別だから」と避けさせる形だったが、その裏には武祯を守ろうとする気持ちも感じられた。
翌朝、梅逐雨のもとに紙鶴が飛んでくる。
常曦宮の師兄たちが長安を離れるという知らせだった。
梅逐雨は急いで見送りへ向かう。
そこで彼は、自分の持つ常曦锏(じょうぎけん)を二師兄・潇暮(しょうぼ)へ渡そうとする。
しかし潇暮は受け取らない。
「これは師父がお前に託したものだ」
さらに潇暮は、「天師の役目は武器に縛られるものではない」と語り、梅逐雨にその武器を持ち続けるよう勧める。
長安にはまだ多くの妖や危険が潜んでいる。
玄鑑司にいる限り、梅逐雨は再び戦いに巻き込まれるはずだ、と。
梅逐雨は最終的に常曦锏を受け取る。
その時、近くに武祯の気配を感じるが、振り返った時にはもう姿は消えていた。
一方、霜降(そうこう)は師兄たちと共に長安を離れようとしていた。
その道中、斛珠(こくじゅ)が待っていた。 彼女は妖市を代表し、朝早くから見送りに来ていたのだった。 斛珠は、「元丹が自分の中にある限り、邪祟を再び世に出させない」と4人に誓う。
別れ際、霜降は「朝早くから待っていただろうし、お腹が空いただろう」と言って、自分が持っていた胡餅(こへい)を斛珠へ渡す。
二人は互いに想いを抱いている。だが、その気持ちを口にすることはなかった。
人と妖――。
その隔たりは、簡単には越えられない。
斛珠は、去っていく霜降の背中を、どこか寂しそうに、それでも優しく微笑みながら見送り続けるのだった。
その頃、梅逐雨の家
梅四はまだ柳太真を諦めきれず、梅逐雨にしつこく頼み込んでいた。
そんな中、梅四は豫国公(よこくこう)から梅逐雨へ、誕生日に贈られた木偶人形を見つける。
それは男女一対になった不思議な木偶だった。
梅四が「この人形は、梅逐雨と武祯に似ていない。むしろ柳太真と自分のようだ。柳太真が恋しい・・・」と口にした瞬間、人形の目が黄金に光り、突然身体も光で包まれ異変が起こる。
なんと梅四と柳太真の魂が入れ替わってしまったのだ。
妖市では、突然自分が女性の身体になっていることに気づいた梅四が大混乱。
一方、柳太真も梅四の身体に入ってしまい、呆然とする。
武祯は木偶に原因があると考える。
梅四は半泣きになりながら、すぐ元に戻してほしいと騒ぎ出し、武祯を連れて急いで梅府へ向かう。
だがその道中、妖たちが次々と現れ、梅四はすっかり怯えきってしまう。
中身は梅四なので、柳太真の身体で悲鳴を上げる姿がかなり騒がしかった。
ようやく梅府へ戻ると、今度は柳太真の魂が入った梅四が、必死に元へ戻る方法を探し始める。

そんな騒動の一方で、梅逐雨は静かに庭で武祯を待っていた。
柳太真とともに武祯が来ることを、彼は最初からわかっていた。
卓上には料理と桂花糕(けいかこう)、そして温めた杏子酒が並べられている。
本来なら二人で誕生日を祝うはずだったものだった。
梅逐雨は武祯が現れると、彼女が話したいことをわかっていたように、先に謝罪する。
結婚式の前に、常曦宮(じょうぎきゅう)は辞めたことも話した。

だが武祯の表情は冷たい。
「あなたが結界を開いた時点で、もう答えは出ていた」
そう静かに告げる。
たとえ戦いが終わっても、人と妖では立つ場所が違う。
これまで刃を向け合った事実も消えない。
それに貴方の両親の仇は、私の中にいる。
夜も昼もずっと私の中にいる、そんな私と一生共に過ごすことはできない。
武祯は、「もう元には戻れない」と言い、その場で和離(離縁)を切り出す。
梅逐雨は必死に引き止めようとし、感情のまま武祯に口づけする。
だが武祯は彼を突き放す。
そして最後に、「あなたには、もっとふさわしい人がいる」と言い残し、背を向ける。
梅逐雨は追いかけることができない。
夜の庭には、手つかずの料理と酒だけが残される。
つづく
『子夜帰』第30話 の感想
第30話は、とにかく切ない回でしたね。
29話で真実が明らかになったことで、ようやく誤解が解けていくのかと思っていたのに、今度は「立場」と「宿命」が二人を引き離していく。
梅逐雨(ばい・ちくう)も武祯(ぶてい)も、お互いを嫌いになったわけではない。むしろ、まだ強く想い合っているからこそ苦しかったです。
一番大きかったのは、やはり武祯の中に、梅逐雨の両親の仇である诡婴(きえい)の元丹があることですね。
これは重すぎます。
武祯からすれば、自分の体の中にそんなものがある以上、梅逐雨のそばにいられないと思ってしまうのも無理はない。
妖胆、取り除くことはできないんですかね…。
それに、梅逐雨が妖市の結界を破って中に入ったことも、武祯には許せなかったようです。
梅逐雨には梅逐雨の事情があったとはいえ、武祯から見れば「自分ではなく、常曦宮側を選んだ」と感じたのでしょうね。
梅逐雨はすでに常曦宮を離れていましたし、そのために死ぬほどの試練まで受けていた。
でも、武祯はその過去を知らない。
だから梅逐雨が「もう常曦宮の人間ではない」と伝えても、武祯には届かなかったんですよね。
むしろ妖市の結界を破ってまで入った行動の方が、強く残ってしまったのかも。
ここで本当の決別になってしまいましたね。

ラストの庭の場面もつらかったです。
梅逐雨が、武祯用意した料理も酒も片づけてなかったのが切ない…。
あれは本当は、誕生日をやり直したかったんでしょうね。
でも武祯は、もう気持ちだけでは一緒にいられないところまで来てしまっている。
「あなたが妖市の結界を開いた時点で答えは出ていた」
この言葉、かなり重かったです。
梅逐雨は最後まで武祯を失いたくなかった。
思わずキスして引き止めようとしたところに、彼の感情が全部出ていましたね。
でも、武祯の決意はもう揺らがなかった。
愛しているのに別れるしかない。
今の二人は、まさにそんな状態でした。
そして気になるのが无字书(むじしょ)。
彼は本当に、武祯の体内に诡婴の元丹があることを知らなかったのでしょうか。
知らなかったようにも見えるけど、これまでの動きを考えると、どこまで本当なのか少し疑ってしまいます。
本来なら、妖と人間が協力できれば良い世の中になるはずなんですよね。
昭明鏡で真実も見えたし、常曦宮側にも分かり合える人たちはいた。
それなのに、過去の恨みや立場が邪魔をして、なかなか手を取り合えないのがもどかしいです。
一方で、霜降(そうこう)と斛珠(こくじゅ)の別れも良かったですね。
胡餅(こへい)を渡す場面、すごく霜降らしかったです。
「朝から待っていただろうし、お腹空いただろう」と自然に気遣うところが優しい。
でも二人とも、最後まで「好き」とは言わない。
人と妖という壁を、ちゃんと理解しているからこそ踏み込まないんですよね。
静かな別れでしたが、かなり好きな場面でした。
そして30話で少し救いだったのが、梅四(ばいし)と柳太真(りゅうたいしん)の魂入れ替わり騒動。
梅四、またまたやらかしましたね。
まさか二人が入れ替わるなんて、本当に意表を突かれました。
柳太真の姿になった梅四が大騒ぎしているのに対し、柳太真本人はかなり冷静なのも面白かったです。
ずっと重い展開が続いていたので、ここだけ少し空気が和らぎましたね。
ただ、この木偶の件も、ただのギャグでは終わらなそうで気になります。

それにしても涙ぐむシュー・カイ、本当に表情の演技が良かった…。
庭で武祯を待っている時の、「来てほしいけど、何を言われるか怖い」という顔。
そして、和離を突きつけられた後の表情。和離書にこぼれる涙・・・
大きく泣き叫ぶわけではないのに、感情が全部伝わってくるんですよね。
ティエン・シーウェイの、泣きそうなのに最後まで気丈に振る舞う演技も良かったです。
30話は派手な戦いよりも、「好きなのに一緒にいられない」という苦しさが中心の回でした。
見ていてかなりしんどい回でしたが、その分、二人の感情がすごく丁寧に描かれていたと思います。
『子夜帰 30』用語解説
妖市(ようし)
妖たちが暮らす異界の街。人間界とは隔離されており、多くの妖たちはここで静かに生活している。第30話では、武祯が療養のため妖市に留まることになる。
猫公(びょうこう)
妖市を守る役目を持つ存在。代々、诡婴(きえい)の元丹を封じる宿命を背負っている。第30話では、武祯が「自分自身を器として元丹を封じ続けなければならない」と知り、その責任の重さを理解する。
元丹(げんたん)
強大な妖力を宿した核のような存在。第30話では、武祯の体内にある元丹を猫公として封じ続けなければならないことが明かされる。これが、武祯が妖市へ戻らざるを得ない理由にもなっている。
诡婴(きえい)
十八年前に大きな災いをもたらした恐ろしい存在。梅逐雨の両親を死に追いやった元凶でもある。完全には消滅しておらず、その元丹は現在武祯の体内に封じられている。
常曦宮(じょうぎきゅう)
妖を討つ術師たちの組織。梅逐雨や霜降たちが所属していた場所。第30話では、長安を離れ、師兄たちが常曦宮へ帰っていく。
常曦锏(じょうぎけん)
梅逐雨が師匠から譲り受けた武器で、強い法力を持つ。普段は玉(ぎょく)として腰につるしているが、術により法剣に変わる。梅逐雨が脱門した際に長明に渡したが、長明は法剣に変えることができなかった。第29話では武祯を守るために使われ、長明と対峙する場面で大きな意味を持つ。梅逐雨が覚悟を決めた象徴とも言える存在。
玄鑑司(げんかんし)
長安の怪異や妖に関わる事件を扱う役所。梅逐雨が所属している。人間界と妖の問題が交差する場所でもある。
和離(わり)
夫婦が双方合意の上で別れること。現代でいう「協議離婚」に近い形。第30話では、武祯が梅逐雨へ正式に和離を申し出る。
胡餅(こへい)
中国古代の焼き餅のような食べ物。霜降が斛珠へ渡したもので、二人の関係を象徴する小道具として描かれた。
木偶(でく)
魂や術と関わる不思議な人形。第30話では、豫国公から贈られた一対の木偶が原因となり、梅四と柳太真の魂が入れ替わってしまう。
玄虺(げんき)
蛇公(だこう)でもある妖。梅四のそばで行動している存在で、妖市側の事情にも詳しい。第30話では、妖市で起きた騒動を梅四へ伝える。
『子夜帰』第31話 あらすじはこちら

