自動車保険代理店をしている長嶋です。
このページでは、自動車保険の「任意保険」と「自賠責保険」の違いについて解説しています。
案内するのは、保険代理店・運輸局認証車検工場を営むオートディラーの「長嶋」です。自動車損害保険募集人資格の他、傷害・火災・生命保険募集資格を持つ保険のエキスパートです。50年の経験をもとに実際に起こった事故トラブルの解決方法を解説しています。
自動車保険の「任意保険」と「自賠責保険」の違いを車屋さんが解説
自動車保険は、「自賠責保険」と「任意保険」の2つ
自動車保険には大きく分けて「自賠責保険」と「任意保険」の2つがあります。
そういえば、
車検の時に加入する保険と、自分で毎年払っている保険があるわね。
自動車保険の仕組みは、初めて車を持つ人にはとても複雑で、知らない人がほとんどです。
お客様の中にも、「自賠責保険」と「任意保険」を混同されていたり、同じものだと勘違いしている人が多いのです。
普段、私たちが自動車保険を身近に感じるのは、事故以外で、
などですが、それぞれ、どの保険の支払いか解りますか?
答えは、つぎのとおりです。
どうでしたか?正解でしたか?
では、「自賠責保険」と「任意保険」とは、どのような違いがあるのでか、詳しく解説していきますね。
自賠責保険は強制保険
自賠責保険(じばいせきほけん)は、車検時に加入する保険です。
自動車損害賠償保障法(自賠法)により強制的に加入が義務付けられていて、強制保険とも呼ばれています。
上の写真は、損保ジャパンさんの「自賠責保険」の証券です。
車検時に、修理工場などの保険代理店が発行するので、車検証と一緒に、車のダッシュボードに保管するのが一般的です。
「自賠責保険」は、損害保険保険会社や、JAなどの共済保険が取り扱っていますが、保険料は、各社統一されています。
「自賠責保険」は、自動車による人身事故の被害者を救済するための共済保険で、新車購入時や「車検時」にすべての自動車やバイクが加入します。
バイクのナンバーに自賠責保険の「加入済みシール」を見かけたことがありませんか?
自賠責保険は、未加入、または期限切れで走行すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。違反点数は6点で免停になります。
では、自賠責保険の補償についてみていきましょう。
自賠責保険の補償
自賠責保険は対人だけ、自分には1円も下りない
車検の時に加入する「自賠責保険」の補償は対人だけで、最小限の保証額しか得られません。
さらに、対物(事故相手の車・ガードレール・外壁・家)にぶつけても、保険は下りないのが特徴です。
自分の車で相手にけがをさせた時に使うのが自賠責保険なのです。
自賠遺跡保険の補償額は以下の通りです。
自賠責保険は、対人に対する保険なので、自分が怪我をしても1円も保険金はおりません。つまり、自賠責保険は事故の相手を救済する保険なんです。
めったにないことですが、自分の車に引かれた場合などもこれに当てはまります。
妻が夫の車を借りて、夫を誤って引いてしまった場合など、一切自分には保険がおりないのです。
え~!!
自分の治療費はどうなるの?
自賠責保険では自分の治療費は下りません。そのために、任意保険に入る必要性があるんですよね。
自宅の駐車場で、誤って自分の子供を引いたニュースを見たけど、あれはどうなるんだ?
自宅の駐車場で自分の子供を引いてしまった場合、自賠責保険は家族を対人とみるので、自賠責保険はおります。
自賠責保険では、怪我をした被害者の救済を目的としているので、車の所有者以外は、家族間の事故でも補償の対象になるのです。
自賠責保険は、過失分を引かれることがある
長年保険代理店をしてきましたが、支払額が多い事故や過失が多い事故では、自賠責保険の支払いから過失分を差し引かれることがあるので注意が必要です。
例えば、数年前、道路に飛び出した「自転車の女性」を引いて死亡させた事故がありました。
しかし、自賠責保険からは、飛び出しの過失分を引いた死亡保険金しか支払われませんでした。
逆に、過失があっても全額支払われたケースもあります。
子供が自転車で飛び出し、打撲で3か月通院した時は、子供に4割の過失があったのにもかかわらず、治療費の全額が自賠責保険から支払われました。
不思議に思って、保険会社に問い合わせてみると、大きな事故でなく、4~5割程度の過失であれば、過失分を差し引かず全額支払われるとの答えでした。
という事は、過失が多いと全額支払われないケースが出てくるという事です。
このように、自賠責保険は、万全な保険とは言えません。そのため、ほとんどの人が任意保険にも加入しているのです。
任意保険
任意保険(にんいほけん)は、一般的に「自動車保険」と呼ばれ、自賠責保険の不足分を補う目的の保険です。
自賠責保険のように、事故で自分が怪我をしても、1円も支払われないのでは困りますからね。
強制保険ではないので「任意保険」とも呼ばれ、自賠責保険との差別化がされています。
下は「任意保険」の証券で、あいおいニッセイ同和損保さんのものです。
任意保険は1年ごとの更新型の保険で、車種、年齢、免許証の色、使う用途、事故歴によっても毎年保険料が異なります。
免許証がゴールドの人は、事故をおこす確率が低いので保険料は低額になります。
逆に、運転技術が未熟な全年齢の人や、車の使用回数が多い人は、保険料が高くなります。
保険料 | 車種・運転技術や使用頻度で金額が異なる |
車種 | スポーツカータイプは保険料が高い |
年齢 | 全年齢/21歳未満不担保/26歳未満不担保/35歳未満不担保 |
免許証の色 | ブルー・ゴールド |
使う用途 | 日常レジャー/通勤/仕事 |
事故歴 | あり/なし |
保険料は、1年払いや月々12か月払い等が選べます。
任意保険は、保険会社ごとに保険料が異なり、JAなどの共済保険や、ネット型ダイレクト保険は値段が安いと言われています。
任意保険の補償
任意保険の補償は、大きく3つの補償で構成されていて、必要に応じて様々な補償や特約をつけてカスタマイズすることができます。
対人賠償保険
自動車事故で、他人を死傷させてしまった場合の補償です。自賠責保険で賄えない、支払額の保険金を支払います。
対物賠償保険
自動車事故で、他人の家、車、ガードレール、店舗、物、信号機、電柱などを壊してしまった時におりる保険です。
人身傷害保険
車に搭乗中や歩行中に、自動車事故で死傷した時の補償です。過失割合にかかわらず保険金が支払われます。
その他の補償
その他、登場している人が死傷した時の搭乗者傷害保険、契約している車が壊れた時の車両保険、無保険車から損害を被った時の無保険車傷害保険などの補償をつけてカスタマイズすることができます。
また、弁護士費用や個人賠償責任保険などの特約を付けることも可能です。
任意保険の特徴として、事故時のレッカー、ガス欠時のガソリン給油など様々トラブルに対応するサービスを利用することができます。
自動車保険の「任意保険」と「自賠責保険」の違いを車屋さんが解説
自動車の運転をする以上、事故のリスクが常につきまといます。
自分は事故をおこさないから大丈夫と言ってる人でも、もらい事故で損害を被り、多額の損害賠償を請求される事もあります。
いざ事故が起きたとき、自賠責保険だけでは補償しきれないのが現実です。
その点、任意保険は、自賠責保険では補償できない範囲を幅広くカバーしてくれます。
未来の自分への備えとして、任意保険への加入は必須です。無料の自動車保険一括見積もりサービスなどを利用して、賢い自動車保険選びをするのも大切ですね。