せっかくのお出かけ、通勤時にエンジンがかからないと焦ってしまいますね。
このページでは、エンジンかからないけど電気は付く場合の原因と、すぐにできる対処法を、国の資格を持た整備士が解説しています。
案内するのは、新車中古車販売・国土交通省/陸運局認証車検工場を営むオートディラーの「長嶋」です。50年の経験をもと実際に起こったトラブルや解決方法を解説しています。
整備士が解説★エンジンがかからないけど電気はつく原因と対処法
「車のエンジンがかからないけど電気はつく」原因は、大きく分けて3つの原因が考えられます。
1.基本的操作ミスが原因の場合
慌てているお客様に1番多いのが、基本操作ミスです。
車の運転に慣れていて自分は大丈夫と思っていても、急いでいて慌てていると、単純な操作ミスでエンジンがかからないことが多く、
「パーキングに入ってますか?」
と、聞くと
「すみませ~ん!! パーキング入れたら、エンジンかかりました」
なんてことも多いんです。
まずは落ち着いて、基本的な操作ミスがないか確認してみましょう。
基本操作の確認方法、ハンドルロックの解除法、スマートキーの電池切れの応急処置方法などはエンジンがかからない原因と対処法で詳しく解説しているので、参考にしてください。
2.バッテリーの電圧低下が原因の場合
基本的な操作をしているにも関わらず、エンジンがかからない場合、ほとんどがバッテリーが原因です。
長年、車検修理工場を営んでいますが「車のエンジンがかからないけど、電気はつく」原因のほとんどがバッテリーの電圧低下です。
バッテリーが古くなったり、蓄電能力が低下すると、電圧が低くなってエンジンがかからないんですね。
でも、なんで電気はついてるの?
バッテリーが、一番電力を使うのはエンジン始動時です。
エンジン始動時には、数十倍もの電力を送って「セルモーター」を回転させるんですね。
だから、バッテリーが古くなり蓄電が少ないと、わずかな電力を使う室内灯や、警告灯、ライト、ラジオなどが点いても、エンジンはかかりません。
いわゆるバッテリー上がりの症状です。
バッテリーはどのくらい使えば、ダメになるの?
古いバッテリーの見分け方と、交換目安
バッテリーは古くなると、
などの症状が表れます。
もし最近、愛車にこのような症状があったなら、バッテリー交換のサインです。
また、バッテリーには「交換時期の目安」があります。
バッテリーの寿命と、交換の目安
バッテリーの寿命は、3~4年と言われていますが、車種によっても異なります。
車種 | バッテリーの寿命・交換時期の目安 |
---|---|
ハイブリッド車 | 4~5年 |
アイドリングストップ車 | 2~3年 |
それ以外の車 | 2~5年 |
特にアイドリング車は注意!!
特に、アイドリングストップ車のバッテリーはお客様から苦情が来るくらい寿命が短いので注意が必要です。
アイドリング車は、エンジン始動と停止を繰り返すので負荷が多くかかるんですね。
乗り方にもよりますが、当社のお客様で1年でダメになり、交換した人もいます。車検や点検時に、早めにバッテリーの交換をお願いすると良いですね。
アイドリングストップ車用のバッテリーは、普通のバッテリーより1.5倍高価です。
バッテリーを持たせたい人は、アイドリングスイッチをOFFにしておくと、バッテリーを2~3倍長持ちさせる事ができます。
対処法1.バッテリーの充電(ジャンピング)をする
ライト、室内灯の消し忘れでバッテリーが上がってしまった場合、他の車とブースターケーブル(赤黒2本)をつなぎ、電気を分けてもらうことで、エンジンを始動することができます。
この作業は、ジャンピングスタートと言うのですが、ハイブリッド車やは車の構造上できないので注意が必要です。
トラックとは、電圧が異なるので電気を分けてもらうことはできません。
バッテリーの充電(ジャンピング)の方法
つなぎ方を間違えると危険です。ケーブルをつなぐ場所は車種によって異なりますので、取扱説明書を見て正しい場所につなぎましょう。つなぎ方を間違えると危険です。
まずは2台の車を近くに停めて、ボンネットを開け、エンジンを止めてブースターケーブルをつなぐ準備をします。
1.赤いケーブルをプラス端子につなぐ
バッテリーのプラスの端子には、カバーが付いている場合が多いので、カバーを外してから取り付けましょう。
まず、故障車のプラスの端子に、赤いケーブルの先端で挟むように取り付けます。
次に、救援車のプラスの端子に、赤いケーブルの反対側をつなぎます。
2.黒いケーブルを「金属部分」につなぐ
今度は、救援車の金属部分に黒いケーブルの先を挟むように取り付けます。
上の写真のような、金属製のボルトの部分が最適です。
3.救援車のエンジンをかけて充電
ブースターケーブルが繋がったら、救援車のエンジンをかけて充電します。
必ずP(パーキング)かN(ニュートラル)レンジで、サイドブレーキを引いて、救援車のエンジンをかけます。
少し、アクセルを踏んで回転数を上げて、しばらく充電します。
4.故障車のエンジンをかけてみる
次に故障車のエンジンをかけてみます。
エンジンがかかったら、救援車のエンジンを止めて、つないだ時と逆の順番でブースターケーブルを取り外します。
エンジンがかかっても、すぐにブースターケーブルを外さずに、エンジンをかけたまま十分充電してください。5分から10分ほどで良いでしょう。
このまま走行する事も可能ですが、バッテリーが弱かったり、古くて寿命だと、急に止まってしまったり、エンジンを止めると、再び始動できなくなる場合もあります。
早めに専門店やディーラーで点検してもらう事をお勧めします。
古いバッテリーはどうやって見分けるの?
対処法2.ロードサービス+修理工場を利用しよう
自分での対処が難しい人は、加入している自動車保険会社の「無料ロードサービス」を使いましょう。
自動車保険には、無料のバッテリー充電サービスや、レッカーサービスが付いています。自動車保険証券に、緊急電話番号が書いてあります。
ロードサービスは、利用しても保険等級はそのまま、保険料も上がらないので、安心して利用できます。
充電だけで不安な人は、レッカーで馴染みの修理工場に運んでもらい、点検修理してもらうと良いですね。
ただし、自動車保険のロードサービスは、駆けつけるまでに1時間以上待たされる場合があります。
当社のお客様でも、入庫連絡があってからロードサービスが到着したのが半日もかかったケースがありました。
急いでいるなら、プロの専門業者へ
急いでいるのなら、プロの専門業者に頼むと最速です。
JAFの会員なら、無料。
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深夜早朝でも電話でオペレーターが対応、出張費も0円、面倒な会員登録もありません。24時間365日駆けつけてくれるプロの修理業者なので、ぜひ利用してみてください。
3.「バッテリー以外が故障」の原因と対処法
エンジンがかからない原因は、バッテリー以外にも沢山あります。
1.セルモーターの故障
セルモーターは、エンジン始動させるために働くモーターです。いわゆる、スターターの役目をしている部品です。
エンジンをかけるとき、キュルキュルと音がするのがセルモーターの音です。逆に、キュルキュルと音がするのにエンジンがかからない場合は、セルモーター以外の故障と判断できます。
セルモーターが壊れると、
という症状が現れます。
セルモーターの寿命は10万キロ、10年です。
セルモーター内にはコイルやブラシ、スイッチがありますから、断線したり摩耗すると回線が壊れてしまうんですね。
セルモーターの故障は「叩くと動く」と言われていますが、これは本当です。
セルモーターが接触不良の場合、セルモーターを金属棒(ジャッキアップの棒)などで軽く叩くことで、ブラシがモーターに接触し、一時的にモーターに電気が流れエンジンがかかります。
ただし、応急処理なのでこれで治ってしまうわけではありません。とりあえずエンジンがかかったら、もよりの修理工場に行って交換してもらいましょう。
また、専門知識がない人は、無理に叩いて他の部品を壊しかねません。自動車保険のロードサービスで、修理工場に運んで修理・交換してもらいましょう。
2.オルタネーターの故障
オルタネーターとは、車についている発電機の事です。
オルタネーターが故障すると、
などの症状が現れます。
最近の車は、オルタネーターの電力を使ってECU(車のコンピューター)、燃料ポンプ、燃料噴射装置などを動かしますから、壊れたら新品に交換しなければなりません。
オルタネーターの寿命は、走行距離20万キロと長く、故障はめったにありませんが、20年以上前の古い車に乗っている人は注意が必要です。
自動車保険のロードサービスで、修理工場に運んで修理・交換してもらいましょう。
3.ヒューズが飛んでいる
車に取り付けられているヒューズは、規定以上の電流が流れた時切れるようになっていて、電気回路や電装品を守る目的で取り付けられています。
このヒューズが飛んでしまうと、エンジンはかかりません。
ヒューズは、だいたいの車の足元と、エンジン内の黒いヒューズボックス内に取り付けられています。ヒューズは自分でも交換できますが、専門知識のない方は自動車保険のロードサービスで、修理工場に運んで修理・交換してもらいましょう。
4.燃料ポンプの故障
車のガソリンを供給する燃料ポンプが故障すると、エンジンがかからない状態になります。ガソリンが供給されないので、車が動かないのは当たり前ですよね。
燃料ポンプが故障すると、走行中にかなり大きな異音や振動があります。
エンジンが停止すると、燃料ポンプを交換しない限り動きませんので、自動車保険のロードサービスで、修理工場に運んで修理・交換してもらいましょう。
5.イグニッションコイルの故障
イグニッションコイルは、エンジンを動かすための点火を行う重要部品です。イグニッションコイルが壊れると、エンジンがかからない状態になります。
イグニッションコイルが壊れると、メーターパネル内にポンプのような形をした「エンジンチェックランプ」が点灯します。
などの症状があったなら、イグニッションコイルの破損が疑われます。
自動車保険のロードサービスで、修理工場に運んで修理・交換してもらいましょう。