車のローンは「完済前」に名義変更はできるの?という問い合わせをよくいただきます。
◆車のローン中、完済前に名義変更はできますか? ◆買ってすぐに、別の人に名義変更できますか? ◆ローンが残っているのに、借り換えできますか? ◆車のローンが終わっても名義変更しない人は多いですか? ◆車のローンが終わっても名義変更しないことで、支障がありませんか? ◆車のローンは、離婚したらどうなるの? ◆車のローン中、使用者が病気になったり死亡した場合は? ◆車検が切れていても名義変更できますか? ◆残一括返済したのにローン会社から連絡がきません。 ◆車の所有権解除の方法や手順を知りたい。 ◆車の所有権解除の値段はいくら? |
今日は、こういった「ローン完済前」の名義変更の様々な疑問について解決していきます。
陸運局認証車検工場・新車中古車販売店を営むオートディラーの「長嶋」が50年の営業経験をもとに解説していきます。
車のローン、名義変更は「完済前」にできる?
車のローンは「完済前」でも名義変更をする事が可能です。
ただし条件があります。まずは自分が当てはまっているか確認してみましょう。確認の仕方は、車検証を見るだけで簡単に確認できます。
確認の方法
1.ローンを支払っている車の車検証を見ます。
2.使用者欄は自分(ローンを払ってる人)の住所・氏名があるはずです。 |
◎名義変更できる | 所有者欄が「使用者に同じ」/自分の名前だった場合 |
×名義変更できない | 所有者欄がローン会社の名前/ディーラー名だった場合 |
写真の車検証のように、所有者欄が「使用者に同じ」または、自分の名前だった場合はローンが残っていても名義変更が出来ます。
しかし、所有者欄にローン会社の名前やディーラーの名前が入っている場合、ローン完済前に名義変更をする事はできません。
これは「所有権留保」といって、ローンが完済するまで「車の所有権」はローン会社にある為、名義変更はできません。
ローン会社の所有権留保とは
銀行や信用金庫で車のローンを組んだ場合、「所有権留保」は付いていません。その為、ローン完済前でも所有権解除ができます。
しかし、ディーラーや信販会社は、比較的甘い審査で借りられる為、「所有権留保」が付いている場合が多いです。
車の代金は、あなたに代わってローン会社が全額立て替えて支払っています。「所有権留保」はいわば担保のようなもので、万が一ローンの返済が滞った場合、「車の所有権」はローン会社にあると主張するものです。
ですから、どうしても返済できなくなった場合、ローン会社は容赦なくあなたから車を引き揚げていきます。
実際当店でも、ローンが支払えなかった為、容赦なく車を引き揚げられたお客様がいます。現実は厳しいですよね。
ローンが残っていても「名義変更」が出来る場合
「所有権留保」の付いた車は、ローンを完済しない限りは名義変更はできません。
たとえば、ローンで購入後すぐに、
・急に車が必要なくなった。 ・お金が必要になった。 ・乗り換えたい |
などの場合でも、すぐに名義変更が可能で、車を自由に売り買いする事が出来ます。
車検証の所有者欄が自分であれば、いつでも名義変更できるって事?
そのとおり。所有者がローン会社でなければ大丈夫です。
銀行や信用金庫などで借り入れた場合は、「所有権留保」は付いていません。もちろん、抵当権なども付いていないので、
↓
名義変更が出来る
と言う事です。
お客様の中に、5年ローンを組んでスポーツカーを購入した方がいます。でも装備が満足できずにすぐに売ってしまいました。
この場合も「所有権留保」が付いてなかったので売買できたのです。その後、別の車を購入しましたが、最初のローンは今でもきちんと支払っているそうです。
ローン完済後、名義変更しなくていいの?
ローンを完済すると、名義変更が出来るようになります。私たち業者はこれを「所有権解除」と呼んでいます。
しかし、ローン完済後に「所有権解除」の手続き依頼をされるお客様はほとんどいません。
え?そのまま乗り続けてもいいの?
はい、何も問題はありません。
ローンを完済しても、ほとんどの方がローン会社の名義のまま乗り続けています。
というのも
・ローン会社の所有権が付いているのを知らない・忘れている ・所有権解除をするのにお金がかかる ・そのまま乗っていても特に支障がない |
という理由からです。
実際、そのままのっていても何も支障はないですが、次に当てはまる方は名義変更を行う必要がありますので、見て行きましょう。
車のローン「所有権解除」の方法
すぐに名義変更(所有権解除)が必要な人
ローン支払い後、次のような人はすぐに所有権解除をする必要があります。
・完済後、車検証の名義をすぐに自分にしたい ・車を乗りかえたい ・車を売りたい ・子供や親せき、友人に譲りたい |
所有権解除の方法
まずは、車を購入した販売店に連絡して所有権解除の手続きをしてもらいましょう。
所有権解除は、業者によって料金が異なりますが15,000円~20,000円かかります。
自分で所有権解除をしたい場合
自分で所有権解除をしたい場合は、次の手続きが必要です。
ローンの完済時期が迫ると、「名義変更に関するご案内」がローン会社から届きます。
それに従い、ローン会社に電話、車検証のFAXをします。数日後、「所有権解除に必要な書類」をローン会社から自宅に送られてきます。
書類の中身は、
・あなたに車を譲りますという「譲渡書」 ・ローン会社の「印鑑証明」 ・ローン会社の「委任状」 |
などの、重要書類が入っています。
※この書類には期限があります。紛失すると再発行してくれない事もあるので細心の注意が必要です。
次に、あなたが用意する書類は
・車検証 ・印鑑証明 (自分でする場合は、自分の委任状はいらない) |
です。これを持って、普通車の場合は管轄の「陸運事務局」、軽自動車の場合は「軽自動車協会」へ行って、名義変更の手続きをします。
軽自動車を自分で名義変更する方法はこちらから↓
車のローン借り換え/名義変更
離婚の場合の借り換え/名義変更は?
「離婚して別れた妻が車を乗っていってしまった。ローンを別れた妻が支払うようにできませんか?」という相談を受ける事があります。
ローンの名義変更は、特例として使用者が死亡したり病気などの場合が認められる事がありますが、離婚の場合は名義変更をする事が出来ません。ローン代金は、夫がずっと払い続けなければなりません。
どうしてもローン代金を払いたくない場合は、妻から車を回収して業者に買い取ってもらい、その代金でローンの返済をするしかありません。
所有権が付いている場合は、そうもいきませんから、いったんローンを一括返済するしかありません。
完済後は、ローン会社の所有権が解除されるので車を自由に売り買いできる状態になります。別れた妻に売るなり、業者に買い取ってもらうなど出来るようになります。
一括返済するお金がない場合は、困りますね。ローンを組んだ車屋さんや知り合いの買取業者に相談してみましょう。
ここだけの話し、買取金額を先にローン会社に立て替えてくれる業者もいます。ただし、一括返済できるほどの価値が車になければ話になりません。買取金額が、ローン一括返済の金額に満たなかった場合、自分の貯金を足して支払ってもらう事も出来ます。
その場合、買取業者にお金を預けなければなりません。お金を持ち逃げされても困りますので、信頼ある業者を選ぶ事が大切です。あくまでも自己責任で行いましょう。
逆にローン残額は本人にしか解りません。あなたが嘘の残額を言っている場合もあるので、普通なら完済していない車は買取を拒否されるケースがほとんどです。
「死亡・病気の場合」の借り換え/名義変更は?
使用者が死亡したり病気などの場合は、特例として新使用者を名義人にしてローンを組みなおすことができます。
ただし、新名義人は同居している親や兄弟、姉妹のみで債務を引き継ぐという形になります。
ローン会社よって手続き方法や条件の違いがありますので、問い合わせてみましょう。
車検が切れているのに名義変更できますか?
ローンは完済しているけれど、車検を切らして放置してしまった車を廃車したい。または、友人に譲りたいけれど、名義変更できますか?などの問い合わせをいただきます。
もちろん、車検が切れた車でも名義変更は可能です。
完済したのにローン会社から連絡がこない
ローンの完済時期が近づいたり、一括返済するとローン会社より「所有権解除に関するお知らせ」が届きます。
しかし、ローン会社によっては個人情報保護法の関係で顧客本人が問い合わせない限りお知らせが届かない場合もあります。
完済後に、ローン会社が勝手に名義変更してくれればよいのですが、自動的に、ローン会社が所有権解除をしてくれることはありません。
待っても、お知らせが届かない場合は、自分から問い合わせてみましょう。
まとめ 車のローン「名義変更は完済前にできる?」
・車のローンが完済前でも名義変更はできる。 ・ただし、「所有権留保」が付いていない車。 ・車検証の所有者欄がローン会社だと、ローンが残っている間は名義変更できない。 ・「所有権留保」がなければ、買ってすぐに名義変更できる。 ・ローンが残っていても、「所有権留保」がなければ乗り換えられる。 ・離婚後は、基本的にローンの名義変更はできない。 ・死亡・病気の場合は特例として条件付きで名義変更できる場合がある。 ・車検が切れていても名義変更できる |