近年、高齢者の事故が増え、安全装置などの運転支援装備付きの車に注目が集まるようになりました。
これから車の「購入・買い換え」を考えている高齢者に「高齢者に最適な軽自動車」の選び方やコツを解説しています。
どんな車を高齢者にすすめたらよいのか悩んでいるご家族にも、高齢者にぴったりの車種が解ります。
案内するのは、新車中古車販売・国土交通省/陸運局認証車検工場を営むオートディラーの「長嶋」です。50年の経験をもと実際に起こったトラブルや解決方法を解説しています。
高齢者に「おすすめの軽自動車2024」購入、買い換えの際に選ぶ必須ポイントを紹介
高齢者は、年齢とともに反射力や判断力が低下してきます。
自分は、ままだまだ大丈夫と過信したり
「免許センターで誉められた」なんて喜んでいても、身近にいる家族から
お爺ちゃんの運転怖いって言われた。
車の擦り傷が多くなったけれど大丈夫?って言われた。
など、家族から心配され、車の運転に自信をなくしている高齢者も少なくないはずです。
など、少しでも車の運転に自信がないと感じたら、そろそろ免許証の返納を考えたいところです。
しかし、高齢者と言っても60代、70代であれば、まだまだ若いし家族も頼りたい年代です。
車が不可欠な地域だったり、送迎をしてくれる家族がいない場合は、車を手放すことはできません。
今、車の購入や買い換えを検討しているなら、家族や高齢者が安心して乗れる車を検討したいですね。
高齢者にお勧めな軽自動車の条件
「軽自動車」といっても
など様々です。
う~ん。
どれを、すすめればいいのかな?
どんな車を選んだら良いか迷いますね。
それぞれ好みもありますが、高齢者には次の7つのポイントを押さえた車がおすすめです。
ポイント1 乗り降りが楽な車を選ぼう
高齢者にとって、日々の車の乗り降りは重労働です。
ジープ系の車は車高が高く、乗り降りが困難です。高齢者にはなるべく小型で、乗り降りが楽な低床フロアの車がおすすめです。
ポイント2 安全装置付きサポカーを選ぼう
高齢者が車を買うなら、安全装置付きの車は外せません。
高齢者に限らず、今は安全装置付きの車を購入するのが当たり前の時代になってきました。政府も、安全性の実験を行い安全車両を認定するなど差別化を図っています。
後付けの安全装置を付ける場合は、別ページで紹介しています。
新車を購入する場合は、政府が認定している安全装置付きの車は「サポカー」がお勧めで、交通事故防止対策車として推奨されています。
このステッカーが目印です↓
サポカーは搭載される安全装置によって分類され、名称も変わります。
サポカーの種類 | 自動ブレーキ (対歩行者) | 自動ブレーキ(対車両 ) | ペダル踏み間違い時加速抑制装置 | 車線逸脱警報 | 先進ライト |
---|---|---|---|---|---|
★★★サポカーSワイド | ● | ● | ● | ● | ● |
★★サポカーSプラス | ● | ● | |||
★サポカーS | ● (低速) | ● | |||
サポカー | ● |
高齢者用に車を購入する際は、サポカーを選ぶ事で、万が一の事故でも被害の軽減を期待できます。
また国土交通省では、認定実験によりクリアした車にAEBS「衝突被害軽減ブレーキ」の実験を行い、認定車にはステッカーを発行しています。
この他にも、最近の車には様々な安全装置が組み込まれ、運転をサポートしてくれます。
グレードが高い車を選ばなくても、価格の安い、低グレード車にオプションで着けることも可能ですから、安全装置の機能をしっかり把握しておくことも大切です。
どんな安全装置なの?
安全装置は様々ですが、その中でも高齢者に最低限必要な5つを紹介します。
高齢者に必要な、安全装置の種類
1.自動ブレーキ(被害軽減ブレーキ)
被害軽減ブレーキは、超音波やカメラなどで前方の障害物、自動車、歩行者などを検知します。追突や衝突しそうになった場合、音や警告灯などでドライバーに警告します。それでも、ドライバーのブレーキ操作がない場合、システムが自動的にブレーキを作動せさる装置の事です。
万が一の時に慌ててしまいがちですが、自動ブレーキの機能があれば安心、高齢者には絶対にお勧めな機能です。
2.ペダル踏み間違い時加速抑制装置
高齢者の事故で最も多いのが、ペダルの踏み間違いです。
ペダル踏み間違い時加速抑制装置は、ドライバーがシフトレバーを間違ったり、アクセルペダルの踏み間違いで衝突可能性がある場合に作動します。
超音波やカメラなどで前方の壁や車両を検知した時、衝突防止や被害軽減のためにガソリンの供給を一時的にストップすることでエンジンの出力を抑え、急発進、急加速を抑制します。
高齢者には、この装置が付いている車がおすすめですが、中古車の場合は付いていない可能性が高いです。その場合は、後付けの装置を付ける事が可能です。
後付け装置には補助金も出ますので、購入時に取り付ける事をお勧めします。
3.車線逸脱抑制装置
車線逸脱抑制装置は、ドライバーが運転中に不注意で車線からはみ出しそうになった場合、自動車に搭載されたカメラでそれを検知し警告音で知らせてくれます。
さらに、ブレーキやハンドルにより車線内を維持するよう車両の動きを制御したり、車両を車線内に戻そうとする装置です。
うっかり車線をはみ出して、ガードレールに擦ってしまった、少し車線をはみ出したら、対向車と接触し大事故になってしまったなどの予防が出来ます。
4.高機能前照灯
夕暮れ時は、見えにくく特に高齢者は事故をおこしやすい時間帯だと言われます。高機能前照灯は、走行中、暗くなると自動的にライトが付くとても便利な装置です。
さらに、前方から対向車がきたり先行者がいた場合、眩しさを与えないようハイビームをロービームに自動で切り替えてくれます。
5.後方視界情報提供装置
高齢になると、感覚が鈍り車をこすったりぶつけたりする回数が増えたと感じる高齢者が多いです。
「後方視界情報提供装置」を付けることで、駐車する際などのバック時に、後ろが見えなかったり死角になった部分が車内のTVモニターに映し出されます。
障害物に近づきすぎた場合、警告音が鳴ることで衝突を回避することが出来るので、高齢者でも安全にバックする事が出来ます。
※国土交通省は、2022年5月から発売の新型車にバックカメラなどの「後退時車両直後確認装置を義務化しました。
ポイント3 高齢者にも機能が分かりやすい車を選ぶ
高性能でも複雑な機能は、高齢者には解りにくく使いこなすことができません。
自動ドアの使い方がわからず、危ない思いをする高齢者もいます。価格が高く高級な車が良いとは限りません。解りやすくシンプルで、安全に使える機能が求められます。
ポイント4 維持費が安い車がおすすめ
高齢者には、維持費が安い軽自動車やコンパクトカーが人気です。
高齢者でもお仕事をバリバリされている方もいますが、ほとんどの方が貯蓄と年金で生活されています。
毎年の自動車税、車検の諸費用を考えると、倍以上安くなる軽自動車が選ばれる理由が解りますね。
ポイント5 燃費/環境性能割も考慮して選ぶ
現在は「自動車取得税」が廃止され、代わりに「環境性能割」という新しい税金が導入されています。
「環境性能割」は簡単に言うと、次のような税金です。
税金が免除される車は電気自動車はもちろんのこと、ガソリン車では2020年度燃費基準+10~20%達成車が免除の対象となります。このマーク↓
最近の軽自動車は燃費が良く、30キロ以上/ℓ走る車もあります。あまり車に乗らない高齢者なら1カ月に1度もガソリンを入れずに済むことも可能でしょう。
環境に良い車、燃費の良い車を選ぶ事をお勧めします。
もっと詳しく新税金制度「環境性能割」を知りたい方は、こちらのページで詳しく解説しています。
ポイント6 予算がなければ「中古車+後付け安全装置」
2014年度あたりから、軽自動車も一斉に安全装置を装着する車が増えてきました。しかし、初期型の安全装置はまだまだ未熟で、自動ブレーキや踏み間違い防止装置が付いていない車も多いです。
最新式の安全装置が付いた新車を購入出来れば良いのですが、予算が少ない方は、中古車を購入して後付けの安全装置を付ける事をお勧めします。
後付けの安全装置は、地域によって補助金がもらえるので無料または低価格で付ける事が可能です。
後付け装置の種類や価格を知りたいかたは別ページで詳しく紹介しています。
ポイント7 自動車保険料込みの「KINTO」にする
人生の後半、どうせなら「新車」に乗り換えたい!!という高齢者には、トヨタの車のサブスク「KINTO」 がおすすめです。
知らない人も多いのですが、自動車保険料は、60歳以上で約10%、70歳以上では約25%も保険料が上がります。
最近、事故を起こしてないのに、自動車保険料が高くなったと感じている人はこれです。
高齢ドライバーの事故率が上がり、「年齢層での事故リスク」が保険料に反映するようになったんです。
その点、月額利用料に「自動車保険料」が含まれる 「KINTO」では、
という利点があります。
頭金0円はもちろんのこと、一般的なリースと違い、解約可能、残価設定や残価清算もありません。
車検・税金・メンテナンス込なので、もう免許証を返納しよう時期になるまで気軽に定額で利用できます。
KINTOでは「軽自動車」の取り扱いはありませんが、軽自動車並みの維持費で小回りが利く、アクアやヤリスなどが人気です。
老後、優雅に「新車」を乗り換えたいものですね。
KINTO公式ホームページを見てみる
高齢者にお勧めの軽自動車 具体的な車種
さて、いよいよ具体的に高齢者にお勧めの車種を紹介していきます。
※安全装置の信頼性は、国土交通省が行った実験での評価を元に★で評価しています。
安全性能で選ぶなら/日産デイズ
参考グレード | サポカー | 安全装置の信頼性 | 燃費 | 価格 |
x |
Sワイド |
★★★ |
2020年度燃費基準+20%達成車 29.4km/l |
◎環境性能割対象 1,325,160円 |
「デイズ」は、国土交通省が行った2020年度の「予防性能評価実験」で、最高評価を獲得しています。同じ車が販売店の違いで、日産では「デイズ」。三菱では「EKスペースカスタム」と呼ばれています。
最新式のリチウムイオンバッテリーを搭載し、動力性能が大きく力強い走りと燃費の良さが魅力です。自動ブレーキは全グレードに費用準装備。
軽自動車初のプロパイロット(高速道路自動追従)も備わっています。矢沢永吉さんの日産のCMで、手を放して乗っているあれですね。
老後の実用性を考えるなら/ホンダ N BOX
参考グレード | サポカー | 安全装置の信頼性 | 燃費 | 価格 |
G・スロープホンダセンシング |
Sワイド |
★★★ |
2020年度燃費基準+10%達成車 27.0km/l |
◎環境性能割対象 1,575,640円 |
広い室内空間が魅力で、ファミリーカーとしても人気の高いN-BOX。先進の安全運転支援システム「ホンダ センシング」装備で、衝突軽減ブレーキ、誤発信抑制などの従来機能に加えて、後方誤発進抑制機能が全タイプに標準装備されています。
中でも「G・スロープ Lターボ 」はスロープ機能が付いていて、普段はフラットな荷室の床として使い、引き出せばそのままスロープとして使えるので、車いすの方や介助する方にとても便利です。将来の事を考えて購入する高齢者も増えています。
仕事や機能性を重視/ホンダNバン
参考グレード | サポカー | 安全装置の信頼性 | 燃費 | 価格 |
L |
Sベーシック | ★★★ | 23.8km/L | 1,377,000円 |
国土交通省が行った衝突実験でバンの中で唯一最高評価を受けているのがホンダのNバンです。
軽バンで初ののピラーレス仕様で側方ドアが全面開口します。その為、高齢者の乗り降りや大きな荷物の出し入れに便利です。まだ現役でバリバリ働いしている自営業者にはお勧めしたい車です。
全車に安全運転支援システム「ホンダセンシング」を標準装備。自動ブレーキ、踏み間違い誤発信抑制はもちろん、高齢者が欲しい安全性能がすべて付いています。
全車に安全運転支援システム「ホンダセンシング」を標準装備。衝突軽減ブレーキ、誤発信抑制、レーンキープアシスト、アクティブクルーズコントロールといった充実した機能を備えています。
価格、燃費NO1で選ぶなら/ダイハツ ミライース
参考グレード | サポカー | 安全装置の信頼性 | 燃費 | 価格 |
B SAIII |
Sワイド | ★★ |
2020年度燃費基準+40%達成車 35.2km/l |
◎環境性能割対象 907,200円 |
「ミライース」は、エコ&スマートをコンセプトに、デザイン性、利便性、安全性を兼ね備えています。
軽自動車ナンバーワンの車体価格の安さで、なんと車体価格は100万円を切ります。また、35.2km/lも走る燃費も非常に魅力です。
安全装備では、ダイハツスマートアシストIIIを採用、歩行者対応の自動ブレーキやオートハイビームなど高い安全性を実現しています。
年をとっても遊び心を大切にしたい/ハスラー
参考グレード | サポカー | 安全装置の信頼性 | 燃費 | 価格 |
G | スズキセイフティサポート | ★★ |
2020年度燃費基準+30%達成車 32.0km/l |
◎環境性能割対象 1,323,000円 |
年配の方もご存知アラレちゃんのCMでお馴染みのハスラー。国土交通省が行った衝突実験でも比較的高評価を受けています。マツダでは「フレアクロスオーバー」という名前で販売されています。
60代、70代、まだまだお若くてアクティブな方、アウトドアのレジャー、スポーツなどを好まれる活動的な方にお勧めな車です。お住まいになっている地域が山道だったり、起伏のある道路を走る機会が多い方にも向いています。
また、ハスラーはハイブリッド車にも勝るほどの優れた燃費の良さが特徴で、モーター機能付発電機の「S-エネチャージ」を搭載しています。
スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を採用し、自動ブレーキ、アクセル踏み間違い誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能を標準装備しています。
ジムニーは、低床ではなく乗り降りが不便な点からおすすめ車から省きました。しかし安全面から見ると、ジムニーのほうがサポカー認定を受けていて優れています。ジムニーの購入を検討されている方はこちらもご覧ください。
ハイブリッドカーを選ぶなら/ワゴンR・スペーシア
参考グレード | サポカー | 安全装置の信頼性 | 燃費 | 価格 |
ハイブリッドFX リミテッド | スズキセイフティサポート | ★★ |
2020年度燃費基準+30%達成車 33.4km/l |
◎環境性能割対象 1,312,200円 |
長い年月、軽自動車の人気を支えているワゴンR。ガソリン走行に、モーター走行を加え燃料消費を抑制するハイブリッドシステムの軽自動車を選ぶならワゴンRです。
低燃費33.4km/Lを達成しています。もちろん、スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を採用し、全車に自動ブレーキを標準採用しています。
2019年9月の時点で軽自動車のハイブリッドカーは、スズキとマツダしか販売していません。
マツダのハイブリッドカーはスペーシアです。スペーシアは、ワゴンRと比べて燃費は30km/lと落ちますが、安全性能はワゴンRより優れた面も持っています。
より小回りが効いてスタイリッシュな車なら/ダイハツムーブカスタム
参考グレード | サポカー | 安全装置の信頼性 | 燃費 | 価格 |
X Limited SA Ⅲ |
Sワイド | ★★ |
2020年度燃費基準+20%達成車 31.0km/l |
◎環境性能割対象 1,490,400円 |
スモールカーを代表する軽といったら、ダイハツのムーヴカスタムです。軽自動車の最大幅での設計となっているハイトール車と異なり、丸い小型の形状は運転しやすいことから高齢者に根強い人気となっています。
自動ブレーキ・アクセル踏み間違い抑制装置・自動ハイビーム・車線逸脱警報、などの「ダイハツ・スマートアシストⅢ」は「X Limited SA Ⅲ」や「RSハイパーSA Ⅲ」に標準装備されています。
高齢者に「おすすめの軽自動車2024」購入、買い換えの際に選ぶ必須ポイントを紹介ト まとめ