ここ数年、コロナやウクライナ戦争による社会情勢の悪化で、車の部品調達が滞り納車の遅延が目立つようになりました。
この納車までの期間、代車をお貸しすることが多くなったのですが、お客様から「代車の保険」について、多くの質問を受けるようになりました。
このページでは、
など、「代車の保険」について不安に感じている人むけに解決策を解説しています。
案内するのは、保険代理店・運輸局認証車検工場を営むオートディラーの「長嶋」です。自動車損害保険募集人資格の他、傷害・火災・生命保険募集資格を持つ保険のエキスパートです。50年の経験をもとに実際に起こった事故トラブルの解決方法を解説しています。
新車納車までの期間 代車の保険はどうなるの?
代車は、他車運転特約を使うのが一般的
新車納車までの期間、代車の保険は「他車運転特約」を使うのが一般的です。
他車運転特約って何?
「他車運転特約」とは、他人から臨時で借りた車で運転中の事故でも、自分の保険が使える特約です。(レンタカー・代車を含みます)
例えば、友人の車を借りて事故を起こした場合など、友人の保険を使わずに、自分の保険を使うことができるんですね。
友達の車の保険は、使わないのか?
「他車転特約」には「他車運転優先払い特約」が自動付帯されています。
つまり、他人の車で事故を起こした場合、自分の保険を「優先的」に使う事になります。
補償内容 | 自分の自動車保険を使う(他車運転特約) |
---|---|
相手(人)への賠償 | 他車運転特約は、運転中の事故を補償 駐車中・停車中の事故は補償されません。 |
物への賠償 | 他車運転特約は、運転中の事故を補償 駐車中・停車中の事故は補償されません。 |
自分・同乗者の怪我 | 人身傷害で補償されます |
車両の補償 | 車両保険をセットしている場合のみ補償 ただし、借用中の自動車の「時価額」を限度に車両保険金として支払う。 |
ただし「他車運転特約」は、
などの制約があるので注意が必要です。
他車運転特約なら車両損害も補償できる
借りた車をぶつけてしまった場合、他車運転特約を使い、自分の契約の車両保険で修理代金を賄うことができます。
例えば、代車を借りて事故を起こし、鈑金代が120万円かかったとします。
自分の車の保険に「車両保険100万円」をついていたら、120万のうち100万円までは「他社運転特約」で支払ってもらえます。20万円の自腹だけで済むという事ですね。
ただし借りた車の時価額を超える修理費用は支払われません。
代車が80万円の価値しかない場合、修理代金が120万かかるとしても、80万円までしか支払われないないという事です。となると、自腹は40万円となります。
「他車運転特約」を使う場合の注意点
1.他車運転特約は、長期間使えるの?
最近は、新車の納期の遅延で、代車を長期間乗る人が増えたため、代車の事故が増えています。
保険会社に問い合わせたところ、あくまでも「他車運転特約」は臨時で借りていることが条件。
ただし、はっきりと日数や期間は書いてないため、長期間代車を借りる場合は、臨機応変に対応してほしいとの事でした。
実際にあった事例ですが、正直に「1年間借りています」と答えたために「他車運転特約」が使えなかつたお客様がいたそうです。
代車を長期にわたって借りる場合、少し面倒ですが
などして、万が一事故にあった時は、「代車を一時的に借りている」と保険会社に答えてほしいとの事でした。
2.他社運転特約がついてない自動車保険もある
一部の外資系の自動車保険会社やネット格安自動車保険には、
の場合があるので注意が必要です。
代車を借りる際は事前に、自分の自動車保険には「どんなタイプの他車運転特約」がついているのか調べておくと良いですね。
3.法人の自動車保険は他車運転特約が使えない場合がある
また、自動車保険の契約者が法人の場合「他車運転特約」は使えない場合があります。
以前、法人のお客様が、友達の車で事故を起こし「他車運転特約」を使おうとしたのですが、「法人名義の契約には、他車運転特約は付いてない」と、保険会社に断られたんですね。
法人契約には「他車運転特約」の代わりに「臨時代替自動車特約」がありますが、あくまでも契約中の車の整備、修理、点検時に、臨時に借りた車の事故に限り保証されるので、これも当てはまりません。
そこで、友人の車の保険を使う事になったのですが、車両保険が付いてなかったため、車両の損害はすべてお客様が弁償することになりました。
つまり、法人のお客様が新車の納車待ちで「代車」を借りた場合、「他車運転特約」が使えません。(法人のお客様でも「個人被保険者」で契約、または特約に入っていればOK)
事故を起こした場合、代車に付いている保険を使う事になります。
しかし、代車にいている保険は、次のような注意点があります。
代車の保険を使う時の注意点
ほとんどの代車は、「対人+対物+人身傷害保険」だけの、最低限の保障しかついません。
ディーラーの代車でも「車両保険」は付いてないのが一般的です。無料代車に、車両保険を付帯すると、コストがかかりすぎますからね。
私たち販売店でも、無料で代車を貸すことが精一杯の対応なんです。
ですから、万が一事故を起こした場合、代車の修理代はお客様が自腹で弁済することになります。
心配な人は、「車両保険」を付けてくれるよう販売店にお願いしてみましょう。
この場合、ほとんどの販売店で、「車両保険分」の保険料はお客様負担してくださいと言われます。
代車が保険に入ってない場合
自分名義で、代車に保険をかけることはできるの?
一部の自動車販売店やトヨタなどでは、納車遅れのお詫びに代車の無料貸し出しをしています。(運良く代車があればですが・・・)
でも、販売店によっては「代車の保険は、お客様が加入してください」と言われる場合があります。
保険はお客様負担という誓約書を記入して、無料代車を借りる形です。
他人名義の車に、保険をかけれるの?
ここで、他人名義の代車に、保険をかける事はできるの?と心配する人がいますが、これは条件付きで保険をかけることができます。
当社では、何度も取扱い経験がありますが、「車検証コピー」に一筆入れていただくことで契約可能になります。
たとえば、代車の車検証が「ディーラー名義」だった場合、
「この車両は、名義が異なりますが、私が使用・管理を行っています。日付・住所・氏名」
と一筆書いていただき、保険会社に提出する事で保険加入できます。
➡2021年より、一部の損保会社では、「車検証」の提出が必要なくなり、自己申告でOKになりました。
ただし、ダイレクト系の自動車保険は、契約者、被保険者、車両所有者が一致しないと断られる場合があります。
自動車保険を扱う、車検整備工場などの「損保代理店」で申し込みましょう。
事前に保険料を調べるなら 【無料】最大17社の自動車保険が一括見積もりできる「 保険スクエアbang!」が便利です。
自分の保険の等級を引継ぎ、車両入れ替えできるのか?
では、代車に保険をかける場合、自分の保険の等級は引き継げるのでしょうか。
保険会社に問い合わせてみました。
どちらも、保険会社(あいおい損保)に問い合わせたところ大丈夫との返事をいただきました。
こちらも、ダイレクト系の自動車保険では、契約者、被保険者、車両所有者が一致しないと断らる場合があります。
自動車保険を扱う、車検整備工場などの「損保代理店」で申し込みましょう。
代車の保険 1 ヶ月だけ入れるの?
代車の保険は、1か月だけ入れます。
正確に言うと、1か月という短期契約はできないので、「1年契約で加入した後、1か月後に解約」する事になります。
保険料は、12分割払い(口座引き落とし)にしておけば、1年分の保険料を払わずに済みます。
新車の納車が1か月以上伸びても、2カ月目の保険料は自動的に引き落ちるので便利です。代車を返した後に、解約手続きを行いましょう。
代車に、1日ワンディ保険は加入できるのか?
借りた車に1日だけ保険をかけれる「ワンディ1日自動車保険」は、「法人名義」の車にかける事はできません。
ディーラーの代車は、もちろん「法人名義」なので、「ワンディ1日自動車保険」をかける事はできません。個人事業主の整備工場の代車なら、個人名義なのでOKです。
「ワンディ1日自動車保険」は、ファミマ、ローソンなどのコンビニでも取り扱っていて、スマホで簡単に加入できます。
新車納車までの期間 代車の保険はどうなるの?
すべての代車には、自動車保険が付いているとは限りません。代車に自動車保険が付いてない場合、自分で自動車保険に加入する事になります。
代車に保険が付いていても、新車納車までの期間、代車で事故を起こした場合「他社運転特約」を使うのが一般的です。
ただし、他社運転特約が付いてない自動車保険もあるので、自分の保険がどのような保険かしっかり確認してから代車を借りるようにしましょう。
法人契約には「他車運転特約」の代わりに「臨時代替自動車特約」が付いていますが、修理、整備、点検時だけなので「新車納車待ち」の場合、保険を使うことはできません。