3軒のプロのぶどう農家のアドバイスのもと「シャインマスカットの育て方」の貴重な知識や体験を家庭菜園用に季節ごとにまとめました。
月別の栽培作業や、消毒防除時期が解る「栽培 年間カレンダー」も作成。ぜひ、お役立てください。
消毒だけに特化した、消毒時期・消毒カレンダーでは、詳しい消毒時期・ぶどうの病気・気をつけたい季節ごとの病害虫も解ります。
NEW!! 2023年栽培7年目、新たなシャインマスカット消毒カレンダーを作りました。ぶどう棚が大きくなってきた方は必見です。
目次をタップすると開きます。知りたい月の作業にお進みください。
シャインマスカットの育て方シャインマスカットの育て方 年間カレンダー★家庭菜園 栽培のコツ・消毒時期
苗を植えよう!!
苗の選び方
私が購入したのはホームセンターですが、当時は「シャインマスカットの苗」は珍しく、プロのシャインマスカット農家の叔母も「いい苗だね~」と、買いに行ったものです。
しかし近年、高級シャインマスカットの美味しさが全国に知れ渡り「質の良くない苗」が市場に出回るようになりました。
私の親戚のプロのぶどう農家3軒も、信頼ある苗店で「シャインマスカットの苗」を手に入れるようにしています。
苗木は、枝は葉がしっかりついているもの、ひげ根が多く付いているものを選び、返品可能なJAや評価の高い苗木専門店などで購入しましょう。
植える場所と時期
シャインマスカットの植え付け時期は、11月~3月です。
日当たりが良く水はけのよい場所に植え、風当たりの強い場所は避けましょう。
家庭菜園の場合、手に入りやすい「牛糞」「鶏糞」「化成肥料」を土に混ぜてから植え付けると良いです。
我が家(関東地方)は、午後しか陽が当たりませんが順調に育ちました。寒い時期は、根元に藁を巻いて防寒しています。
【我が家の2年目のぶどう棚】
ぶどう棚は3~4mです。
【我が家の4年目のぶどう棚】
ぶどう棚に7mほど伸びました。
【 我が家の5年目のぶどう棚】
ぶどう棚に8m以上になりました。
1.2.3年目の型の作り方や、剪定方法はこちらのページで詳しく解説しています。
1月・2月のシャインマスカットの育て方
寒い冬を迎えたシャインマスカットは、すべて葉が落ち、夏の間に伸びた枝がそのままになっています。
1月は「冬の剪定」を行い、ぶどうの房が上手につくよう切り詰める作業を行います。
また、前年度に「黒とう病」や「べと病」がひどかった場合、剪定後にすぐ消毒を行います。
1月 中旬~下旬 冬の剪定
「冬の剪定」は、1月中旬~下旬に行います。
家庭菜園でのぶどうの剪定は難しく考えがちですが、基本やコツを守れば素人でも失敗することはまずありません
古い枝から、昨年、新たに伸びた枝「基定芽」を10cmほどを残して切ることがコツ。基定芽で切ってしまうと、花穂(ブドウの実)が少なくなる傾向があるので注意が必要です。
詳しいシャインマスカットの剪定方法は別ページで、1・2・3年目ごとに解り易く図で解説しています。
実際の剪定の様子はこちら
1~2月 ぶどうの粗皮削りで病害虫駆除
5~6年目を迎えたシャインマスカットの木は、樹齢がかさみ木の皮が剥げて、かさぶたがはがれたようになってきます。
この皮と皮の間に、害虫が卵を産んだり病原菌がはいるので、5~6年目のシャインマスカットの木の皮は、剥いて削る作業が必要です。
詳しいぶどうの粗皮削りの方法は別ページで詳しく紹介しています。
3月のシャインマスカットの育て方
春になり、すこし暖かくなり冬眠していた菌が目を覚ます時期です。
この時期は、ぶどうの新芽は出ていませんが、しっかり消毒を行いましょう。
うっかり春に剪定したら、切り口から水が!!
という方は、ぶどう剪定時期に注意★切り口から水が!!止める方法は?ぶどう樹液化粧水の作り方を参考にしてください。
4月のシャインマスカットの育て方
4月になると、いよいよ萌芽が枝の節に沢山出てきます。この時期に「芽かき」をきちんと行うことで、梢の勢力をそろえてよい枝や房が実ります。
芽が生えそろったら、予防のための消毒を1回行いましょう。
4月中旬 芽かき
芽かきは4月中旬に行います。芽かきをする事で、育てたい枝に栄養を集中させることができます。
「芽かき」のコツは、勢いの良い2つの芽を残すことです。
どの芽を落としてよいか迷ったら、上下の方向に生えた芽をカットします。横に伸びたほうが、ぶどう棚に誘引しやすいからです。
上下に伸ばすと、びよ~んと収拾がつかなくなってしまいます。
詳しい「芽かき」の方法は、ぶどうの剪定方法★シャインマスカット1.2.3年目ごとに図で解説・剪定時期・芽かき・摘心・誘引で、詳しく解説しています。
5月のシャインマスカットの育て方
5月の栽培作業は多いので、解りやすく時系列に並べました。
- 5月上旬1.消毒 1回目
- 中旬2.誘引と捻枝(ねんし)
- 中旬3.消毒 2回目
- 下旬4.花穂成形(ふさづくり)
- 下旬5.消毒 3回目 ジベレリン1回目直前
わ~めっちゃ多いですよね。
私が、この作業をすべて行ったのは「シャインマスカット4年目」からです。1~3年はそれほど大きく育たないので、手入れも簡単なので大丈夫です。
でも枝が太くなり勢いが付く4年目ころからは、棚いっぱいに枝葉が広がり、きちんと手入れをしなければ病気にかかります。
しっかりお世話をすれば、沢山のシャインマスカットが収穫できるので頑張ってくださいね。
それでは、1つずつ解説していきます。
1.5月初旬~下旬 消消毒3回★黒とう病/晩腐病/べと病
5月は、黒とう病/晩腐病/べと病予防に「合計3度」の消毒を行います。
シャインマスカットにとって梅雨前は病気防除の大切な季節、消毒遅れは命取りになります。しっかり消毒を行いましょう。
2.5月中旬 誘引と捻枝(ねんし)
シャインマスカットは5月中旬をすぎると、小さなぶどうの房が実ります。
枝葉が一気に伸び展葉9~10枚になります。
家庭菜園で、初心者がいちばん困るのがこの時期です。
枝が一気に伸びて、空に向かって伸びたり、地面に向かってのびたり。
どうしたらいいんだ~状態になります。
伸びた枝をぶどう棚に留めようとして、ぽっきり折れてしまうことは初心者にありがちです。
枝が折れないよう、上手に誘引・捻枝(ねんし)しなければなりません。
誘引を上手に行う秘訣は、枝をねじることです。
ねじることで、枝が柔らかくなり誘引しやすくなるんです。
誘引後は、ブドウの房が棚の下にくるよう留めてあげましょう。
初心者向けの「誘引の方法、ねじり方のコツ」は、別ページで写真と動画で解説しているので参考にしてください。
3.5月下旬 花穂成形(ふさづくり)
花穂整形は、5月中旬から6月上旬のまでのブドウの開花10日ほど前に行います。
といっても、いつ花が開くんだ~?となりますよね。
ブドウの開花が近くなると、花穂の色が深い緑色から薄い黄緑色に変化してきます。
実(花蕾からい➡ ぶどうの粒の赤ちゃん)の部分が膨らんで丸みを帯び、花穂の段の隙間が広くなってきます。
「開花1週間前」とはちょうどこの時期の事です。
シャインマスカットの花穂整形は、主穂の下3.5センチ~4cmを残し切り取ります。
シャインマスカットの花穂整形の時期と「房づくり」の方法は、別ページで詳しく解説しています。
6月のシャインマスカットの育て方
6月はいよいよ、ジベレリンの季節です。ジベレリンで房が大きくなったら、間引き(摘粒)作業、カサかけ、袋掛けもあるので気が抜けません。
それに加えて、梅雨の天候不順の病気発生に注意しなければなりません。長雨が予想される場合は、黒とう病・晩腐病などの追加散布をし、カサ・袋掛けは早めに行いましょう。
6月の栽培作業も多いので、解りやすく時系列に並べました。
- 5月下旬~
6月上旬1.ジベレリン1回目開花時~3日目ぐらいが目安
- 6月中旬2.消毒
- 6月中旬3.ジベレリン2回目
1回目から10~15日後
- 6月下旬4.粒抜き・間引き(摘粒)
- 6月下旬5.消毒
袋掛け直前
- 6月下旬7.カサ、袋掛け
1.6月上旬~中旬 ジベレリン2度
ジベレリンは5月下旬~6月上旬で、日数を開けて2度行います。
1回目の目安は、開花時~3日目ぐらいが目安です。
二度目のジベレリンは、1回目のジベレリンから10~15日後に行います。
- 5月下旬~ジベレリン1回目
満開時~満開3日後に行う - 6月上旬ジベレリン2回目
満開10~15日後
こちらは、ジベレリン処理後、3週間たった我が家のシャインマスカットです。みごとに膨らんできてますね。
家庭菜園でも美味しいりっぱな「種なしぶどう」が作れます。
ジベレリン処理の方法、使用するジベレリン薬剤については別ページで詳しく解説しています。
2.6月初旬~下旬 3~4回の消毒
6月は初旬から下旬にかけて「3~4回」の消毒を行います。
病気がひどいときは、必要に応じて薬剤散布を増やします。
6月の梅雨時期は病原菌が広がりやすいので、消毒をうっかりしてしまうと命取りです。プロのシャインマスカットの叔父には、1週間おきに散布をするよう言われました。
天気予報と、ぶどうの葉の健康状態を見ながら、消毒の回数を増やすと良いですね。
特に、袋掛け直前は念入りに消毒をしましょう。
3.6月下旬 粒抜き・間引き(摘粒)
摘粒(粒抜き、間引き)は、6月中旬から7月上旬にかけて行います。ちょうど、ジベレリンが終わり、ぶどうの粒が大きくなってきた頃です。
粒が大きくなってからだと、粒間がぎゅうぎゅうでハサミが入りません。
粒間に隙間があってハサミが入れやすい時期に行うと簡単にできます。
摘粒のコツですが、ぶどうの粒は大きくなると垂れ下がり、下の粒を圧迫する事が多いです。
綺麗な逆三角形の房の作り方、粒の数え方などのシャインマスカット摘粒方法「粒抜き/間引きのコツ」は、別ページで詳しく解説しています。
4.カサ・袋掛け
「カサかけ」は梅雨に入る前に早めに行います。梅雨に入ると感染の元となる菌や胞子が、雨で飛び散り広がります。
梅雨入りが早かったら、「カサかけ」だけ、摘粒前にすることをお勧めします。
摘粒後は「袋掛け」を行い、房全体を包めば菌や胞子が入り込まずきれいなぶどうが収穫できます。
袋掛けが遅れたため、ブドウの収穫量を減らして大失敗した経験があります。
べと病の消毒は梅雨前に念入りに行い、すぐに袋掛けを行いましょう。
詳しくは、ぶどうの傘かけ・袋掛けの時期と、遮光ネット日焼け対策の方法で解説しています。
7月~8月のシャインマスカットの育て方
6~7月のぶどう棚は、一言でいえば「うじゃうじゃ」です。初夏の剪定をしてあげましょう。
1.~7月 初夏の剪定(摘心)
6月~7月にかけて葉が勢いよく伸びてきたら、先端の伸びを切って抑える「摘心」をします。「摘心」をする事で、脇芽の成長を促し頑丈な枝になり、実も大きく育ちます。
家庭菜園の簡単な「摘心」の方法は、葉12枚目の枝先を切り落とすこと。脇枝は葉を1枚残して切り取ることです。
できるだけ、風通しを良くし、重なった葉は切り落とします。すべての葉が光合成できるようにしましょう。
シャインマスカット農家のプロの「摘心方法」は別ページで詳ししく解説しています。
2.消毒 (べと病・黒闘病・害虫 必要に応じて)
7~8月は、害虫発生が多い月なので、農薬散布を行います。
また、病気が発生した時は、必要に応じてべと病・黒とう病などの薬も追加散布しましょう。
7月に我が家で発生した「ハダニ」の防除方法は、ぶどうの葉の病気?葉が枯れる・ぶつぶつするのは「ハダニ」の仕業だった!!で解説しています。
3.暑い日は水まき
シャインマスカット農家では、暑く乾燥が続く日は毎夕30分余り、ぶどう棚下にスプリンクラーで水まきを行います。家庭菜園でも水やりをするようにしましょう。
9月~12月のシャインマスカットの育て方
1.9月 収穫
9月上旬から中旬は、いよいよシャインマスカットの収穫時期です。
本当は、家族が集まるお盆に収穫できれば嬉しいけれど、シャインマスカットはぶどうの中でも収穫時期が一番遅いほうなんです。
収穫のタイミングですが、農家では糖度計を使うのですが、我が家ではそんなものはありません。
袋掛けの隙間を少し開いて、毎日一粒食べて判断です(笑)
後日、シャインマスカット農家の叔母に測ってもらったら出荷既定の18度を超えていてお褒めの言葉を頂きました。
収穫時期を逃すと黄色っぽくなります。でも黄色い方が糖度が高く激甘なのでお好みでどうぞ。
こちらは5年目に我が家で収穫したものです。
フルメットなしのジベレリンだけで、この大きさ!!立派でしょ~(^^♪
娘たちに送りました。
2022年は、↓JAアグリさんで梱包袋を購入し、見た目をグレードupさせました。
シャインマスカット農家さんのようですね。
シャインマスカットの収穫時期や、収穫の目安とタイミングについては別ページで詳しく解説しています。
2.9月下旬~10月 さび病の消毒
9月から10月は、さび病に注意です。
この時期、収穫が終わったらすぐに、予防のために消毒を行うと良いですね。
ぶどうの病気「さび病」の薬剤と防除法は別ページで詳しくお話ししています。
3.10月下旬 害虫駆除
10月以降に発生するブドウカシスバや、ぶどうトラカミキリが発生し、柔らかい枝の中を食べ進んでしまうので、スミチオンでの消毒散布が必要です。
詳しい害虫駆除方法は、こちらです。
4.収穫後~12月のシャインマスカット
シャインマスカットの肥料について
プロのシャインマスカット農家の叔父に聞くと、収穫後すぐに肥料を与えているそうです。家庭菜園の場合は、ほとんど肥料は必要ないとの事。あまり肥料を与えすぎると実がならなくなるとの事でした。
特に、我が家のシャインマスカットは菜園横に植えてあり、春に追肥を行っているのでまったく必要ないとの事です。使っている肥料は、石灰・窒素系化成肥料・鶏糞でした。
それでも、5年目に「牛糞」をはじめて菜園にまいたところ、ブドウの葉が大きく育ち、房がいつもの倍実ったので効き目があったのかと思います。
ところが、6年目、菜園にナスやキュウリを植えたため、窒素系の肥料(鶏糞・化成肥料)を、シャインマスカットの根元に2度追肥したところ、カルシウム不足で「かすり症」を発症。
JAアグリに相談したところ、基本的にシャインマスカットの肥料は牛糞でOK。ただし、窒素成分が多い肥料は好まず「かすり症」の原因となることが解りました。
このため、10月~11月の落葉前に牛糞散布、つづけてカルシウム散布、微量要素散布を行ったほうが良いとの事でした。
詳しくは、シャインマスカットに茶色いしみ!! 「かすり症」の原因と対処方法で解説しています。
微量要素散布についてはこちら
落ち葉の片付けについて
昨年は、べと病にやられたため冬は「ぶどうの落ち葉」のかたつけをしっかり行いました。
プロの農家さんでも、病気になった年は菌が生き残らないよう「落ち葉」を集め、埋めて腐葉土にしたり、焼却するそうです。
焼却した灰は草木灰として畑にまき、再利用することが可能です。
我が家は、ごみ袋に集めて捨てました。
以上、1年間のシャインマスカット栽培作業は終わりです。長文お読みいただいてありがとうございました。また有益な情報がありましたら、随時UP予定です。
それでは、楽しいブドウづくり頑張りましょう。今年は梅雨が早く開けますように(^^♪
まとめ シャインマスカットの育て方 年間カレンダー★家庭菜園 栽培のコツ・消毒時期
時期 | 栽培作業 | 防除/消毒 |
1月中旬~下旬 | 冬の剪定 | / |
3月下旬 | / | ◆殺菌消毒×1 (前年ひどかった場合) |
4月中旬 芽が出てきたころ | 芽かき | ◆殺菌消毒×1 (前年ひどかった場合) |
5月中旬 展葉9~10枚 | 誘引 | ◆殺菌消毒×1 |
5月下旬 開花直前 | 摘心 | 5月の消毒 ◆殺菌消毒×3回 |
開花10日前 | 花穂整形 | |
6月上旬 開花 | ジベレリン1回目 | 6月の消毒 ◆殺菌消毒×3~4回 |
1週間~10日後 | ジベレリン2回目 | |
6月下旬 | カサかけ 袋掛け | ◆袋掛け直前 殺菌消毒 |
7月 | 初夏の剪定(摘心) | 7月の消毒 ◆殺菌消毒×1~2回 (必要に応じて) |
8月 | 8月の消毒 ●害虫駆除消毒 ◆殺菌消毒×1~2回 (必要に応じて) | |
9月~11月 収穫 | 9月上旬~ | 9月の消毒 ●害虫駆除消毒 ◆殺菌消毒×1~2回 (必要に応じて) |
12月 | 枯れ葉の処理 |
●消毒➡害虫駆除(スミチオン乳剤)
参考文献 山梨県農研機構果樹研究所 住友化学園芸 神奈川農業技術センター
3軒のプロのぶどう農家のアドバイスのもと「シャインマスカットの育て方」の貴重な知識や体験を家庭菜園用に季節ごとにまとめました。
月別の栽培作業や、消毒防除時期が解る「栽培 年間カレンダー」も作成。ぜひ、お役立てください。
消毒だけに特化した、消毒時期・消毒カレンダーでは、詳しい消毒の内容・病気・気をつけたい季節ごとの病害虫も解ります。