今日は、小規模「分解事業者」の回送運行許可証(ディーラーナンバー)の取得について、当社で陸運局や整備振興会で確認・手続きをした体験をお話しします。
このページで解る事
これにより、多くの車検業者様が回送運行許可証(ディーラーナンバー)を取得される際の参考になると幸いです。
(確認・手続きしたのは関東陸運局です。他の地域の陸運局は手続き方法の差異があると思いますのでご確認ください)
案内するのは、新車中古車販売・国土交通省/陸運局認証車検工場を営むオートディラーの「長嶋」です。50年の経験をもと実際に起こったトラブルや解決方法を解説しています。
自分で行う「分解整備業」回送運行許可証(ディーラーナンバー)申請方法/必要書類・記入例・費用・目的追加の方法
平成29年(2017年)11月1日から、月に20台という「車検台数」の基準が緩和され、小規模「車検」修理工場でも回送運行許可証(ディーラーナンバー)が簡単に取得できるようになりました。
分解整備業/ディーラーナンバー取得緩和へ
「分解整備業」の追加および緩和の流れは以下のとおりです。
回送運行許可証は「販売」「陸送」「製作」の3つの業者のみが許可されてきましたが、27年春の改正で「分解整備業」が実験的に加わりました。
つまり、分解整備業を営む「車検整備工場」が車検切れ車の回送時に回送運行許可証(ディーラーナンバー)を利用できるようになり大きく前進したのです。ただし、当初は車検台数などの基準が厳しく、実際にディーラーナンバーを取得できた業者は多くありませんでした。
以前は直近6カ月で20台/月以上の車検がある事業所しか回送運行許可証(ディーラーナンバー)を取得できず、小規模の整備事業者はディーラーナンバーが欲しくても手に入らない状態だったんですね。
ですから小規模の整備事業者は、もよりの市役所で臨時運行許可書(仮ナンバー/750円)を発行して、陸運局の車検場に車を持ち込むしかありませんでした。
ところが、平成29年(2017年)3月より「車検台数」などの基準の緩和が実験的に検証され、平成29年(2017年)11月1日より「車検台数の条件廃止」が決定し、小規模「車検」修理工場でも回送運行許可証(ディーラーナンバー)が簡単に取得できるようになったのです。
緩和 改訂内容
分解整備業 回送運行許可証取得条件 | 改訂内容 |
---|---|
改訂前 | 車検台数が20台以上/月 |
2017年11月1日~ 改訂後 | 車検台数を撤廃 臨時運行許可証直近1年で7台以上と改訂 |
改訂後は月に20台もの車検ノルマがなくなりました。
車検をとるために市役所で臨時運行許可証(仮ナンバー)を借りて「1年間に7回以上回送した実績がある事業所」なら回送運行許可証(ディーラーナンバー)が取得できるようになったのです。
当社では、車販売のディーラーナンバーをすでに持っていましたが、整備振興会に聞くと、7回分の臨時運行許可証(仮ナンバー)発行実績が必要との事で、わざわざ市役所にて臨時運行許可証(仮ナンバー)を借りました。
当社の場合、車販売のディーラーナンバーを再取得しても良かったのですが、販売管理や書類提出が大変だったので、車検時にも利用できる「分解整備業」のディーラーナンバーに変更したかったのです。
回送運行許可証(ディーラーナンバー)の取得の流れ
回送運行許可証(ディーラーナンバー)の取得の流れを大きく言うと次のようになります。取得まで1~2カ月かかります。
「臨時運行許可証」で実績の証明
↓
申請用紙の記入・写真などの撮影
↓
陸運局へ提出
↓
書類審査、現地調査
↓
面接
↓
許可
「臨時運行許可証」(仮ナンバー)で実績の証明
まずは、1年の間に市役所で臨時運行許可証を7回以上借りて車検切れの車を陸運局又は軽自動車協会で車検をとったという「実績の証明」をしなければなりません。
その為、1年間に下記の準備をします。7セット分揃えば、1年未満でも申請が可能になります。
回送運行許可証(ディーラーナンバー)申請の必要書類
上記実績が7セット揃ったら、申請するために必要な書類を準備します。
書類を入手する方法/書き方記入例
書類の入手や記入方法は3通りあります。
書類は、陸運局で手に入ります。陸運局に行って教えてもらいながら自分で申請する方法もありますが、山のような書類があり、なかなか手強いです。
自分で頑張ってみる方は、福岡自動車整備振興会での記入例のpdfがありましたから貼り付けておきます。ただし以降を読んでいただければわかりますが、自分でするのはあまりお勧めしません。
整備振興会に依頼する方法
これは、記入例の一部である9号様式です。
これを見てわかる様に、申請者は分解整備業を業とする関係団体の会員であることの証明が必要です。指定工場なら指定番号の記入/認証工場なら認証番号の記入が必要です。また、自動車整備振興会の証明印も必要になります。
ですから、自動車整備振興会に頼んでしまった方が早いんですよね。認証工場ではあっても自動車整備振興会の会員でない場合、ディーラーナンバーを取得できるかは定かではありません。
許可要件には、「整備事業者で臨時運行許可の実績が1年で7台以上」と書かれています。詳しくは管轄陸運局へ問い合わせてください。
おすすめ申請方法
先ほども書きましたが、簡単でおすすめなのは整備振興会に頼んで申請する方法です。どちらにせよ9号様式に整備振興会の証明印をもらわなければならないので、最初から頼んでしまった方が楽ちんです。
整備振興会では申請用紙を手に入れてくれますし、面倒な記入も代書してくれます。振興会では無料なので頼まなければ損ですよね。(福岡の整備振興会では5,000円の手数料がかかるとありました)
行政書士に頼むという方法もありますが、7万円~10万円の手数料を請求されます。ディーラーナンバーにかかる費用は、陸運局に支払う「ナンバー貸借料」や「自賠責保険」も高額なので、やはり整備振興会に頼むのがベストでしょう。詳しい金額はこちら
書類類審査・現地調査・面接
仕上がった書類は陸運局に提出され、3週間~1カ月ほどかけて書類審査、現地調査、面接が行われます。
(整備振興会のような組合に入ってない場合は現地調査が入るといわれていますが定かではありません)
面接は陸運局で対面で行われます。面接は、回送運行許可証(ディーラーナンバー)を悪用しないかなどの人格を見る為といわれています。
当社は、数年前に「販売」で回送運行許可証(ディーラーナンバー)の取得をしましたが、面接では、管理台帳の記録や、ナンバーの保管の管理などを厳しく指導教授された記憶があります。
この面接の後日、許可が下り回送運行許可証(ディーラーナンバー)が使えるようになりました。
回送運行許可証(ディーラーナンバー)にかかる費用
ナンバー貸借料・自賠責保険料・手数料の金額
分解整備業は1~5年で選択できるらしいですが、私どもの整備振興会では5年を推奨されました。ですから5年分のナンバー貸借料や自賠責保険を支払わなければなりません。
分解整備業者の回送運行許可証(ディーラーナンバー)の有効期限は5年です。そして有効期限はすべての許可証で一律11月30日と決められています。
福岡自動車整備振興会HPより
ですから6月に5年分の許可証をとったとしても、11月30日で1年分の有効期限を消化するので、4年と6カ月=54カ月分の支払いになります。
ディーラーナンバーの1カ月の貸借料は2,050円ですから、以下の支払いになました。
5年間 6月取得の場合➡54カ月
回送運行許可証(ディーラーナンバー)
◆ナンバー貸借料 110,700円を印紙で陸運事務局へ
◆自賠責保険料 36,880円 保険加入
◆整備振興会手数料 無料~5,000円前後
◆合計 152,580円
回送運行許可証(ディーラーナンバー)は、臨時回送ナンバー(仮ナンバー)よりどのくらいお得なのか?
回送運行許可証(ディーラーナンバー)と、臨時運行許可証(市役所取得)ではどちらがお得か単純に計算しました。ディーラーナンバー取得を考えている整備業者は参考にしてください。
ディーラーナンバー 回送運行許可証 | 仮ナンバー 臨時運行許可証(市役所取得) |
---|---|
60か月加入料金 ◆ナンバー貸借料 123,000円 ◆自賠責保険料 40,270円 ◆整備振興会手数料 5,000円 ◆合計 168,270円 | ◆1か月に5回の場合、1回750円として 750円×5回×60か月=225,000円 ◆1か月に4回の場合、180,000円 ◆1か月に3回の場合、135,000円 |
1カ月に3~4回以上、車検切れの車の為に臨時運行許可証(仮ナンバー)をわざわざ市役所取に行くなら、ディーラーナンバーを取得したほうがお得ということになります。
また、陸運局に回送するだけでなく、お客様の家に車検切れの車の引き取りに行けますし、車検をとるために商品車を回送・中古新規などの時も使えて便利になります。
回送運行許可証(ディーラーナンバー)の更新
ディーラーナンバーの更新時には、新規で申請した時と同じ書類が必要となります。
ただし整備振興会にて手続きすると、当初は7台分の「運行実績の証明」➡「車検証の前後のコピー」や「記録簿のコピー」などが必要でしたが、これらを省略できます。
運輸局で聞いたところ、整備振興会や中古車販売連盟などの組合は、事業所の運行の実績を証明できる団体と見なされているので、省略が可能との事でした。
ですから、組合員はいちいち運行実績の証明を用意しなくても、過去1年間7台以上の車体番号の記入及び、組合の捺印があれば更新が簡略化できるとの話でした。
ディーラーナンバー(回送運行許可証)分解整備 目的追加の方法
ここからは、すでに「販売」「陸送」「製作」で、すでに回送運行許可証(ディーラーナンバー)を取得している場合の「分解整備の目的の追加」の方法を解説します。その前に簡単に「分解整備の目的の追加」の概要を解説します。
「分解整備の目的の追加」とは
回送運行許可証(ディーラーナンバー)は「販売」「陸送」「製作」「分解整備」のいずれかの業種で許可をとる事ができますが、ディーラーナンバーを使っての回送は、業種ごとに厳しい使用制限があります。
例えば、当店の場合は「販売」で回送運行許可証(ディーラーナンバー)をとりました。ですから、「販売目的」にしか使えないという制限があります。
中古新規など「販売時」の車検には使えても、「継続車検」で車検切れの車を回送することはできないのです。
ですから、当社の場合、ディーラーナンバーがあるのにもかかわらず、「車検切れの車の継続車検の依頼」が入った場合は、臨時運行許可証(仮ナンバー)を役場に借りに行かねばなりませんでした。
こういった不便をなくすために、当社では「分解整備業の目的の追加」は行いました。
つまり、「販売」で取得したディーラーナンバーに「分解整備」の目的の追加を行う事で、「販売以外の「車検切れ」に対応することが出来るようになったのです。
注意・・回送運行許可証(ディーラーナンバー)を2つとるということではなく、現在ある1枚のディーラーナンバーで目的を追加したということです。
「分解整備の目的追加」の必要書類
「分解整備」の目的の追加に必要な書類は以下の通りです。
追加までの流れと料金/注意点
追加申請は比較的簡単です。ただし、運行実績を証明する書類が必要になります。ディーラーナンバー借り受け代金や、自賠責保険料金は既に支払っているので、自分でする分には料金はかかりません。当社は自動車整備振興会に依頼しましたが無料で1カ月ほどで取得できました。
また、申請時期が11月30日に迫っていたので、12月1日以降に申請することを勧められました。ディーラーナンバーの許可期限はすべてにおいて11月30日と定められていますので、11月申請だと1年無駄になってしまいますからね。申請の際にはご注意ください。