プロのシャインマスカット農家三軒のアドバイスをもとに、我が家のシャインマスカットに発生した「ぶどうのハダニ」の対策・駆除方法を解説。
「ぶどうハモグリダニ・ぶどうサビダニ」の特徴・農薬・希釈方法についても写真でわかりやすく解説しています。
同じく、ぶどうの葉が枯れる「黒とう病」については別記事で詳しく解説しています。
ぶどうの病気6.葉が枯れる・ぶつぶつするのは「ハダニ」の仕業だった!!
ぶどうの葉のぶつぶつを発見!!
7月末、5年目の我が家のシャインマスカット。
黒とう病対策、べと病対策の消毒もしっかり行い、シャインマスカット農家の叔父叔母にも、
「良い房になりそうだね~」
とお褒めの言葉もいただきました。
今年こそはプロ並みの良い房が収穫できると期待も膨らみます。
ところが7月中旬、 ぶどうの袋掛けも終わり、梅雨の病気発生も落ち着いたころです。
ぶどうの葉が、ぶつぶつと気味悪く変になっているのを発見してびっくり。
ぶどうの葉のぶつぶつは、ブドウハモグリダニの被害
黒とう病対策、べと病 に続く新たな「ぶどうの病気」発生?
と、あわててシャインマスカット農家の叔母に連絡すると、
「それは、ブドウハモグリハダニだよ。
葉の栄養を取られちゃうから、すぐに消毒しないと、良いぶどうに育たないよ。」
との事で、びっくり。
ぶどうの葉のぶつぶつは「 ブドウハモグリハダニ」という害虫の仕業で、ハダニの一種なんだそうです。
でも、 黒とう病のような大変な「ぶどうの病気」 でないことが解って安心しました。「黒とう病」は大変でしたからね~。
ブドウハモグリダニについて調べてみると、新葉に寄生する「ハダニ」の仲間。
ひどくなると茶褐色になり落葉するので、被害が大きくなる前に、急いで消毒しなければなりません。
ブドウハモグリダニは展開する新葉に寄生する。寄生を受けた葉の裏には白色の毛じが発達し、葉の表は火ぶくれ状にふくらむ。被害が進むと葉が変形するとともに、葉裏の毛じは茶褐色となる。この被害から「毛せん病」とも呼ばれている。寄生が多い場合には新梢の生育が阻害される。被害に品種間差異は顕著には見られないが、デラウェア、巨峰にはよく寄生する。
ナミハダニは、加温ハウス栽培を主に発生する。葉裏に寄生し、被害葉は葉裏全体が褐色となる。被害が甚だしい場合は落葉にいたる。
参照 長野県農業関係試験場
幸い、ぐるりとぶどう棚を見回ってみると、ぶどうハモグリダニの被害は、この枝の葉2枚だけで他にありません。
ところが、不自然に茶色く枯れているぶどうの葉が何枚もあるのを発見。10か所以上もあり、葉が茶色く枯れて、透き通っているような葉もあります。
あわてて、叔母に来てもらい見てもらう事にしました。
ぶどうの葉が枯れるのは「ブドウサビダニ」の被害
叔母によると、やはりこれも「ハダニ」の一種の「ぶどうサビダニ」だろうとの事。
「ぶどうサビダニ」は葉の表面に寄生し、最初は葉が黒っぽいだけで気づかないけれど、被害が進むとどんどん葉が枯れてしまいます。
被害が多くなると、果粒の肥大や着色が不良となり糖度があがらなくなるので果樹農家はこの時期の「ハダニ」対策は定期的に消毒を行い対策しているとの事でした。
ブドウサビダニは葉の表面に寄生する。初めは葉脈付近が黒褐色を帯び、密度が高まると葉全体が黒褐色となる。被害が進むと落葉することもあり、果粒の肥大や着色が悪くなる。甲州ブドウやネオマスカットに多く発生し、デラウェアや巨峰には少ない。
参照 長野県農業関係試験場
ぶどうのハダニの対策 農薬と駆除方法
1.まずは葉の処理から
「ぶどうハモグリダニ 」と「ぶどうサビダニ」の駆除方法は、まずは被害にあった葉の処理から始めます。
被害にあったすべての葉を落として、ビニール袋に入れてて捨てます。落としたままにしておくと、また「ハダニ」が風に乗ってぶどうの葉につくと困りますからね。
2.農薬の購入
次に、農薬を買いに農家専門店に出かけました。
いつもお世話になっている「農薬専門の店員」さんに相談です。
店員さんによると「 ぶどうハモグリダニ」 に関しては、石灰硫黄合剤の散布が効果的なのですが
私たちのような素人が使える「小さいボトル」の農薬の販売は少なく、あっても毒性が強いので素人にはお勧めできないと却下。
でも、「アプロードエースフロアブル」なら、最近 「 ぶどうハモグリダニ」 への効能が確認され、駆除できるとのことでした。
500mlも入って3,000円以上するお高い農薬です。
ところが、うちのシャインマスカットでは「ブドウサビダニ」の被害の方が大きく、「アプロードエースフロアブル」では、「 ぶどうハモグリダニ」か「カイガラムシ類」しか駆除できないんですよね~
そこで、店員さんがおすすめしてくれたのが「カネマイトフロアブル」です。
「カネマイトフロアブル」は、ほとんどの「ハダニ類」を防除・駆除できるので「ぶどうハモグリダニ 」と「ぶどうサビダニ」を一気にやっつけられ一石二鳥というわけです。
100mlの小さいボトルで、値段も1,000円くらいでお安い。
もし、効かなかったら「アプロードエースフロアブル」を買えばいいよね~
という事で、「カネマイトフロアブル」を購入して帰りました。
3.消毒
さて、いよいよ消毒です。
被害にあった葉をすべて取り除いたら、まんべんなく消毒をしていきます。
雨が降ると、薬剤が落ちてしまうので、2~3日雨予報がない日を選びます。
本当は、ハダニ駆除は、梅雨明け早々にするそうです。
というのは、7月になると、葉がうじゃうじゃ伸びる為、葉と葉が重なり消毒がいきわたらず、念入りに行わないとハダニが再発生してしまうそうです。
そこで、消毒ノズルで葉を1枚1枚めくって隅々まで消毒しました。
3坪ほどの家庭菜園のぶどう棚ですから、1時間弱で完了。
4Lの噴霧器で2回分の量でできました。
「カネマイトフロアブル」 の希釈方法をメモしておきますね。
カネマイトフロアブル 希釈方法
カネマイトフロアブルの液体は、上の写真のようなクリーム色で無臭です。
少しとろみがかかっているけれど、さっと水に溶けて、とても扱いやすかったです。
カネマイトフロアブルの希釈方法は簡単、つぎのとおり。
カネマイトフロアブルのぶどうへの希釈倍数は1000倍~1500倍
今回は、よく効くように1000倍で希釈しました。
フタが8ml、噴霧器が4Lの場合、フタの半分(4ml)まで入れて、4Lの水で希釈すればOKです。
まとめ ぶどうの葉の病気?葉が枯れる・ぶつぶつするのは「ハダニ」の仕業だった!!
消毒後、2週間たちました。
「ぶどうハモグリダニ 」と「ぶどうサビダニ」 に、カネマイトフロアブル がよく効いたらしく、その後、我が家の家庭菜園のぶどうの葉には異変は見つかっていません。
ぶどうの葉の病気かと思った、葉が枯れる・ぶつぶつするのはやはり「ハダニ」の仕業だったんですね。
ここで、 5年目の我が家のシャインマスカット栽培で感じたことを、少しお話しします。
今年は、冬から「黒とう病」防除を徹底的に行った甲斐あって、大きなトラブルもなく、ちょうど100房、袋掛けができました。
細長いぶどう棚なので、枝は、どんどん伸びて10mほど伸びました。
でも、なぜか枝の先の方にばかり、大きくて良い房をつけるんです。
逆に根元に近い方は、房の数が少なく、実も小さいんです。根に近い方が、栄養をたくさんもらえそうなのに不思議ですよね。
叔母に聞いてみると、やはり枝の先の方が良い実をつけるとの事。
シャインマスカットは、いくら切り戻しをしても、枝が古くなると良い房がならないんだそうです。
そのため、シャインマスカット農家では、5年~7年たった木は切り倒し、新しい苗を植えるとの事でした。
うちの場合5年目ですが、切り倒すなんてもったいない~!!
そこで叔母のアドバイス、
根元のYの字に延ばした片方を切って、若い枝を育ててみたら・・・と言われました。
今後の課題になりそうです。
今年の、粒抜きの写真です。
ぶどうの実が腐ってぼとぼと落ちたり、ミイラ化してしまった去年の「ベト病」被害の経験を生かして、今年は粒抜き前に傘かけを頑張りました。
いつもは、傘かけは袋掛けと同時なのですが、叔母のアドバイスで傘かけだけを早くしたんです。これ、すごく効果があり本当におすすめなので、やってみてください。
詳しくは、「晩腐病」「べと病」の消毒と対処法/絶対にミイラ化させないぞ!!で解説しています。
それでは、また。
ブドウづくり頑張りましょう(^^)/
消毒だけに特化した、消毒時期・消毒カレンダーでは、詳しい消毒時期・ぶどうの病気・気をつけたい季節ごとの病害虫が解ります。
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