シャインマスカットを育てて6年目、シャインマスカットに多い「黒とう病」との闘いを覚書しています。
ぶどうの病気NO.3になる今回は、「黒とう病」の防除のコツや、対策のまとめをシャインマスカット農家の専門的な知識を交えて解説。
NO.2に続く、その後のシャインマスカットの生育状況や収穫についてもお話ししています。
手ごわい「黒とう病」に悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。
ぶどうの病気3 シャインマスカット「黒とう病」防除のコツ・対策のまとめ
1年目~これまでの経過
1年目 順調
我が家の1坪菜園に植樹。
半日かげでしたが苗の成長は良く、🍇3房収獲。
2年目 順調
3mほど枝を張り程小ぶりですが🍇20房程見事な実を収穫できて大喜びしていました。秋には5~6mほど枝も伸びました。
3年目 黒とう病発生
去年より多く収穫できると期待を胸に、初夏の芽吹きを見守っていたのですが成長するにつれてなんだかおかしい・・・枝に何やら茶色い斑点があります。新しく出てきた新芽は成長できずに茶色く縮こまっていました。
さらによく見ると、葉茶色い斑点と穴がある葉や、くるくるっと丸まった葉もあります。
これはまずいとすぐに検索すると「黒とう病」でした。
果樹農家の叔母に相談、アドバイスを受けながらすぐに消毒。黒とう病との闘いが始まります。
当時の、消毒の仕方、農薬の選び方、希釈の仕方、果樹農家の専門的アドバイスなど、しつこい黒闘病との闘いの様子はこちらの記事に記載してあります。
シャインマスカット「その後」の記録
「シャインマスカットその後の記録2」では、3年目に突然発生した「しつこい黒とう病」との闘いをお話しました。その後シャインマスカットはどうなったのか、近況をご報告します。
3年目のシャインマスカット
その後、数回消毒+病気の葉の剪定を数回繰り返し、ブドウの木自体は青々と元気を取り戻したのですが、肝心のブドウの実は大きくなるにつれ「黒い斑点」が大きくなってきました。
初期にかかった黒とう病の「黒い斑点」は、完全に取り除かないかぎり残ります。
剪定ばさみで、黒い斑点のあるものは一粒ずつ取り除いたのですが(本当に細かくて大変な作業)、すべて排除できずに上の写真の通りです。
最初は小さな「黒点」でも、実が膨らむにつれて大きな黒い点になるので食べれません。
唯一、綺麗な房で助かったのが下の2房。後はまばら収穫できました。ぐすん涙
3年目の失敗から学んだこと生かし、冬から黒とう病の防除を始めました。
4年目のシヤインマスカットは、こまめな消毒と切除の甲斐あって、6月の時点で70房。とても綺麗です。
ところが、黒とう病対策は、ばっちりだったのに、思わぬ失敗で30房に減らしてしまうことになります。
それは、私の間違った思い込みで、傘かけ・袋掛けが遅れた為です。
この年はまれにみる長い梅雨で、「晩腐病(おそぐされびょう)」「べと病」が発生したんですね。
ぶどうの実が腐ってぼとぼと落ちてしまったんです。
なかなか、シャインマスカットの栽培は奥が深いです。
「晩腐病(おそぐされびょう)」「べと病」の消毒と対処法も、ぜひお読みください。
傘かけ・袋掛けの時期の重要さはこちらのページで解説しています。
5年目のシャインマスカット
3年目、4年目の失敗から学び、ついにやりました!!
昨日、収穫しました。105房です。
5年目にして、やっと叔母から糖度18度、形も合格点をもらえるシャインマスカットの収穫ができました。
ど~ん!!
と、自慢したところで(笑)
肝心の「黒とう病」の防ぎ方のコツ、3年間の集大成をお話ししていきますね。
シャインマスカット 黒とう病を防ぎ方のコツ
5年間、シャインマスカットを育ててきて痛感したことは、どんなにきちんと「防除」しても「黒とう病」は絶滅せず、毎年やってくるという事です。
ですから、黒とう病が発生するのは当たり前と考え、こまめに「消毒」と「患部の枝葉の切り落とし」をすることが重要なのです。
黒とう病を防ぐコツ1 消毒は雨の前、または雨の後
消毒のコツは、とにかく雨の前日に行うことです。
えっ?雨が降ると消毒が流れちゃう・・・と思われがちですが
黒とう病の消毒は、害虫駆除でなく、殺菌剤でという事をおもいだしてください。
雨を媒体にして広がる黒とう病、つまり、雨を待って潜んでいる「黒とう病の菌」を、雨が降る前に殺菌して、菌の数を減らしてしまおうというわけなのです。
予定が取れなかった場合は、雨の後にすぐに殺菌消毒すると良いですね。
黒とう病を防ぐコツ2 摘心
枝葉は、念入りにチェックし、病変を見つけたらすぐに切りおとします。
「患部の切り落とし」を簡単にする、コツがあります。
ある程度枝葉が伸びてくると、黒とう病は、しっかり消毒がいきわたっている古い葉の部分には、ほとんど発生しません。
つまり、新しく伸びてくる新芽の部分が「黒とう病」にかかるんです。4月~5月に育った、大きな濃いグリーンの古い葉にはほとんど発生しないのです。
だから、新芽をチェックすると切除の目安になり、時間短縮になるのです。
梅雨の雨が続いた後に、ぶどう棚に行ってみると
雨の前にしっかり消毒していても、伸びた新芽の1割から2割が黒とう病になってます。
葉が縮こまって茶色くなっているのですぐに解ります。
新しい枝の切除は、ぶどうの実を大きく成長させる「摘心」にもなりますから一石二鳥です。
ハサミを使わなくても、ぽきぽき折れる柔らかさだから簡単。
切除した新芽は、しっかりゴミ袋に入れて処分しましょう。
「摘心」については別記事で詳しく解説しています。
黒とう病を防ぐコツ3 傘かけ・袋掛けは迅速に
黒とう病の菌や胞子は、雨によって増殖、伝染します。
「傘かけや袋掛け」をスピーディに行う事で、房だけでも菌の侵入を防ぐことができます。
梅雨前に傘かけを行い、傘をかけた状態のままで粒抜き(摘粒)を行います。
摘粒後は念入りに消毒し、すぐに袋掛けを行う事で「黒とう病」の侵入を防ぎ、ブドウの収穫量や質を保つことができるのです。
ぶどうの傘かけ・袋掛けの時期は別ページで詳しく解説しています。
黒とう病を防ぐコツ4 粗皮削り
5~6年目のシャインマスカットは、「粗皮削り」を行う事も大切です。
ブドウの木は年々太く成長しますが、樹齢がかさむと木の皮が剥けて、かさぶたがはがれたようになってきます。この皮の間に、黒とう病の菌や、害虫の卵などが潜んで越冬します。
1月の「粗皮削り」後は、スミチオンなどで害虫駆除消毒を行いますが、前年に黒とう病がひどかった場合、一緒に殺菌消毒しておくと安心です。
ぶどうの粗皮削りの方法は別ページで解説しています。
ぶどうの病気3 シャインマスカット「黒とう病」防除のコツ・対策のまとめ
◆ぶどうの消毒時期★便利な「年間 消毒カレンダー」も参考にしてください。
◆1年を通したシャインマスカットの育て方はこちら
◆黒とう病奮闘記1~2はこちら