車を購入する際、個人事業主のお客様から「車のローンは、経費でおとせるの?」とよく聞かれます。
「ローンは経費で1円も落ちない」という間違った情報をよく耳にしますが、ローンでもきちんと計上すれば完済していなくても多額の経費を落とすことが出来ます。
今日は、「車をローンで購入した時の経費の落とし方」について、税理士さんの意見も交えて様々な疑問について解説していきます。今から車を購入したい方のヒントや疑問を解決できるでしょう。
案内するのは、保険代理店・運輸局認証車検工場を営むオートディラーの「長嶋」です。50年の経験をもとに実際に起こった事故トラブルの解決方法を解説しています。
個人事業主 車のローンは「経費で落ちるの?」車屋さんが教える申告での落とし方
車のローンは経費で落とせますか?
車のローンは1円も経費で落とせないって聞いたけど本当ですか?
「車をローンで買うと、1円も経費で落ちない。落とせるのは利息だけ」という、誤った情報をよく耳にします。
確かに、月々口座から引かれるローンの金額は、そのまま経費として計上できません。
なぜなら、車の購入費用は「減価償却費」という特別な方法で計上して落とすからです。
これは現金一括で購入した場合もローン支払った場合も同じで、ローンだけが経費で落とせないなんて馬鹿げた話はありえないのです。
ただし、個人事業主の場合、家事按分(かじあんぶん)といって、プライベート使用で使用している割合を差し引いて経費に計上します。
例えば、日曜だけプライベートに利用する場合、1/7だけ経費に計上できます。
青色申告書 減価償却欄と利子割引料
↑は個人事業主用の「青色申告書」です。
これを見ると、ホント頭が痛くなりますよね。
それはさておき、申告書を見ると確かに「減価償却費」の欄がありますね。
ローンで支払っていても、ここに、きちんと計上すれば経費で落とせるのです。
減価償却費に変えてから経費として落とす➡「直接」経費で落とせない➡経費で落とせない?
と言う具合に勘違いされてしまったのかもしれませんね。
いうわけで、お世話になっている税理士さんの言葉をまとめると・・・
と言う事です。
ローンも「減価償却」を使ってきちんと計上すれば、1年間のローンの支払い以上に多額の経費がおとせるお客様もいらっしゃいます。
では、その「減価償却」とはどういった方法なのでしょうか?
計算の方法も解説しますね。
減価償却費ってなに?
車は高額なので、購入したら固定資産、財産となります。
でも、数年にわたって使用していくうちに、価値が低くなっていきます。
この減った分を毎年経費として落としていく方法が「減価償却」です。
上の図は150万円の軽自動車を購入し、毎年均等に減価償却した図です。(定額法)
毎年、375,000円の減価償却費を経費で落としています。ローンでも現金でも同じです。これは、最初の購入額150万円が差引ゼロになるまで続けられます。
でも、減価償却費はどうやって計算するの?
減価償却の計算の方法
車の減価償却は次のように耐用年数が決められています。耐用年数とは、車が利用に耐える年数のことで、減価償却の金額を決める計算に使われます。
先ほどの、新車で購入した150万円の軽自動車を例に挙げて計算してみましょう。
軽自動車は新車ですと4年の耐用年数があるので、国税庁の「減価償却資産の償却率表」で確認すると定額法で、償却率は0.250だと解ります。
難しくなってきたぞ~なんで考えないでくださいね。とても簡単です。
↓
計算の仕方は簡単です。
1年間の減価償却費
150万円×0.250=375,000円
まあ~、意外に簡単なんですね。
そうです。1年間に落とせる金額は、現金払いでもローンでも375,000円と言う事になります。
ですから通帳から引かれているローンの支払いまで落とすと2重計上になってしまいます。車の購入は減価償却でおとしましょう。
現金一括とローンではどちらがお得?
俺は、キャッシュで150万払ったのに375,000円しか落とせないのか?
そのとおりです。ローンでも、現金一括でも375,000円しか落とせません。
あら、私は5年ローンで毎月25,000円払っているわ
5年ローンの場合、利息を省いて均等に払った場合、毎月引落しが25,000円になります。
1年間の支払いは、25,000円×12カ月=30万円
1年間に30万円の返済なのに、確定申告では375,000円も落とせると言う事になります。
あれまぁ、キャッシュの俺は損した気分だぜ!!
減価償却できちんと計上すれば、ローンの支払い金額より多額の経費が落とせるし、ローンを完済していなくても計上できると言うわけです。
だからといって、ローンが良いと言うわけではありません。ローンには金利がかかります。現金一括で支払った方が余計な経費は掛からないのは当たり前の事なのです。
法人は、一般的に定率法を使う
法人の場合、原則とて定率法を使う事が定められています。
定率法の場合、初年度の減価償却額を大きく設定でき、年々減価償却額を小さくできるメリットがあるので、売り上げが多い年の節税対策にもなります。
定額法で計算したい場合は、別途届出を行うことで可能になります。
車のローン経費/仕事で8割使う場合は?
事業用に8割しか車を使わず、あとは家庭で使っている場合も、経費に計上できます。
その場合、減価償却費は仕事に使っている80%を計上します。
↓は、青色申告書の2枚目です。
減価償却費の計算は、ここに記入して行います。ここで計算した金額を1枚目の「減価償却」欄に記入することで、経費として落とすことが出来ます。
白色申告の場合は「収支内訳書」の2枚目にあります。
⑤の専用割合の部分を80%と記入します。
375,000円×80%=300,000円が減価償却として経費で落とせます。
ちなみに①の「定額法」は、個人事業主/自営業の人が使う償却率です。
法人の方は、ここは「定率法」となり償却率が変わってきます。この料率のほうが初年度に大きな金額が経費として落とせます。国税庁の「減価償却資産の償却率表」
車のローン経費/途中から仕事に使う場合
1年の途中で購入した場合
◆6月に購入したから6カ月しかたってない。
上の青色申告書の④の月数を「6」と記入します。
半年しか使っていないので、もちろん減価償却費も半分で計上します。
3年使ったマイカーを事業用に変更した場合
◆3年前にマイカーローンで買った車を仕事に使う場合。
業務に使っていなかった車の計算方法は、少し特殊です。旧定額法を使うなどちょっと難しいです。簡単な公式を作りましたので興味のある方は計算してみてください。
普通車の場合 0.111
軽自動車の場合 0.166
購入車両金額×0.9×0.111×仕事に使っていない年数=使用前の減却額A
購入車両金額-使用前の減却額A=今の資産額
◎仕事に使っていない年数は、6カ月以上は切り上げ(2年6カ月の場合は3年)
ここまでできたら、「今の資産額」をもとに、これまでどおりの減価償却費を計算します。
例えば300万円の新車(普通車)を2年3カ月前に購入した場合
300万×0.9×0.111×2年=599,400円→2年3カ月で償却した額 300万-599,400円=2,400,600円→現在の資産額
ここから、やっと減価償却計算に入ります 普通車は6年の耐用年数/償却率は0.167
2400,600×0.167=400,900円 400,900円が減価償却費として経費で落とせます。
車のローン経費/中古車の場合は?
中古車をローンで購入した場合も、もちろん経費で落とせます。
この場合、減価償却の耐用年数が少し変わってきます。
中古車の耐用年数 ◆法定年数を経過したもの
法廷耐用年数×20% ◆法定年数を経過してないもの
法廷耐用年数-経過年数+(経過年数×20%) ↓ 派数は切り捨て 2年以下のものは2年として計算 |
なんだか難しいわね~
おおざっぱにいうと、中古車の場合法定耐用年数から、経過した年数を引く感じです。
2年落ちの中古車
法定耐用年数6年-経過2年=耐用年数は4年
でも、細かく計算すると下のようになります。
所有権が付いていても経費で落とせるの?
車のローンの場合、ディーラーやクレジット会社の所有権が付くことがあります。その場合、車検証の所有者欄が自分ではなく、ディーラーやクレジット会社の名前になっているはずです。
所有権が自分でなくても、ローンは経費で落とせます。
あくまでも、毎月支払っているローン返済額ではなく、車両代金を減価償却した金額が経費から落とせます。
車両以外で経費で落とせるものは何ですか?
車両以外で経費として落とせるものは沢山あります。
減価償却として扱うもの | 普通の経費として落とせるもの |
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車両金額 納車費用 オプション費用 | 自動車税・重量税・取得税 自賠責保険 登録費用(車庫・名義変更) |
その他、ガソリン代・駐車料金・自動車保険料・車検代金なども経費として落とすことが出来ます。仕事に80%しか使わない場合は、この経費も80%をかけたものを掲示用する事が出来ます。